「相続した実家が違法建築だった!売れないし、どうすればいい?」

山田泰平

山田泰平

テーマ:相続関係

皆様、こんにちは。
株式会社大阪セレモニー代表の山田泰平です。

ご両親などがお亡くなりになり、思い出の詰まったご実家を相続した。

しかし、いざその家を売却しようとしたり、あるいはリフォームしようとしたりした際に、不動産会社や建築士から、

「この建物、建築基準法に違反している『違法建築』ですね…」

と、衝撃的な事実を告げられるケースがあります。

長年、何の問題もなく住み続けてきた家が、実は法律に違反した状態だった場合、単に「売りにくい」というだけでなく、法的なリスクや、将来的な費用負担の問題も絡む、非常に厄介な問題です。

そこで今回は、この「違法建築物件を相続してしまった場合の対処法」について、

  • そもそも「違法建築」とは何か?
  • なぜ違法建築が生まれるのか?
  • 相続した場合に直面する具体的なリスクと問題点
  • 考えられる対処法(是正、売却、解体、賃貸など)

などを、分かりやすく解説していきます。

【結論】相続した違法建築は是正・解体か、訳あり物件として売却を検討。建築士・不動産会社・弁護士等への早期相談が必須

故人様から相続した実家が「違法建築」であった場合、その不動産は、”法的なリスク”と”経済的な不利益”を伴う、非常に扱いの難しい資産となります。

そのままの状態で、通常の不動産として売却することや、建て替えのための住宅ローンを組むことは、極めて困難です。

このような状況に直面した場合、考えられる主な対処法は、

是正工事を行う:
違反している部分を、多額の費用をかけて適法な状態に改修する。


解体して更地にする:
建物を解体し、土地として売却または活用する。

解体費用がかかり、固定資産税が上がる可能性もある。


「訳あり物件」として売却する:
違法建築であることを買主に告知した上で、相場より大幅に安い価格で売却する。

専門の買取業者などが対象となることが多い。


賃貸に出す:
現状のまま賃貸に出すことも可能だが、入居者への告知義務や、将来的なリスクが伴う。


どの選択肢を選ぶにしても、まずは建築士や施工会社に相談し、どのような違反があり、是正にどれくらいの費用がかかるのかを正確に把握することが第一歩です。

その上で、相続不動産に詳しい不動産会社や、必要であれば弁護士などの専門家と連携し、最も現実的で、かつ損害を最小限に抑えられる方法を検討していくことが重要です。

問題を放置しておくことが、最もリスクを高める行為となります。

1. そもそも「違法建築」とは何か? 主なパターン

違法建築とは、建築基準法や都市計画法といった、建物を建てる際の法律や条例に違反している建物のことです。

建築時には適法だったものが、その後の増改築によって違法状態になるケースも多く含まれます。

主なパターン:

建ぺい率・容積率オーバー:
敷地面積に対して、定められた建築面積(建ぺい率)や、延べ床面積(容積率)の上限を超えてしまっている。増築が主な原因。


接道義務違反:
建築基準法では、建物を建てる敷地は、幅員4m以上の道路に2m以上接していなければならない、と定められています(接道義務)。

この要件を満たしていない場合、原則として再建築ができません(再建築不可物件)。


用途地域違反:
住居専用地域に、店舗や工場を建ててしまうなど、定められた用途以外の建物を建てている。


高さ制限・日影規制違反:
周辺の日照などを確保するための、建物の高さに関する規制に違反している。


構造上の問題:
耐震基準を満たしていない、防火壁が設置されていないなど、安全性に関わる違反。


建築確認申請を出さずに増改築:
一定規模以上の増改築には、役所の建築確認申請が必要ですが、これを行わずに工事をしてしまった場合。

2. なぜ違法建築が生まれるのか?


