相続放棄のデメリット【最新情報】知らないと損する?安易な選択が招く落とし穴とは
皆様、こんにちは。
株式会社大阪セレモニー代表の山田泰平です。
ご両親などがお亡くなりになり、遺産を相続したものの、その主な財産が、ご自身が住んでいる場所から遠く離れた”遠方の不動産”だった、というケースが増えています。
例えば、子供は都市部で家庭を持っているが、ご実家は地方にある、といった場合ですね。
このような状況に直面すると、物理的な距離が、”管理”、”売却”、”費用負担”といったあらゆる面で大きな壁となり、いわゆる”負動産”になってしまう可能性を秘めています。
またこれらを放置しておくと、金銭的な負担が増え続けるだけでなく、将来的にさらに深刻な問題を引き起こしかねません。
そこで今回は、この「遠方の不動産を相続した場合の対処法」について、
- なぜ遠方の不動産相続が問題になりやすいのか?
- まず行うべきこと(現状把握と情報収集)
- 主な選択肢(管理、売却、寄付、相続放棄など)とその現実的な検討
- 遠隔で売却活動を進めるためのポイント
- どうしても売れない場合の最終手段
などを、分かりやすく解説していきます。
【結論】遠方不動産の相続は早期の現状把握と方針決定が必須。現地の専門家と連携し、管理・売却・寄付・相続放棄を検討
故人様から遠方の不動産を相続した場合、最も重要なのは、問題を先送りにせず、できるだけ早い段階で、その不動産の現状を正確に把握し、今後どうするのかの方針を相続人全員で決定すること。
物理的に距離があるからこそ、放置のリスクは格段に高まります。
具体的な対処法の選択肢としては、
管理:当面維持する場合。現地の管理会社やシルバー人材センターなどに管理を委託する方法を検討。
売却:最も現実的で、多くの場合推奨される選択肢。現地の不動産会社と連携し、売却活動を進める。
寄付:自治体や、隣地の所有者などに寄付を打診する。ただし、受け付けてもらえるケースは稀。
相続放棄:不動産以外にめぼしい財産がなく、管理や処分の負担があまりにも大きい場合に検討する最終手段の一つ。
どの選択肢を選ぶにしても、”現地の状況に詳しい、信頼できる専門家(特に不動産会社)を見つけ、パートナーとして連携していくこと”が、遠隔での手続きを成功させるための鍵となります。
また、売却も寄付も難しい、いわゆる”負動産”となってしまった場合には、相続放棄という選択肢も真剣に考えなければなりません。その場合は、相続開始を知った時から3ヶ月以内という期限があるため、早期の決断が必要です。
1. なぜ遠方の不動産相続が問題になりやすいのか?
物理的な管理が困難:
定期的に現地を訪れて、建物の換気や庭の草むしり、周辺の清掃などを行うことが難しく、建物が急速に老朽化し、荒れ放題になりやすい。
現状把握が難しい:
不動産の現在の状態や、周辺環境の変化、地域の不動産市場の動向などを把握しにくい。
売却活動のハードルが高い:
現地の不動産会社とのコミュニケーションや、内覧の対応、契約手続きなどで、時間的・金銭的な負担が大きい。
心理的な距離感:
物理的な距離が、問題への対応を後回しにしてしまう心理的な要因にもなりやすい。
需要の低さ:
特に地方の過疎地域にある不動産の場合、そもそも買い手や借り手が見つかりにくい。
これらの要因が重なり、結果的に「負動産」として、所有者である相続人に重くのしかかってくるのです。
2. まず行うべきこと:現状把握と情報収集(遠隔での方法)
遠方であっても、まずは以下の情報を集め、不動産の現状を把握しましょう。
書類による確認:
①固定資産税納税通知書:不動産の評価額や、所在地、面積などの基本的な情報を確認します。
②権利証(登記識別情報)や登記事項証明書(登記簿謄本):法務局で取得し、正確な所有者や権利関係を確認します。
インターネットによる情報収集:
①Googleマップ(ストリートビュー):周辺の街並みや、建物の外観などを大まかに確認できます。
②自治体のウェブサイト:地域の人口動態、都市計画、ハザードマップなどの情報を確認します。
③不動産ポータルサイト:周辺の物件の売出価格や家賃相場などを調べ、大まかな市場価値を把握します。
現地の関係者への聞き取り:
もし、故人がお付き合いしていた近所の方や、親戚、地域の民生委員など、連絡が取れる人がいれば、現在の家の状況などを教えてもらえないか、丁寧に相談してみましょう。
一度は現地を訪問する:可能であれば、一度は現地を訪れ、ご自身の目で建物の状態や周辺環境を確認することが望ましいです。その際、複数の不動産会社を訪問し、直接話を聞くこともできます。
3. 選択肢①「管理する」場合の現実的な方法
当面、売却や処分をせずに維持管理すると決めた場合、遠隔での管理には工夫が必要です。
空き家管理代行サービスの利用:
