「相続人が海外在住で連絡困難…不動産と預貯金の遺産分割、どうする?」
皆様、こんにちは。
株式会社大阪セレモニー代表の山田泰平です。
「親が亡くなった後、財産の全体像が全く分からず、手続きが大変だった…」
「どの銀行に口座があるか分からず、兄弟で揉めてしまった…」
ご葬儀の後、こうした「財産」をめぐるトラブルや苦労話は、残念ながら後を絶ちません。
その最大の原因は、故人の財産がどこに、どれだけあるのか、誰も正確に把握できていないことにあります。
この問題を未然に防ぎ、スムーズな相続を実現するための最強のツールが、生前のうちに作成しておく「財産目録」です。
そこで今回は、この「財産目録の作り方」をテーマに、
- なぜ財産目録が生前に必要なのか?
- プラスの財産・マイナスの財産の書き方
- 財産目録を作成する際の3つの注意点
- どこに保管し、誰に伝えておくべきか
などを、分かりやすく解説していきます。
【結論】財産目録は、相続トラブルを防ぐ「設計図」。プラスもマイナスも正直に書き記し、遺言書とセットで準備を
財産目録とは、ご自身が所有するすべての財産(プラスの財産も、マイナスの財産も)を一覧にしてまとめたリストのことです。
これを作成しておくことで、
- 相続人が財産調査をする手間を、劇的に省くことができる。
- 財産の把握漏れがなくなり、正確な遺産分割協議や相続税申告が可能になる。
- 相続人間の「隠し財産があるのでは?」といった不毛な疑心暗鬼を防ぐことができる。
といった大きなメリットがあります。
特に、遺言書を作成する際には、この財産目録を添付することが極めて重要です。
「どの財産を誰に」という遺言内容が明確になり、死後の手続きが格段にスムーズになります。
財産目録は、円満な相続を実現するための、いわば「設計図」なのです。
1. なぜ必要? 財産目録が残された家族を救う理由
財産目録がない場合、相続人はゼロから財産調査を始めなければなりません。
故人の郵便物を探し、心当たりのある銀行に問い合わせ、役所で名寄帳を取得し…。これは、深い悲しみの中にいるご遺族にとって、あまりにも過酷な作業です。
特に、借金などの「マイナスの財産」の調査が遅れると、相続放棄の期限(3ヶ月)を過ぎてしまい、多額の借金を背負わされるという最悪の事態も起こり得ます。
生前に財産目録を作成しておくことは、こうしたリスクから、大切なご家族を守るための、親として果たすべき責任の一つと言えるでしょう。
2. 【テンプレート付き】財産目録の具体的な書き方
財産目録に決まった書式はありませんが、誰が見ても分かるように、以下の項目を正確に記載することが大切です。
【プラスの財産の書き方】:
- 預貯金:金融機関名、支店名、預金種別(普通・定期など)、口座番号を記載します。おおよその残高も記しておくと親切です。
- 不動産:土地・建物の所在地番、地積(面積)、家屋番号などを、固定資産税の納税通知書や登記済権利証を見ながら正確に記載します。
- 有価証券:証券会社名、支店名、口座番号、株式の銘柄や投資信託の名称などを記載します。
- 生命保険:保険会社名、証券番号、受取人を記載します。
- その他:自動車(車種・登録番号)、ゴルフ会員権、貴金属、骨董品など。
【マイナスの財産の書き方】:
- 借入金:金融機関名や消費者金融名、現在の借入残高、契約番号などを正直に記載します。
- ローン:住宅ローンや自動車ローンなどの残高。
- 未払金:未払いの税金や医療費、クレジットカードの未払い残高など。
- 連帯保証債務:誰かの連帯保証人になっていないか。なっている場合は、その内容を記載します。
3. 作成する際に絶対に守るべき3つの注意点
せっかく作成した財産目録が、かえって混乱を招かないように、以下の点に注意してください。
注意点①:定期的に見直し、更新する
財産状況は日々変化します。最低でも年に一度は内容を見直し、現状に合わせて情報を更新する習慣をつけましょう。
作成した日付を必ず記入しておくことが重要です。
注意点②:客観的な事実のみを記載する
「長男には多めに」といった希望や想いは、財産目録には書かず、遺言書やエンディングノートに書きましょう。
財産目録には、あくまで客観的な財産の情報を淡々と記載します。
注意点③:おおよその「評価額」も記しておく
不動産であれば固定資産税評価額、有価証券であれば時価など、財産のおおよその評価額を付記しておくと、相続人が相続税の概算を把握しやすくなり、非常に親切です。
【まとめ】財産目録は、家族への最後の思いやり
財産目録の作成は、ご自身の人生で築き上げてきたものを整理し、次世代へスムーズに引き継ぐための、非常に意義深い作業です。
では、本日のポイントをまとめます。
- 財産目録は、相続人の負担を激減させ、相続トラブルを未然に防ぐための必須ツール。
- 預貯金や不動産といったプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も正直に記載することが極めて重要。
- 遺言書とセットで作成することで、法的な効力を持つ意思表示となり、死後の手続きが格段にスムーズになる。
- 年に一度は見直しを行い、情報を最新の状態に保つこと。日付の記入を忘れない。
- 作成した財産目録は、遺言書などと一緒に保管し、その場所を信頼できる家族に伝えておく。
故人が遺してくれた財産目録は、単なる財産のリストではありません。
それは、残される家族が争うことなく、円満に財産を引き継いでほしいという、故人の深い愛情と願いが込められた、最後のメッセージです。
私たちは、ご葬儀の場で、そうした故人の想いを汲み取り、ご遺族が円滑な相続手続きへ進めるよう、サポートしていきたいと考えております。
株式会社大阪セレモニー



