地方でも火葬場が足りない…葬儀日程が1週間以上遅れた衝撃事例
皆様、こんにちは。
株式会社大阪セレモニ代表の山田泰平です。
ご家族がお亡くなりになり、その方が会社員や公務員としてお勤めで、勤務先の「健康保険(協会けんぽ、組合健保、共済組合など)」に加入されていた場合、あるいはその被扶養者だった場合。
実は、その健康保険から、葬儀費用の一部として「埋葬料(まいそうりょう)」または「埋葬費(まいそうひ)」という給付金が支給される制度があることをご存知でしょうか。
前回のコラムでは、国民健康保険などから支給される「葬祭費」について解説しましたが、今回の「埋葬料(費)」は、それとは対象となる保険制度が異なります。
これらの給付金は、ご遺族からの申請があって初めて支給されるものであり、自動的に振り込まれるものではありません。
せっかくの制度ですから、対象となる場合は、忘れずに手続きをして、少しでも葬儀費用の負担軽減に繋げたいですよね。
そこで今回は、この「埋葬料・埋葬費」について、
- そもそも埋葬料・埋葬費とは何か?その目的
- 誰が対象となるのか?(故人の加入保険)
- 「埋葬料」と「埋葬費」の違いと、誰が受け取れるのか
- 支給される金額
- 申請手続きの具体的な流れと必要書類
- 【重要】申請期限について
- 注意すべき点(葬祭費との関係など)
などを、分かりやすく解説していきます。
【結論】埋葬料・埋葬費は会社の健康保険加入者の葬儀費用補助。生計維持遺族や埋葬実行者が2年以内に申請
故人様が会社の健康保険(協会けんぽ、組合健保、共済組合など)の被保険者本人、またはその被扶養者であった場合、その方の葬儀(埋葬)に関して、健康保険から給付金が支給されます。
これが「埋葬料」または「埋葬費」です。
埋葬料:故人によって生計を維持されていて、埋葬を行った遺族(配偶者、子、父母など)に、原則として一律5万円が支給されます。
埋葬費:埋葬料を受け取れる遺族がいない場合に、実際に埋葬を行った人(友人、知人、会社など)に対して、埋葬にかかった実費(上限5万円)が支給されます。
これらの給付金は、自動的に支給されるものではなく、必ず申請者自身が、故人が加入していた健康保険組合、協会けんぽの支部、または共済組合などに申請手続きを行う必要があります。
申請には、故人の死亡を証明する書類や、申請者と故人との関係を示す書類などが必要です。
申請期限は、死亡した日(埋葬費の場合は埋葬を行った日)の翌日から「2年以内」と定められています。
この期限を過ぎると受け取れなくなってしまうため、注意が必要です。
1. 埋葬料・埋葬費とは? なぜ支給されるのか、その目的
埋葬料・埋葬費は、健康保険法などに基づいて、被保険者またはその被扶養者が死亡した場合に、葬儀(埋葬)を行う者の経済的な負担を軽減することを目的として支給される給付金です。
国民健康保険などから支給される「葬祭費」と目的は同じですが、根拠となる法律や、支給元、支給対象者が異なります。
2. 誰が対象となるのか?(故人の加入保険)
埋葬料・埋葬費の支給対象となるのは、亡くなった故人様が、死亡当時に以下のいずれかの健康保険に加入していた場合です。
- 会社の健康保険(全国健康保険協会管掌健康保険=協会けんぽ)
- 組合管掌健康保険(健康保険組合)
- 共済組合(公務員などが加入)
- 船員保険
これらの健康保険の「被保険者本人」が亡くなった場合、またはこれらの健康保険の「被扶養者」が亡くなった場合に、支給の対象となります。
故人が国民健康保険や後期高齢者医療制度に加入していた場合は、「葬祭費」の支給対象となり、埋葬料(費)の対象とはなりません。
3.「埋葬料」と「埋葬費」の違いと、誰が受け取れるのか
ここが少しややこしい部分ですが、支給の条件によって「埋葬料」と「埋葬費」のどちらになるか、そして受け取れる人が変わります。
埋葬料:
支給対象者:故人(被保険者または被扶養者)によって”生計を維持されていて”、かつ”埋葬を行った遺族”。
「生計を維持されていた」とは、必ずしも健康保険の被扶養者であった必要はなく、故人の収入によって生活が成り立っていた、といった実態で判断されます。
「遺族」の範囲は、配偶者(内縁関係含む)、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹など、民法上の扶養義務者です。
【故人が被扶養者の場合】:この場合は「家族埋葬料」という名称になり、その被扶養者を扶養していた”被保険者本人”に支給されます。
埋葬費:
支給対象者:上記「埋葬料」を受け取ることができる遺族がいない場合に、”実際に埋葬を行った人”。
例えば、身寄りのない故人のために、友人や知人、あるいは会社や大家さんが費用を立て替えて埋葬を行ったケースなどが該当します。
まずは「埋葬料」の対象となる遺族がいるかどうかを確認し、いない場合に「埋葬費」の申請を検討する、という流れになります。
4. 支給される金額はいくら?
