高齢者の保険見直しに潜む罠!良かれと思った“かけ直し”が招く税金トラブルと保障激減リスク
皆様、こんにちは。
株式会社大阪セレモニー代表の山田泰平です。
「私たち、身寄りがないから、もしもの時はお互いに助け合おうね」
そんな温かい友情から、お互いのためにと、友人同士で葬儀の互助会契約を結ばれるケースがあります。
しかし、この善意の約束が、後に残された友人を深い苦悩に陥れる、悲劇的な落とし穴になることをご存知でしょうか。
今回は、葬儀業界の専門家として、この見過ごされがちな「友人同士の互助会契約」の問題点をテーマに、
- なぜ友人では、互助会の権利が使えないのか
- 実際に起きた、悲劇的なトラブルの実例
- 互助会が「親族」に限定する、やむを得ない理由
- 友人同士で備えるための、唯一の正しい解決策
などを、警鐘を鳴らす意味も込めて、詳しく解説していきます。
【結論】友人同士での互助会利用は、原則不可能。掛け金が無駄になるリスクも。真の備えは「死後事務委任契約」のみ
結論から申し上げますと、友人名義の互助会の権利を、別の友人が代理で利用して葬儀を行うことは、原則としてできません。
互助会の契約上、その権利を行使したり、名義変更したりできるのは、多くの場合「同居の親族」に限られているからです。
その結果、
- 友人が積み立ててきた掛け金は、葬儀費用として一切使えない。
- 葬儀の手配ができず、残された友人が葬儀費用を全額立て替えなければならない。
- 最悪の場合、積み立てた掛け金が無駄になってしまう。
という、あまりにも悲しい事態に陥ってしまいます。
「もしもの時はお願いね」という口約束や、互助会の証書を預かっているだけでは、法的に何の効力もありません。
友人同士で本当に助け合いたいと願うなら、その善意を法的に裏付ける「死後事務委任契約」を結んでおくことが、唯一かつ絶対に必要な備えとなります。
1. 【実例】なぜ? 善意が招いた友人の葬儀での苦悩
実際に、このようなご相談がありました。
長年のご友人A様を亡くされたB様が、「Aが生前入っていた互助会で葬儀をしてほしい」と、証書を持ってこられました。
お二人は身寄りがなく、「互いの葬儀は頼む」と固く約束されていたそうです。
しかし、互助会に連絡を取ったところ、返ってきたのは「ご契約者様のご親族でないと、権利はご利用いただけません」という非情な答えでした。
B様が直面した問題:
- 葬儀の手配ができない:互助会のプランが使えないため、葬儀社やプランを急遽ゼロから探し直す必要がありました。
- 葬儀費用が用意できない:A様が積み立てた掛け金は使えず、B様が数百万円の葬儀費用を一時的に立て替えなければならない状況に。A様の預金は死亡と同時に凍結されており、すぐには引き出せません。
- 掛け金が無駄になるリスク:A様の互助会契約は、親族でなければ解約手続きも困難で、B様にとってはまさに「塩漬け」の状態になってしまいました。
2. 互助会が権利利用を「親族」に限定する理由
なぜ、友人ではダメなのでしょうか?
これは決して互助会の意地悪ではなく、後のトラブルを避けるための、やむを得ないルールなのです。
理由①:法的な責任所在の不明確さ
火葬許可申請や死亡届など、死後の手続きには戸籍上の親族の署名・捺印が求められます。
友人には、これらの手続きを行う法的な権限がありません。
理由②:身元保証人としての役割
万が一、後から「なぜ勝手に葬儀をしたんだ」と主張する親族が現れた場合、その対応責任を負えるのは、法的な関係のある親族だけです。
理由③:相続トラブルの防止
相続人ではない友人が、故人の財産の一部である互助会の権利を行使することは、後の相続トラブルの火種になりかねません。
互助会は、こうした法的なリスクから契約者と会社自身を守るため、権利の行使者を親族に限定しているのです。
3. 友人同士で備える唯一の正しい方法「死後事務委任契約」
では、友人同士で「もしも」に備えるには、どうすればよいのでしょうか?
その答えが「死後事務委任契約」です。
死後事務委任契約とは:
生前のうちに、ご自身が亡くなった後の葬儀・納骨、役所手続きといった事務手続きを、法的な代理権を付与して、友人や専門家などに依頼しておく契約です。
なぜこれが解決策になるのか:
- 友人に「法的な代理権」が与えられる:この契約を結ぶことで、友人は正式な代理人として、葬儀社との契約や役所手続きを堂々と行うことができます。
- 葬儀費用を事前に確保できる:葬儀費用などを「預託金」として、契約で指定した信託口座などに預けておくことができます。これにより、残された友人が費用を立て替える必要がなくなります。
- 本人の希望通りの葬儀が実現できる:契約書に希望する葬儀の内容を明記しておくことで、友人は迷うことなく、故人の遺志を反映した葬儀を執り行えます。
この契約は、公証役場で「公正証書」として作成することで、その効力をより確実なものにできます。
【まとめ】善意の口約束は危険。法的な備えこそが真の友情
「お互い様」という温かい気持ちは、それだけでは何の力も持ちません。
法的な裏付けのない善意は、時として、残された大切な友人を苦しめる諸刃の剣になるのです。
では、本日のポイントをまとめます。
- 友人同士で互助会の権利を利用することは、原則として不可能。
- 理由は、友人に死後の手続きを行う「法的な権限」がないため。掛け金が無駄になるリスクが非常に高い。
- 友人同士で「もしも」に備える唯一の正しい方法は、生前のうちに「死後事務委任契約」を締結しておくこと。
- 死後事務委任契約により、「死後の代理権」と「葬儀費用」の両方を合法的に確保できる。
- 口約束や証書を預かるだけでは不十分。友情を確かな形にするには、法的な準備が不可欠。
葬儀の現場では、法的な準備不足によって、故人の尊厳や残された方の想いが守られないという、悲しい現実に直面することがあります。
真の思いやりとは、感情論だけでなく、相手に負担をかけないための具体的な準備をしておくこと。
だからこそ、私たちは、友情を確かなものにするための法的な備えの重要性を、強く訴え続けていきたいと考えています。
株式会社大阪セレモニー