建築後の無断増改築:
居住スペースを広げるために、建築確認を取らずにサンルームや部屋を増築してしまうケースが最も多いです。


建築当時の規制とのズレ:
建築当時は適法だったが、その後の法改正によって、現在の基準では不適合(既存不適格)となっている場合もあります(これは厳密には違法建築とは区別されますが、売却などの際には同様の問題が生じることがあります)。


建築会社の認識不足や意図的な違反。

3. 違法建築を相続した場合に直面する具体的なリスクと問題点


売却が極めて困難:

一般の買い手は、住宅ローンを組むことができません。

金融機関は、担保価値のない違法建築物件には融資を行わないからです。

将来的なリスク(是正命令、再建築不可など)を嫌い、現金での購入希望者もほとんど現れません。



行政からの是正命令・罰則のリスク:

自治体から、違反状態を是正するよう命令が出される可能性があります。

命令に従わない場合、使用禁止命令や、最終的には行政代執行(行政が強制的に是正工事や解体を行い、費用を請求する)に至る可能性も。

罰則が科されることもあります。



安全上の問題:
耐震性や防火性に問題がある場合が多く、地震や火災の際に、倒壊や延焼のリスクが高く、所有者だけでなく近隣住民にも危険を及ぼします。


リフォーム・増改築ができない:
違法状態のままでは、大規模なリフォームや増改築の許可が下りません。


資産価値が低い:
上記の理由から、不動産としての資産価値は著しく低く評価されます。

4. 考えられる対処法:選択肢とそれぞれの特徴


【対処法①】是正工事を行い、適法な状態に戻す

内容:建築士などに相談し、違反している部分を特定し、解体や改修工事を行って、法律に適合した状態にします。

メリット:適法な状態にすれば、通常の不動産として売却したり、ローンを組んでリフォームしたりすることが可能になります。

デメリット:工事費用が高額になることが多いです。是正のために、居住スペースが狭くなることもあります。



【対処法②】建物を解体して更地にする

内容:建物を全て解体し、土地として売却または活用します。

メリット:建物の違法性や管理責任、倒壊リスクなどが全て解消されます。土地としての方が売却しやすい場合も多いです。

デメリット:解体費用がかかります。また、建物がなくなることで、固定資産税の住宅用地特例が適用されなくなり、税額が最大6倍になる可能性があります。



【対処法③】「訳あり物件」として売却する

内容:違法建築であることを、買主に正直に告知(重要事項説明)した上で、”現状のまま”売却します。

メリット:是正工事や解体の費用をかけずに、手放すことができます。

デメリット:売却価格は、周辺の相場よりも”大幅に安く”なります。買い手は、現金で購入できる不動産投資家や専門の買取業者などに限られます。



【対処法④】賃貸に出す

内容:現状のまま、賃貸物件として貸し出します。

メリット:家賃収入を得られる可能性があります。

デメリット:入居者募集の際に、違法建築であることや再建築不可であることなどを告知する義務が生じる場合があります。入居者が住宅ローンを組めないのと同様、事業用ローンなども組めないため、借り手が見つかりにくいです。また、安全性に問題がある場合、貸主としての責任を問われるリスクが残ります。

【まとめ】相続した違法建築は「負動産」と認識し、専門家と連携して早期解決を

相続した実家が違法建築だったという現実は、ご遺族にとって非常に重く、ショッキングなことだと思います。

しかし、その問題から目を背け、放置してしまうことが、将来的に最も大きなリスクを生み出します。

故人様も、残された家族がそのような重荷を背負い続けることは、決して望んでいないはずです。

では、本日のポイントをまとめます。

  • 相続した家が違法建築だった場合、”通常の売却やローン利用は極めて困難”。
  • 放置すると、行政からの是正命令や、倒壊・事故による損害賠償責任、税金の増加など、”多くのリスク”がある。
  • 対処法は主に「是正工事」「解体して更地化」「訳あり物件として売却」の3つ。それぞれに費用とメリット・デメリットがある。
  • まずは建築士に相談し、”違反内容と是正の可否・費用を正確に把握する”ことが第一歩。
  • 不動産会社、弁護士、税理士など、”各分野の専門家と連携して、最適な解決策を探る”ことが不可欠。


このような困難な状況に直面した場合は、決して一人で抱え込まず、専門家の客観的な意見を聞きながら、冷静に、そして計画的に対処していくことが重要です。

株式会社大阪セレモニー

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山田泰平
専門家

山田泰平(葬儀)

株式会社大阪セレモニー

当社は家族葬を専門に、これまで1000件以上の葬儀をお手伝いさせて頂きました。少人数だからこそ実現できるきめ細やかなサービスと、ご遺族様の想いに寄り添った丁寧な対応を心がけています。

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