①不動産会社、警備会社、NPO法人などが、有料で空き家の管理を代行してくれるサービスです。
②サービス内容:定期的な巡回、建物の換気、通水、郵便物の転送、庭の草むしり、簡易清掃、状況報告など。
③費用:月額数千円~1万円程度が目安。
シルバー人材センターへの依頼:地域のシルバー人材センターに、庭の草むしりや、簡単な清掃などを依頼することも可能です。比較的安価な場合が多いです。
近隣の親族や知人への依頼:もし、近くに信頼できる親族や知人がいれば、管理をお願いすることも考えられますが、相手の負担になるため、相応のお礼をするなどの配慮が不可欠です。
ただし、これらの管理はあくまで現状維持であり、固定資産税などの費用はかかり続けます。恒久的な解決策ではないことを理解しておく必要があります。
4. 選択肢②「売却する」場合のポイント
多くの場合、最も現実的な解決策となるのが売却です。
現地の不動産会社選びが鍵:
①遠方の不動産売却の成否は、信頼できる現地の不動産会社を見つけられるかどうかにかかっています。
②探し方:インターネットの一括査定サイトを利用する、あるいは「〇〇市 不動産会社」などで検索し、複数の会社をリストアップします。相続不動産の売却実績が豊富か、地域に密着しているか、などをウェブサイトで確認します。
③連絡・相談:電話やメール、オンライン面談などで連絡を取り、担当者の対応や知識、提案内容などを比較検討します。
査定と媒介契約:複数の会社に査定を依頼し、査定価格とその根拠をしっかり確認します。納得できる会社と媒介契約を結び、売却活動を依頼します。
遠隔での手続き:売買契約や決済なども、司法書士や不動産会社のサポートがあれば、現地に行かずに郵送や代理で行える場合があります。
古家付き土地として売るか、更地にして売るか:建物の状態が悪い場合は、解体して更地にした方が売れやすいこともあります。解体費用と、更地にした場合の固定資産税の増加を考慮し、不動産会社と相談して判断します。
5. どうしても売れない場合の最終手段
長期間売却活動をしても買い手が見つからない、いわゆる「売れない不動産」だった場合は、さらに難しい判断が迫られます。
寄付:
まずは、隣地の所有者に「この土地(建物)を無償でお譲りしたいのですが…」と打診してみる。相手にとっては土地が広がるメリットがあるため、可能性があります。
次に、その不動産がある自治体(市区町村)に寄付を申し出る。しかし、管理の手間や費用がかかるため、利用価値が低い不動産の寄付は、ほとんどの場合断られます。
相続放棄:
相続財産がその遠方の不動産だけで、管理や処分の費用・負担が、その価値を明らかに上回る場合。
あるいは、不動産以外に借金などのマイナスの財産が多い場合。
このような場合は、”相続開始を知った時から3ヶ月以内”に、家庭裁判所で「相続放棄」の手続きを行うことを検討します。
ただし、相続放棄をすると、預貯金など他のプラスの財産も全て相続できなくなります。また、放棄しても、次の管理者が決まるまで一定の管理責任が残る可能性もあるため、弁護士などの専門家とよく相談した上で、慎重に判断する必要があります。
相続土地国庫帰属制度:2023年4月から始まった新しい制度で、一定の要件を満たす相続した土地を、国に引き取ってもらう制度です。ただし、審査が厳しく、建物がない更地であること、境界が明確であること、管理費用の10年分相当の負担金を納付することなど、ハードルは高いのが現状です。
【まとめ】遠方の不動産相続は「放置」が最大のリスク。早期に方針決定と専門家への相談を
遠方にあるというだけで、相続した不動産の問題を先送りにしてしまうのは、最も避けるべきことです。
管理が行き届かない空き家は、経済的な負担が増え続けるだけでなく、地域社会にとってもリスクとなり、ご自身の精神的な重荷にもなり続けます。
では、本日のポイントをまとめます。
・遠方の不動産を相続したら、まず”書類やインターネットで現状把握”に努める。
・”管理、売却、寄付、相続放棄”といった選択肢のメリット・デメリットを理解する。
・管理や売却を進める際は、”信頼できる現地の専門家(不動産会社など)”との連携が不可欠。
・どうしても買い手が見つからず、負担が大きい場合は、相続放棄も重要な選択肢。ただし期限は3ヶ月。
・問題を先送りにせず、”できるだけ早い段階で、相続人全員で今後の方針を話し合い、決定する”ことが最も重要。
[背景黄色]物理的な距離は、現代ではオンラインでのやり取りや、専門家のサポートで乗り越えることができます。[/背景色]
大切なのは、問題を直視し、解決に向けて一歩を踏み出すこと。
その一歩が、将来の不安を取り除き、故人が遺してくれた財産を、負の遺産ではなく、意味のある形で整理することに繋がります。
株式会社大阪セレモニー



