「葬儀費用、兄弟でどう分担する?喪主だから多く払うべき?」

山田泰平

山田泰平

皆様、こんにちは。
株式会社大阪セレモニー代表の山田泰平です。

ご両親のどちらかがお亡くなりになり、兄弟姉妹で協力してお葬式を執り行う際、儀式そのものは無事に終えられても、その後に”葬儀費用の分担”という、デリケートな問題が持ち上がることがあります。

誰が、どれだけ負担するのかについて、兄弟姉妹それぞれの考え方や経済状況、そして故人との関係性に対する認識が異なると、葬儀費用の分担が、深刻な家族間の亀裂を生む火種になってしまうケースは、残念ながら少なくありません。

そこで今回は、この「兄弟間での葬儀費用の分担」問題について、解説していきます。

【結論】葬儀費用の負担者に法的定めなし。相続財産からの支出が基本、不足分は喪主・兄弟間で協議し、事前の合意形成が最重要

葬儀費用を誰が負担しなければならないかについて、法律上の明確な決まりはありません。

そのため、”喪主が全て負担すべき”、”長男が払うべき”、”兄弟で均等に割るべき”といった、絶対的なルールは存在しないのです。

しかし、一般的な慣習や考え方としては、

まず、故人が遺した相続財産(預貯金など)から支払うのが、最も公平でトラブルになりにくい方法です。

相続財産で賄いきれない、あるいは相続財産がすぐに使えない場合、喪主が一時的に立て替えるか、あるいは兄弟姉妹間で話し合って分担することになります。

その際の分担方法は、「喪主が多く負担する」「兄弟で均等に分ける」「相続分に応じて分ける」など、これも兄弟姉妹間の話し合いによって決められます。


いただいたお香典は、葬儀費用に充当するのが一般的です。

最も重要なのは、誰が支払うかについて法的な決まりがないからこそ、葬儀の準備を始める段階で、兄弟姉妹間で費用負担について事前に話し合い、合意形成をしておくことです。

「誰かが払ってくれるだろう」「喪主がやるのが当たり前」といった思い込みや、話し合いを避けることが、後々の深刻なトラブルに繋がります。

もし、話し合いが難しい場合は、第三者(親族の年長者や、弁護士など)に間に入ってもらうことも検討すべきです。

1. なぜ葬儀費用の分担で揉めるのか?


法的な決まりがない:
誰が負担すべきか明確なルールがないため、それぞれの主張がぶつかりやすい。


経済状況の違い:
兄弟姉妹それぞれの経済的な状況が異なるため、負担できる金額や、負担に対する考え方が違う。


故人との関係性への認識の違い:
「私は長年親の面倒を見てきたのに」「兄はほとんど実家に寄り付かなかったくせに」といった、生前の関わり方に対する不満が、費用負担の問題として表面化する。


「喪主」の役割への誤解:
「喪主=費用を全て負担する人」という古い慣習のイメージが、いまだに根強い場合がある。


コミュニケーション不足:
普段から兄弟間のコミュニケーションが不足していると、お金の話がしにくく、不満が溜まりやすい。

2. 誰が負担する? 法的な考え方と一般的なパターン

法律上、葬儀費用は「相続債務(故人の借金など)」とは異なり、誰が負担すべきか直接定めた規定はありません。

過去の判例では、「葬儀を主宰した者(通常は喪主)が負担するのが相当」とされたケースもありますが、これも絶対的なものではありません。

現実的には、以下のパターンで負担されることが多いです。


パターン①:故人の相続財産から支払う

最も一般的で、公平性が高く、トラブルになりにくい方法です。故人自身が自分の葬儀費用を支払う、という考え方ですね。

ただし、故人の預金口座は死亡後に凍結されるため、すぐに引き出すことはできません。相続人が一時的に立て替えるか、金融機関の仮払い制度を利用する必要があります。



パターン②:喪主が負担する

喪主が葬儀の主催者として、費用の全額または大部分を負担するケース。特に、喪主が多くの遺産を相続する場合などに見られます。

しかし、これはあくまで慣習的なものであり、喪主に全額負担の義務があるわけではありません。



パターン③:兄弟姉妹で分担する

相続財産で賄えない場合や、相続財産がない場合に、兄弟姉妹で話し合って費用を分担します。

分担方法の例:

均等に分ける:最もシンプルで分かりやすい方法。

相続分に応じて分ける:多くの遺産を受け取る人が、多く負担するという考え方。

年長者が多く出す、あるいは経済的に余裕のある人が多く出すなど、状況に応じた柔軟な分け方。

3. 喪主の役割と費用負担の関係

喪主は、葬儀の主催者であり、遺族の代表者です。

そのため、葬儀社との契約者となり、費用の支払い窓口となることが多いですが、「喪主であること」と「葬儀費用を全額負担する義務があること」は、イコールではありません。

この点を、兄弟姉-妹全員が正しく理解しておくことが、無用な対立を避けるために重要です。

喪主は、あくまで代表者として一時的に費用を立て替えているだけで、その後の精算方法は、別途協議で決めるべき、という考え方が現代では主流です。

4. 香典の扱いはどうするべきか

葬儀でいただくお香典は、故人への弔意と共に、遺族の費用負担を助けるという意味合いも持ちます。

葬儀費用への充当:
一般的には、まずいただいたお香典を葬儀費用の一部に充当し、それでも不足する分をどうするか、という形で話し合うのがスムーズです。


香典の管理:
誰が香典を管理し、収支を記録するのかを明確にしておきましょう。通常は喪主または受付・会計係が担当し、全ての香典の金額と氏名を「香典帳」に正確に記録します。


香典が費用を上回った場合:
もし、いただいた香典の総額が葬儀費用を上回った場合、その残額は相続財産として遺産分割の対象とするか、あるいは今後の法要の費用などに充てるか、など、その扱いについても話し合っておくと良いでしょう。

5. 揉めないための話し合いのポイントと、事前の取り決め


葬儀前に話し合う:
葬儀社との打ち合わせの際に、兄弟姉妹も同席し、見積もり内容を確認しながら、その場で費用負担について話し合い、合意しておくのが理想的です。


情報をオープンにする:
葬儀費用の見積書や請求書、香典帳などは、全員がいつでも確認できるようにし、透明性を確保しましょう。


それぞれの事情を尊重する:
経済的な状況は人それぞれです。一方的に負担を押し付けるのではなく、お互いの状況を理解し、尊重し合う姿勢が大切です。


合意内容は書面に残す:
「葬儀費用は、香典を充当した残額を、兄弟3名で均等に負担する」といったように、合意した内容を簡単なものでも良いので書面に残し、全員が署名しておくと、後のトラブルを確実に防げます。

【まとめ】葬儀費用の分担は事前の話し合いが全て。感謝と配慮で円満な解決を

葬儀費用の分担は、法律で決まっていないからこそ、残された家族の「配慮」や「話し合い」が非常に重要となる問題です。

故人様を安らかにお見送りするという共通の目的のために、兄弟姉妹が協力し合うべき場面で、お金のことで争ってしまうのは、故人様にとっても、これほど悲しいことはないでしょう。

では、本日のポイントをまとめます。

  • 葬儀費用の負担者に法的な決まりはない。
  • まずは”故人の遺産”から、次に”香典”から支払い、不足分を相続人間で協議して分担するのが一般的。
  • 「喪主=全額負担」ではない。この誤解がトラブルの原因になりやすい。
  • 最も重要なのは、葬儀前に、費用負担について兄弟姉妹全員で話し合い、合意しておくこと。
  • 話し合った内容は、簡単なものでも良いので書面に残しておくと、後のトラブル防止に効果的。
  • もし揉めてしまったら、一人で抱え込まず、第三者や弁護士に相談する。


葬儀は、家族の絆が試される時でもあります。

お互いの立場や状況を思いやり、感謝の気持ちを忘れずに、誠実に話し合うことができれば、きっと円満な解決に至るはずです。

その協力し合う姿こそが、故人様への何よりの供養になるのではないでしょうか。

株式会社大阪セレモニー

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山田泰平
専門家

山田泰平(葬儀)

株式会社大阪セレモニー

当社は家族葬を専門に、これまで1000件以上の葬儀をお手伝いさせて頂きました。少人数だからこそ実現できるきめ細やかなサービスと、ご遺族様の想いに寄り添った丁寧な対応を心がけています。

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