相続税申告で損しない!葬儀費用の領収書と債務控除の全知識

山田泰平

山田泰平

テーマ:相続関係

皆様、こんにちは。
株式会社大阪セレモニー代表の山田泰平です。

ご葬儀が無事に終わり、故人を偲ぶ間もなく、ご遺族には相続手続きという大きな課題が待ち受けています。

その中でも特に専門的で、期限も定められているのが「相続税の申告」です。

実はこの時、ご葬儀にかかった費用が、相続税の負担を軽くする「節税」につながることをご存知でしょうか。

しかし、そのためには「どんな費用が対象になるか」を知り、「領収書」をきちんと保管しておくことが絶対条件となります。

そこで今回は、相続税申告と密接に関わる「葬儀費用の会計処理」をテーマに、

  • なぜ葬儀費用で相続税が安くなるのか?
  • 控除の対象になる費用・ならない費用の具体例
  • 領収書がない「お布施」などの対処法
  • 10ヶ月の申告期限までにやるべきこと


などを、分かりやすく解説していきます。

【結論】葬儀費用は相続税の節税に直結!「領収書」の保管と、控除対象の正しい理解が必須

相続税を計算する際、故人が遺したプラスの財産(預貯金や不動産など)から、葬儀にかかった費用を「債務」として差し引くことができます。

これを「葬儀費用の債務控除」といいます。

この控除を利用することで、課税対象となる遺産総額が減り、結果的に支払う相続税が安くなるのです。

ただし、この控除を適用するためには、

  1. 「何にいくら支払ったか」を証明する領収書やメモを、すべて保管しておくこと。
  2. 控除の対象になる費用とならない費用を、正しく区別すること。

この2点が不可欠です。

特に、香典返しや墓石の購入費用など、控除の対象にならないものを誤って含めてしまうと、後日、税務署から指摘を受け、追徴課税を課されるリスクもあります。

相続税の申告期限(死亡を知った日の翌日から10ヶ月)はあっという間に来ます。

葬儀直後から、領収書の管理を徹底し、不明点は税理士などの専門家に相談することが何よりも重要です。

1. 【一覧表】控除の対象になる費用・ならない費用

葬儀費用といっても、すべてが控除の対象になるわけではありません。国税庁によって、明確なルールが定められています。

【控除の対象になる費用(OK)】:

  • 通夜・告別式にかかった費用(葬儀社への支払いや飲食代など)
  • 火葬料、埋葬料、納骨費用
  • 遺体の捜索、または遺体や遺骨の運搬費用
  • 宗教者へのお礼(お布施、読経料、戒名料など)
  • お手伝いいただいた方への心付け(社会通念上相当な金額)



【控除の対象にならない費用(NG)】:

  • 香典返しの費用:これは、いただいた香典(非課税)に対するお返しのため、対象外です。
  • 墓石や仏壇の購入・彫刻費用:これらは相続税の非課税財産にあたるため、費用控除はできません。
  • 初七日や四十九日などの法要費用:葬儀と直接関係のない、後の法事にかかる費用は対象外です。
  • 遺体の解剖費用(医学上または裁判上の特別な事情によるもの)


2. 「領収書がない!」お布施などの費用はどう証明する?

お寺様にお渡しするお布施や、お手伝いの方への心付けなど、領収書が発行されない費用も少なくありません。

「領収書がないから控除は諦めるしかない…」と思われるかもしれませんが、ご安心ください。

領収書がない場合は、ご自身で作成した「メモ」が、税務署への有効な証明書類となります。

以下の項目を、ノートや手帳に正確に記録しておきましょう。

  1. 支払年月日:例)令和〇年〇月〇日
  2. 支払先の名称と所在地:例)〇〇寺(大阪市〇〇区…)
  3. 支払金額:例)御布施として 金〇〇円
  4. 支払内容(但し書き):例)通夜・葬儀の読経料、戒名料として

このメモと、葬儀社から受け取った領収書や請求書を、クリアファイルなどにまとめて一括管理しておくと、後の申告作業が非常にスムーズになります。

3. 申告期限は10ヶ月!誰が費用を負担し、どう精算するのか

相続税の申告と納付の期限は、「被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内」です。

葬儀費用の支払い:
葬儀費用は、通常は喪主が一時的に立て替えて支払うケースが多いです。


費用の精算:
立て替えた費用は、後日、相続人全員で話し合いの上、故人の遺産(相続財産)の中から精算するのが一般的です。
誰が何を支払ったのかが分かるよう、領収書やメモのコピーを相続人間で共有しておくと、トラブルを防ぐことができます。


専門家への相談タイミング:
相続財産の総額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えそうな場合は、相続税申告が必要になる可能性が高いです。

10ヶ月という期間は、遺産分割協議や財産評価などを行うには、決して長くありません。葬儀後、できるだけ早い段階で税理士に相談し、スケジュールを立ててもらうことを強くお勧めします。

【まとめ】葬儀費用の記録は、未来の家族を助ける大切な作業

ご葬儀直後の大変な時期に、お金の記録を細かくつけるのは骨が折れる作業かもしれません。

しかし、その一手間が、後々の相続税の負担を軽減し、ご家族を助けることにつながります。

では、本日のポイントをまとめます。

  • 葬儀費用は、相続財産から控除でき、相続税の節税効果がある。
  • 控除の対象になるのは「葬儀そのものにかかった費用」。香典返しや墓石代、法事費用は対象外。
  • すべての領収書を必ず保管する。領収書が出ないお布施などは、日付・相手・金額・内容を記したメモを残す。
  • 葬儀費用の記録は、相続人全員で情報を共有し、誰が何を立て替えたかを明確にしておく。
  • 相続税申告の要否が不明な場合でも、まずは税理士に相談を。10ヶ月の期限は意外と短い。


大切な人が亡くなった後は、茫然自失としながら様々な手続きを進めなくてはならず、ぞれはとても酷なことです。

しかし、一人で抱え込まずに、周りの助けを借りながら、一つずつ解決していきましょう。

株式会社大阪セレモニー

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山田泰平
専門家

山田泰平(葬儀)

株式会社大阪セレモニー

当社は家族葬を専門に、これまで1000件以上の葬儀をお手伝いさせて頂きました。少人数だからこそ実現できるきめ細やかなサービスと、ご遺族様の想いに寄り添った丁寧な対応を心がけています。

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