「家族が事故死…警察が介入するけど、葬儀はいつからできるの?」

山田泰平

山田泰平

テーマ:葬儀の知識

皆様、こんにちは。
株式会社大阪セレモニー代表の山田泰平です。

ご家族が交通事故や、転落・転倒などの不慮の事故、あるいは事件に巻き込まれるなどして、突然お亡くなりになる…。

このような”突然死”や”異状死”の場合、多くは警察が介入し、死因の特定や事件性の有無について、検視や司法解剖といった捜査が行われることになります。

警察が関わるお葬式は、ご遺族にとって、精神的にも、手続き的にも、通常とは異なる多くの配慮が求められます。

そこで今回は、この「警察が介入する事故死などの場合の、葬儀の進め方と注意点」について、

  • なぜ警察が介入するのか?
  • ご遺体の引き渡しまでの流れ(検視・解剖)
  • 葬儀を始めることができるタイミング
  • 葬儀の準備と、葬儀社との連携の重要性
  • 故人のお身体の状態と、お別れの仕方


などを、分かりやすく解説していきます。

【結論】警察介入時の葬儀は遺体の引き渡し後から。葬儀社と密に連携し、故人の状態に配慮したお別れの形を検討

ご家族が事故死などで亡くなられ、警察が介入した場合、お葬式(通夜・告別式)を始めることができるのは、原則として、警察による検視や司法解剖が終了し、ご遺体がご遺族に引き渡された後となります。

ご遺体の引き渡しまでにかかる時間はケースバイケースで、数日で終わることもあれば、事件性が複雑な場合などは、それ以上の時間がかかることもあります。

このような状況で最も重要なのは、

  1. まずは警察からの連絡を待ち、その指示に従うこと。
  2. 並行して、信頼できる葬儀社にできるだけ早く連絡し、事情を説明して、今後のサポートを依頼すること。
  3. 葬儀社と密に連携を取りながら、ご遺体の引き渡し時期を見極め、葬儀の日程や内容を検討していくこと。

故人様のお身体の状態によっては、お顔を見てのお別れが難しい場合や、特別な処置(エンバーミングなど)が必要になる場合もあります。

葬儀社は、そのような状況も含めて、ご遺族のお気持ちに寄り添い、故人の尊厳を守りながら、できる限り穏やかなお別れができるよう、専門的な知識と経験をもってサポートしてくれます。
精神的に非常につらい状況だからこそ、一人で抱え込まず、早い段階から葬儀社というプロの力を借りることが不可欠です。

1. なぜ警察が介入するのか? 検視と検案


警察が介入するケース:
ご自宅や病院以外での死亡(交通事故、労働災害、転落事故、自殺、他殺など)、あるいはご自宅での死亡であっても死因が不明な場合(突然死、孤独死など)は、「異状死」として扱われ、警察による捜査が行われます。


検視(けんし):
警察官が、犯罪の疑いがあるかどうかを調べるために、ご遺体の状況や現場を調査することです。


検案(けんあん):
医師が、ご遺体の外表を検査し、死亡時刻や死因などを医学的に判断することです。
検視と同時に行われることが多いです。


目的:
事件性の有無を明らかにすることが、最大の目的です。

2. ご遺体の引き渡しまでの流れ:司法解剖が必要な場合も


警察による現場での検視・検案:
この段階では、ご遺族はご遺体に触れることはできません。


警察署などへのご遺体搬送:
多くの場合、ご遺体は警察署の霊安室などに搬送されます。


司法解剖の要否判断:
検視・検案の結果、事件性が疑われる場合や、死因が特定できない場合は、より詳しく調べるために「司法解剖」や「行政解剖」が行われることがあります。
解剖には、ご遺族の承諾が必要な場合と、犯罪捜査のために承諾なしに行われる場合があります。
解剖には数時間~半日程度かかります。


「死体検案書」の発行:
検視・検案(または解剖)が終了すると、監察医または警察の嘱託医から「死体検案書」が発行されます。
これは、病院で発行される「死亡診断書」と同じ法的な効力を持ち、後の死亡届提出などに必要となります。


ご遺体の引き渡し許可:
事件性がないと判断されれば、警察からご遺体の引き渡し許可が出ます。
この許可が出て初めて、ご遺族はご遺体を引き取り、葬儀社に搬送を依頼することができます。


ご遺体の引き渡しまでにかかる時間は、解剖の有無などによって大きく異なります。

当日中に終わることもあれば、数日かかることもあります。

この間、ご遺族は警察からの連絡を待つことになります。

3. 葬儀を始めることができるタイミング


ご遺体の引き渡し後:
前述の通り、警察からご遺体の引き渡し許可が出て、葬儀社がご遺体を安置場所(ご自宅や葬儀社の安置施設)へ搬送した時点から、具体的な葬儀の準備を本格的に始めることができます。


