死後事務委任契約とは?葬儀・遺品整理で後悔しない活用法と注意点

山田泰平

山田泰平

テーマ:契約関係

皆様、こんにちは。
株式会社大阪セレモニー代表の山田泰平です。

「自分にもしものことがあったら、誰が葬儀や家の片付けをしてくれるのだろう?」

「親族はいるけれど、遠方に住んでいるし、迷惑はかけたくない…」

おひとりさまの方やお子様のいらっしゃらないご夫婦、ご親族と疎遠な方などから、こうした切実なご相談を受けることが年々増えています。

実は、この「死後の手続き」に関する不安を、法的な効力をもって解決できる強力な備えがあります。

それが「死後事務委任契約(しごじむいにんけいやく)」です。

今回は、まだあまり知られていないけれど、これからの時代に必須とも言える「死後事務委任契約」について、

  • そもそも死後事務委任契約とは何か?
  • 遺言書や成年後見制度との決定的な違い
  • 具体的にどんなことを頼めるのか?
  • 契約を結ぶ際の注意点と費用の目安


などを、分かりやすく解説していきます。

【結論】死後の手続きを法的に託せる唯一の契約。おひとりさまや親族に負担をかけたくない方の必須の備え

死後事務委任契約とは、ご自身が亡くなった後に必要となる様々な事務手続き(葬儀、納骨、役所手続き、遺品整理など)を、生前のうちに信頼できる第三者に依頼しておく、法的な効力を持つ契約です。

遺言書が主に「財産の分け方」について定めるのに対し、死後事務委任契約は「財産以外のあらゆる手続き」をカバーします。

この契約を結んでおくことで、

  1. 法定相続人ではない友人や甥・姪にも、正式な代理人として手続きを任せられる。
  2. ご自身の希望通りの葬儀や納骨方法を、確実に実現してもらえる。
  3. 残された人に、面倒な手続きで過度な負担をかけずに済む。

といった大きな安心感を得ることができます。

特に、頼れる身内がいないおひとりさまの方や、ご親族に迷惑をかけたくない方にとって、この契約は「自分らしい最期」を実現するための、何よりも心強いお守りとなるでしょう。

1. なぜ必要? 遺言書ではできない「死後の手続き」

「遺言書を書いておけば、全部やってもらえるんじゃないの?」と思われがちですが、実は大きな違いがあります。

遺言書でできること:
主に「誰にどの財産を遺すか」といった、財産の承継に関することです。
葬儀の方法などを書き記すことはできますが、法的な強制力はなく、相続人がその通りに実行してくれる保証はありません。


死後事務委任契約でできること:
葬儀・納骨の手配、役所への届出、医療費の精算、遺品整理など、財産以外の「事務手続き」そのものを、代理人として実行する権限を与えることができます。

つまり、遺言書と死後事務委任契約は、カバーする範囲が全く異なります。

この2つをセットで準備しておくことで、死後の備えは万全
になります。

2. 具体的にどんなことを頼めるの?

死後事務委任契約で依頼できる内容は、非常に多岐にわたります。

ご自身の希望に応じて、自由に内容を決めることができます。

【主な依頼内容の例】:
役所関係の手続き:
死亡届、健康保険証・年金手帳の返却、世帯主変更届など。


医療・介護関係の手続き:
入院費や施設利用料の精算、保証金の受け取りなど。


葬儀・納骨関係の手続き:
ご自身の希望に沿った葬儀社との契約、火葬・納骨・埋葬の実行。


遺品整理・住まいの手続き:
遺品の仕分け・処分、賃貸住宅の解約・明け渡し、公共料金の精算。


その他の手続き:
各種会員サービスの解約、SNSアカウントの閉鎖、ペットの引き取り先探しなど。

3. 誰に頼む? 契約相手の選び方と注意点

契約の相手(受任者)は、慎重に選ぶ必要があります。

依頼できる相手の選択肢:

  1. 甥や姪、いとこなどの親族
  2. 信頼できる友人・知人
  3. 弁護士、司法書士、行政書士などの専門家
  4. 死後事務を専門に扱うNPO法人や一般社団法人



選ぶ際の注意点:

  1. 自分より若い人か:自分より先に亡くなってしまうリスクを考慮します。
  2. 確実に実行してくれるか:誠実で、責任感のある人を選びます。
  3. 専門知識はあるか:手続きには専門的な知識が必要な場合もあります。


個人に依頼する場合、その方の負担が大きくなりすぎたり、先に亡くなったりするリスクが伴います。

費用はかかりますが、確実に実行してもらうためには、司法書士や専門の法人などに依頼する方が安心
なケースも多いです。


契約方法と費用:
契約は、後々のトラブルを防ぐためにも、必ず公証役場で「公正証書」として作成しましょう。
費用は、公正証書の作成費用(数万円~)のほか、受任者へ支払う報酬が必要になります。
報酬は、事前にまとまった金額を預託金として信託銀行などに預けておく方法が一般的です。

【まとめ】元気なうちに「自分らしい最期」をデザインしよう

死後事務委任契約は、誰かに頼るためのものではなく、「自分の最期を、自分の意思でプロデュースする」ための前向きな活動です。

ご自身の人生のエンディングを、人任せにせず、ご自身の希望通りにデザインするために、元気で判断能力がしっかりしている今のうちから準備を始めましょう。

では、本日のポイントをまとめます。

  • 「死後事務委任契約」は、葬儀や遺品整理など、死後の手続きを法的に託せる契約。
  • 遺言書ではカバーできない「財産以外の事務手続き」を任せられるのが最大の特徴。
  • おひとりさまや、親族に負担をかけたくない方にとって、最も確実で安心できる備えとなる。
  • 契約相手は慎重に選び、トラブル防止のためにも専門家を交えて「公正証書」で作成するのが鉄則。
  • 「まだ早い」は禁物。元気で判断能力がはっきりしている「今」こそが、検討を始める絶好のタイミング。


私たち葬儀社は、生前のご葬儀の相談はもちろんのこと、死後事務委任契約に詳しい司法書士など、信頼できる専門家と連携し、皆様の終活をトータルでサポートさせていただいております。

株式会社大阪セレモニー

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山田泰平
専門家

山田泰平(葬儀)

株式会社大阪セレモニー

当社は家族葬を専門に、これまで1000件以上の葬儀をお手伝いさせて頂きました。少人数だからこそ実現できるきめ細やかなサービスと、ご遺族様の想いに寄り添った丁寧な対応を心がけています。

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