埋葬料(家族埋葬料含む):
原則として、”一律5万円”です。
実際にかかった葬儀費用が5万円未満であっても、5万円が支給されます。
埋葬費:”実際に埋葬にかかった費用”が支給されます。
ただし、上限があり、埋葬料の額(つまり5万円)を超えることはありません。
例えば、埋葬に3万円かかった場合は3万円、7万円かかった場合は上限の5万円が支給されます。
この「埋葬にかかった費用」とは、葬儀代そのものではなく、霊柩車代、火葬料、僧侶へのお礼など、埋葬に直接要した費用を指すことが一般的です。
5. 申請手続きの具体的な流れと必要書類
【STEP1】申請窓口の確認と必要書類の入手
申請窓口は、故人が加入していた健康保険の種類によって異なります。
協会けんぽの場合:全国健康保険協会の各都道府県支部
健康保険組合の場合:故人が勤務していた会社の人事・総務担当部署、または直接その健康保険組合
共済組合の場合:各共済組合
これらの窓口に連絡し、「健康保険埋葬料(費)支給申請書」の用紙を入手します。勤務先を通じて入手できることも多いです。
【STEP2】必要書類の準備
申請書と共に、以下の書類などが必要になります。詳細は必ず申請窓口にご確認ください。
- 故人の死亡を証明する書類(死亡診断書のコピー、死体検案書のコピー、戸籍謄本、住民票除票など)
- (埋葬料の場合)申請者と故人との続柄及び生計維持関係が確認できる書類(住民票、戸籍謄本など)
- (埋葬費の場合)埋葬に要した費用がわかる領収書や明細書、及びその費用の支払者が確認できる書類
- 申請者の預金通帳のコピー(振込先口座)
- 故人の健康保険証(資格喪失手続きの際に返却済みであれば不要なことも)
【STEP3】申請書の提出
記入した申請書と、収集した必要書類を、指定された窓口に提出します。郵送での提出も可能です。
【STEP4】審査と支給
提出された書類に基づいて審査が行われ、問題がなければ、通常、申請から数週間~2ヶ月程度で、指定した口座に埋葬料(費)が振り込まれます。
6.【重要】申請期限について:2年を過ぎるともらえない!
埋葬料・埋葬費の請求権にも、時効があります。
申請期限は、原則として「死亡した日(埋葬費の場合は埋葬を行った日)の翌日から2年間」です。
この2年の期限を過ぎてしまうと、たとえ支給対象であっても、埋葬料(費)を受け取ることができなくなってしまいます。
葬儀後は様々な手続きに追われますが、この申請も忘れずに行うようにしましょう。
7. 注意すべき点(葬祭費との関係など)
国民健康保険等の「葬祭費」との重複不可:故人が国民健康保険や後期高齢者医療制度に加入していた場合は「葬祭費」の対象となり、埋葬料(費)は支給されません。二重に受け取ることはできません。
退職後すぐの死亡の場合:退職後であっても、一定の条件(例えば、資格喪失後3ヶ月以内の死亡など)を満たせば、退職前に加入していた会社の健康保険から埋葬料(費)が支給される場合があります。この場合、国民健康保険の葬祭費とどちらか一方を選択することになります。どちらが得か、窓口で確認しましょう。
労災保険の「葬祭料(葬祭給付)」との関係:もし故人の死亡が業務上の原因(労災事故など)である場合は、労災保険から「葬祭料(葬祭給付)」が支給されます。この場合、健康保険からの埋葬料(費)は支給されません(労災保険が優先されます)。
生命保険との関係:生命保険の死亡保険金とは全く別の制度ですので、生命保険金を受け取っていても、埋葬料(費)の支給には影響しません。
【まとめ】埋葬料・埋葬費は会社の健康保険からの給付金。忘れずに2年以内に請求を
故人様が会社員や公務員などで、勤務先の健康保険に加入されていた場合に支給される「埋葬料」または「埋葬費」は、葬儀を行った方や遺族の経済的な負担を軽減するための大切な制度です。
その存在を知らなかったり、申請を忘れたりして、受け取れるはずのお金を受け取りそびれてしまうのは、非常にもったいないことです。
では、本日のポイントをまとめます。
- 埋葬料・埋葬費は、故人が会社の健康保険の被保険者または被扶養者だった場合に支給される。
- 「埋葬料」は生計維持遺族に原則5万円、「埋葬費」は埋葬実行者に実費(上限5万円)。
- 必ず申請が必要。申請期限は死亡(または埋葬)の翌日から2年以内。
- 申請窓口は、加入していた健康保険組合、協会けんぽ、共済組合など(勤務先経由が多い)。
- 国民健康保険等の「葬祭費」とは重複して受け取れない。
葬儀後は、色々あ手続きに追われてしまうと思いますが、この埋葬料(費)の申請も、忘れずに行っていただきたいと思います。
「故人の国民健康保険から出る『葬祭費』って、誰がもらえるの?
株式会社大阪セレモニー