葬儀日程の決定:
ご遺体の安置後、葬儀社の担当者と、火葬場の空き状況や、ご遺族の希望などを考慮して、通夜・告別式の日程を決めていきます。


警察からの要請:
事件性が複雑な場合など、ごく稀に、捜査協力のために火葬を少し待ってほしい、といった要請がある場合もあります。
その場合は、警察の指示に従う必要があります。

4. 葬儀の準備と、葬儀社との連携の重要性

警察が介入するような突然の死は、ご遺族にとって、精神的な衝撃が計り知れません。

そんな中で、葬儀の準備を進めるのは非常にお辛いことです。

だからこそ、早い段階で葬儀社に連絡し、パートナーとして伴走してもらうことが重要になります。


葬儀社の役割:

  • 警察署へのご遺体のお迎え、安置場所への搬送。
  • ご遺体の状態に合わせた適切な処置(後述)。
  • ご遺族のお気持ちに寄り添いながら、葬儀の打ち合わせを進める。
  • 死亡届や火葬許可申請など、煩雑な役所手続きの代行。
  • 警察とのやり取りに関するアドバイス。
  • 今後の見通しや、やるべきことを整理し、ご遺族の不安を軽減する。


5. 故人のお身体の状態と、お別れの仕方

事故や解剖などによって、故人様のお身体に損傷がある場合、お別れの仕方に特別な配慮が必要になることがあります。

ご遺体の状態:
事故の状況や解剖によって、お身体には傷や縫合の跡などが残ることがあります。



葬儀社による処置:

①エンゼルケア(死後処置):
ご遺体を清め、お着替えをさせ、お化粧を施すなどして、できる限り生前の安らかなお姿に近づけるよう、専門のスタッフが処置を行います。


②修復(レストレーション):
もしお顔などに大きな損傷がある場合、特殊な技術を用いて、生前のお写真などを参考に、できる限り自然な状態に修復することを試みる場合もあります。


③エンバーミング:
長期の安置が必要な場合や、感染症予防、そしてご遺体の状態を衛生的に保つために、防腐・殺菌・修復処置を施すエンバーミングも有効な選択肢です。



お顔を見てのお別れ(対面):
ご遺族の希望があれば、できる限りお顔を見てお別れができるよう、葬儀社は最善を尽くします。

しかし、損傷があまりにも激しい場合など、ご遺族の精神的なショックを考慮し、あえてお顔をお見せしない、あるいは布をかけた状態でお別れしていただく、といった判断をさせていただく場合もあります。

これは、故人の尊厳を守り、ご遺族の心の傷を少しでも和らげるための、非常にデリケートな判断となります。葬儀社の担当者とよく相談することが大切です。


このような状況では、ご遺体の処置に関する専門的な技術と、ご遺族の心に寄り添う深い配慮を併せ持つ、経験豊富な葬儀社を選ぶことが、穏やかなお別れのためには不可欠です。

【まとめ】事故死など警察介入時の葬儀は、まず葬儀社に相談を。故人の尊厳と遺族の心に寄り添うお別れを

ご家族を突然の事故などで亡くされ、警察の捜査が入るという状況は、ご遺族にとって二重、三重の苦しみを伴う、想像を絶するほど過酷なものです。

その混乱の中で、故人様とのお別れについて、冷静に考えることは非常に難しいでしょう。

だからこそ、私たちのような専門家を、できるだけ早く、そして最大限に頼っていただきたいと、心から願っています。

では、本日のポイントをまとめます。

  • 事故死など警察が介入する場合、葬儀は”警察からご遺体の引き渡し許可が出た後”から始められる。
  • 引き渡しまでの時間はケースバイケース。警察の指示に従う。
  • まず最初に、”信頼できる葬儀社に連絡し、事情を説明して、今後の全てをサポートしてもらう”ことが重要。
  • 故人のお身体の状態によっては、”専門的な処置(エンゼルケア、修復、エンバーミングなど)”が必要になる。
  • お顔を見てのお別れが可能かどうかは、故人の尊厳とご遺族の心情を考慮し、葬儀社とよく相談して決める。
  • ご遺族自身の”心のケア”を何よりも大切にし、一人で抱え込まず、専門家のサポートも視野に入れる。


このような困難な状況の中で、故人様の尊厳を守り、残されたご遺族が少しでも心穏やかに、そして温かく故人様をお見送りできるよう、お手伝いをさせていただくこと。

それが、私たち葬儀社に課せられた、最も重く、そして尊い使命だと考えています。

株式会社大阪セレモニー

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山田泰平
専門家

山田泰平(葬儀)

株式会社大阪セレモニー

当社は家族葬を専門に、これまで1000件以上の葬儀をお手伝いさせて頂きました。少人数だからこそ実現できるきめ細やかなサービスと、ご遺族様の想いに寄り添った丁寧な対応を心がけています。

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