「まだ早い」は、もう遅い? 人生100年時代の「終活」のススメ
皆様、こんにちは。
株式会社大阪セレモニー代表の山田泰平です。
「もし自分に何かあったら、子供たちに迷惑はかけたくない」
「でも、死後の話なんて、どう切り出せばいいか分からない…」
多くの親御様が、そうした想いを抱えながらも、なかなかお子様と率直に話す機会を持てずにいらっしゃいます。
しかし、いざという時、ご家族が最も困るのは「親の想いが分からない」こと。
情報がないばかりに、手続きが滞ったり、兄弟間で意見が対立したりする悲劇は、後を絶ちません。
そこで今回は、「親が子に伝えておくべき、死後のこと」を5つの重要なテーマに絞って、
- 延命治療や介護についての希望
- 葬儀やお墓についての希望
- 財産(プラスもマイナスも)についての情報
- 大切な人たちの連絡先
- デジタル遺品の扱い
などを、具体的な伝え方のヒントも交えて解説していきます。
【結論】「情報の共有」と「意思の伝達」が、残される子供を守る最大の遺産。エンディングノートの活用が最も効果的
お子様に負担をかけないために、親が元気なうちに伝えておくべきことの本質は、たった2つです。
- 死後の手続きに必要な「情報」を、分かりやすくまとめておくこと。
- 重要な選択を迫られた時に、子供が迷わないための「意思」を、明確に示しておくこと。
これらの情報を口頭で伝えるだけでなく、市販のエンディングノートなどに書き記し、「ここに全て書いてあるからね」と、その場所を共有しておくのが最も確実で効果的な方法です。
これは決して「死ぬ準備」ではありません。お子様が、親の死後、不要な苦労や争いをすることなく、故人を偲ぶ時間に集中できるようにしてあげるための、最高の愛情表現であり、何物にも代えがたい「遺産」なのです。
1. 【医療・介護】延命治療はどうしますか?
お子様が最も重い決断を迫られるのが、終末期医療の選択です。
「もしもの時、回復の見込みがない状態になったら、延命治療を望みますか?」
この問いに対するご自身の考えを、明確に伝えておく必要があります。
伝えるべきこと:
- 延命治療(人工呼吸器、胃ろうなど)を望むか、望まないか。
- 苦痛を和らげる緩和ケアは、最大限に行ってほしいか。
- 介護が必要になった場合、在宅と施設、どちらを希望するか。
リビングウィル(尊厳死の宣言書)を作成し、その意思を法的な形で残しておくのも非常に有効です。
2. 【葬儀・お墓】どんなお見送りを望みますか?
葬儀やお墓は、故人の遺志が最も尊重されるべき領域です。
ご自身の希望を具体的に伝えておくことで、お子様は迷わず、故人らしいお見送りを実現できます。
伝えるべきこと:
- 葬儀の形式(家族葬、一般葬、直葬など)と規模。
- 宗教・宗派、菩提寺の有無。
- 遺影に使ってほしい写真。
- 訃報を伝えてほしい友人・知人のリスト。
- お墓をどうしたいか(誰に継いでほしいか、墓じまいを望むかなど)。
葬儀社に生前相談をして、見積もりととも希望をまとめておくと、より具体的になり、お子様の金銭的な不安も軽減できます。
3. 【お金・財産】どこに何が、いくらありますか?
相続トラブルの多くは、財産の全体像が分からないことから生じます。
プラスの財産だけでなく、マイナスの財産も正直に伝えておくことが重要です。
伝えるべきこと:
- 預貯金のある金融機関名、口座番号。
- 生命保険の会社名、証券番号。
- 不動産の情報(権利証の場所など)。
- 有価証券や貴金属などの資産。
- 借金やローン、連帯保証人になっていないかといった、マイナスの情報。
詳細な金額まで伝える必要はありません。「どこの銀行に口座がある」といった情報だけでも、死後の手続きの負担は劇的に変わります。
4. 【人間関係】大切な人たちの連絡先は?
ご自身が亡くなったことを、誰に、どの順番で伝えてほしいか。その連絡先リストは、お子様にとって非常にありがたい情報です。
伝えるべきこと:
- 親戚(特に遠縁で、子供が面識のない親戚)。
- 学生時代の親しい友人、会社の同僚・恩師。
- 趣味のサークル仲間など。
住所、電話番号、メールアドレスなどを一覧にしておきましょう。
故人との思い出を語り合える人がいることは、残されたお子様の心の支えにもなります。
5. 【デジタル遺品】スマホやPCのパスワードは?
現代において、新たに見過ごせない問題が「デジタル遺品」です。
伝えるべきこと:
- スマートフォンやPCのロック解除パスワード。
- 各種ウェブサイト(ネット銀行、SNS、サブスクリプションサービスなど)のIDとパスワード。
- 死後、アカウントをどうしてほしいか(削除、継続など)。
パスワードをエンディングノートに直接書くことに抵抗がある場合は、「ヒント」を書いておく、あるいはパスワード管理アプリの情報を記しておくといった方法もあります。
【まとめ】終活は、親から子への最後のラブレター
これらのことを伝えるのは、勇気がいるかもしれません。しかし、それはお子様の未来を守り、家族の絆を確かめるための、かけがえのない時間となります。
では、本日のポイントをまとめます。
- 親が子に伝えておくべきは「手続きに必要な情報」と「判断に迷った時のための意思」。
- 「医療・介護」「葬儀・お墓」「お金」「人間関係」「デジタル遺品」の5つのテーマに沿って情報を整理する。
- 全ての情報をエンディングノートにまとめ、「その場所」を子供に伝えておくのが最も確実。
- 財産の話では、プラスの財産だけでなく、借金などのマイナス情報も正直に伝えることが、後のトラブルを防ぐ。
- 一度に全てを話そうとせず、親戚の葬儀などをきっかけに、少しずつ話し合う機会を持つことが大切。
ご自身の希望を明確に伝えることは、残されたご家族が「故人の望みを叶えてあげられた」という納得感と安心感を持つことにつながります。
それは、深い悲しみの中にあるご家族にとって、何よりの心の支えとなるでしょう。
だからこそ、元気なうちに想いを形にしておくことが、真の愛情表現だと私たちは考えます。
株式会社大阪セレモニー



