【2026年最新版】生前贈与の相続税対策は7年ルールに注意!知らないと損する新制度をプロが解説
皆様、こんにちは。
株式会社大阪セレ-モニー代表の山田泰平です。
グローバル化が進む現代、「親が海外に銀行口座を持っていた」「ハワイにコンドミニアムを所有していた」といったケースは、もはや特別な話ではありません。
しかし、この「海外資産」の存在が、後に残された成年後見人や相続人にとって、想像を絶するほどの困難な手続きと、莫大な費用負担をもたらす「負の遺産」になりかねないことを、ご存知でしょうか。
今回は、この見過ごされがちな「海外資産の相続・管理」をテーマに、
- なぜ海外資産の手続きが「地獄」と言われるのか
- 後見人・相続人が直面する、言語・法律・費用の三重苦
- 実際に起きた、ハワイの不動産をめぐるトラブル事例
- 最悪の事態を避けるための、唯一の生前対策
などを、警鐘を鳴らす意味も込めて、詳しく解説していきましょう。
【結論】海外資産の相続・管理は、国内手続きとは完全に別次元。現地の法律・税務の専門家との連携が必須。生前の「資産整理」か「信託」が唯一の対策
海外に資産がある場合、その管理や相続手続きは、日本の法律や常識が一切通用しない、全く別のステージで進めなければなりません。
後見人や相続人は、
- 現地の法律(プロベートなど)に基づく、煩雑で長期間にわたる手続き
- 現地弁護士や会計士への、高額な報酬の支払い
- 言語の壁と、膨大な書類の翻訳作業
という、まさに三重苦に苛まれることになります。
このような事態に陥った場合、ご家族だけで解決することは、まず不可能です。
現地の法律や税務に精通した専門家(国際弁護士など)のサポートが絶対に不可欠であり、その費用は数百万円単位に及ぶことも珍しくありません。
こうした悲劇を避けるための唯一かつ最善の対策は、ご本人が元気なうちに、海外資産を日本国内に移管・整理しておくか、国際的な信託契約などを活用して、管理・承継の仕組みを構築しておくこと以外に道はないでしょう。
1. なぜ地獄? 海外資産手続きを阻む「国際的な壁」
日本の常識で考えていると、必ず壁にぶつかります。
壁①:準拠法と国際裁判管轄の壁
まず、「どの国の法律に基づいて手続きを進めるのか」という問題があります。
例えば、不動産はその所在地(ハワイならハワイ州法)、預金は銀行のある国の法律が適用されるのが一般的です。
日本の民法は適用されません。
壁②:プロベート(検認裁判所の手続き)の壁
英米法の国(アメリカ、イギリス、オーストラリアなど)では、相続手続きを進めるために「プロベート」と呼ばれる、現地の裁判所の監督下で行われる厳格な手続きを経る必要があります。
この手続きは、現地の弁護士を代理人に立てる必要があり、完了までに1年以上かかることもザラです。
壁③:言語と証明書類の壁
現地の裁判所や金融機関とのやり取りは、すべて現地の言語で行われます。
日本の戸籍謄本などの公的書類も、すべて現地の言語に翻訳し、大使館の認証(リーガリゼーション)やアポスティーユといった、国際的な証明を得なければ、正式な書類として受理すらされません。
2. 【実例】ハワイの不動産が引き起こした相続人の苦悩
実際に、このようなご相談がありました。
亡くなったお父様が、ハワイにコンドミニアムを一部屋所有されていました。
相続人であるご長男は、当初、日本の不動産と同じように相続登記をすればよい、と軽く考えていたのです。
しかし、現実は甘くありませんでした。
- 現地の裁判所での「プロベート」手続きが必須であることが判明。
- ハワイ州の弁護士を探し、高額な費用で代理人を依頼。
- お父様の出生から死亡までの全戸籍謄本などを、すべて英訳し、外務省と在日米国大使館で認証を取得。
- 手続きの完了までに約2年を要し、弁護士費用や現地の固定資産税などで、最終的に1,000万円近い費用がかかりました。
ご長男は「これほど大変だとは夢にも思わなかった。喜びの遺産のはずが、ただの苦痛だった」と、疲れ果てておられました。
3. 最大の対策は「生前の国際終活」
残される家族に、このような苦労をさせないために、海外に資産をお持ちの方は、必ず生前の対策を講じる必要があります。
【今すぐやるべき対策】:
- 資産の日本への移管・整理:これが最もシンプルで確実な方法です。不要な海外資産は、元気なうちに売却し、日本国内の金融機関に資金を移しておくことを強くお勧めします。
- 国際的な信託契約の活用:資産を信託銀行などに信託し、ご自身の死後の受取人を指定しておくことで、プロベートなどの煩雑な相続手続きを回避できる場合があります。
- 現地の専門家との連携:どうしても資産を海外に残す必要がある場合は、生前のうちに、現地の弁護士や会計士と顧問契約を結び、相続時の手続きについて相談・準備しておくべきでしょう。
- 財産目録の作成:最低限、どこに、どのような資産があるのかをまとめた財産目録(英文併記が望ましい)を作成し、家族と共有しておくことは必須です。
【まとめ】海外資産は、もはや“夢”ではなく“リスク”と心得る
グローバルな資産形成が容易になった現代、その裏側にある「死後のリスク」について、私たちはもっと真剣に考えなければならない時期に来ています。
では、本日のポイントをまとめます。
- 海外資産の相続・管理は、日本の法律が通用せず、現地の法律(プロベートなど)に従う必要がある。
- 言語の壁、煩雑な法的手続き、高額な専門家費用という三重苦が、後見人や相続人に重くのしかかる。
- 手続きには年単位の時間がかかることも珍しくなく、ご家族だけで解決することは不可能。
- 最大の対策は、元気なうちに海外資産を整理・売却し、日本国内に移管しておくこと。
- もし資産を残す場合は、国際信託の活用や、現地の専門家との連携が不可欠。
ご葬儀の場で、故人が海外で活躍されていた華やかな思い出を伺うことがあります。
しかし、その輝かしい功績が、死後、残されたご家族を苦しめる棘となっては、故人様も決して本望ではないでしょう。
海外に資産をお持ちの方は、それをどう「終わらせるか」までを設計することが、ご家族への最後の責任であり、真の愛情表現ではないでしょうか。
株式会社大阪セレモニー



