故人の愛した音楽で送る。心に響く「音楽葬」のすべて
皆様、こんにちは。
株式会社大阪セレモニー代表の山田泰平です。
大切なご家族がお亡くなりになり、悲しみに暮れる中で相続財産の調査を進めたところ、預貯金や不動産といったプラスの財産はほとんどなく、むしろ消費者金融からの借入やローン、誰かの連帯保証など、”莫大な借金”だけが残されていた…。
そんな過酷な現実に直面し、「借金を相続しないためには相続放棄しかないって聞いたけど、そうしたら葬儀もできないの?」と、経済的な困窮と故人を弔いたいという想いとの間で、八方塞がりな気持ちになってしまう方は、決して少なくありません。
これは、単にお金がないという問題だけでなく、故人への想いをどう形にすれば良いのか、そして残された自分たちの生活はどうなるのかという、非常に深刻で、精神的にも追い詰められる状況です。
そこで今回は、この「故人の遺産が借金ばかりだった場合の、葬儀と供養」という、非常に切実な悩みについて、
- まず確認すべきこと(借金の正確な把握)
- 「相続放棄」を選択した場合の葬儀費用の考え方
- 費用を抑えた葬儀の選択肢(直葬、福祉葬など)
- 相続放棄をしても、故人の供養はできるのか?
- 残された家族の生活を守るために
- 専門家(弁護士、司法書士など)への早期相談の重要性
などを、分かりやすく解説していきます。
【結論】故人の借金超過時は相続放棄を。葬儀費用は相続財産から支出せず、福祉葬や生活費からの捻出を検討。
故人様の遺産が明らかに借金などのマイナスの財産の方が多い(債務超過)と判明した場合、残されたご家族がその借金を背負わないためには、家庭裁判所で「相続放棄」の手続きを行うのが最も確実な方法です。
相続放棄をすれば、借金の支払い義務は一切なくなります。
しかし、ここで大きな問題となるのが「葬儀費用」です。
相続放棄をする場合、原則として故人の相続財産(預貯金など)から葬儀費用を支出することはできません。
それを行うと「単純承認」とみなされ、相続放棄ができなくなるリスクがあるからです。
そのため、葬儀費用は、
①相続人が自身の財産から支払う(ただし、これも単純承認とみなされるリスクを考慮し、専門家と要相談)。
②香典で賄う(ただし、香典も相続財産とみなされる解釈もあるため注意が必要)。
③生活保護を受給しているなど、経済的に困窮している場合は、自治体の「葬祭扶助(福祉葬)」を利用する(葬儀内容は直葬に限られる)。
④生命保険金(受取人固有の財産)から支払う(ただし、これも単純承認リスクを考慮し慎重に)。
といった方法を検討することになります。
そして、最も重要な点の一つが、”相続放棄をしても、故人の供養ができなくなるわけではない”ということです。
お墓参りや法要、仏壇での供養など、故人を偲び、感謝する気持ちを表す行為は、相続放棄とは関係なく、ご遺族の想いとして行うことができます。
ただし、その費用を故人の遺産から支出することはできません。
経済的な状況に合わせて、無理のない範囲で、心を込めた供養を続けることが大切です。
このような複雑な状況では、必ず早期に弁護士や司法書士などの専門家に相談することが、最善の道を見つけるための鍵となります。
それでは、故人の遺産が借金ばかりだった場合の具体的な対応や注意点について、その根拠となる部分を詳しく掘り下げていきましょう。
1. なぜ借金も相続されるのか?「相続放棄」の重要性(再確認)
相続は、プラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も全て引き継ぐ「包括承継」が原則です。
もし、故人の借金がプラスの財産を明らかに上回っている場合、そのまま相続してしまうと、相続人がその借金を返済する義務を負うことになります。
これを避けるためには、相続開始を知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所で「相続放棄」の手続きを行う必要があります。
相続放棄をすれば、最初から相続人ではなかったことになり、借金の支払い義務も一切なくなります。
2.「相続放棄」と「葬儀費用」のデリケートな関係
相続放棄をする(または検討している)場合、葬儀費用の支払いには細心の注意が必要です。
故人の相続財産からの支出は原則NG:
故人の預貯金など、相続財産から葬儀費用を支払うと、その財産を処分(費消)したとみなされ、「単純承認」したと判断されるリスクがあります。単純承認とみなされると、後から相続放棄はできません。
例外的に認められる可能性も?:
過去の判例では、社会通念上相当な範囲の葬儀費用を、相続財産から支出しても、直ちに単純承認とはみなされない、とする傾向もあります。しかし、「社会通念上相当な範囲」というのは非常に曖昧で、個別の判断となるため、リスクが伴います。
最も安全なのは、”相続放棄の手続きが完了するまでは、故人の財産には一切手を付けない”ことです。
しかし、現実問題として葬儀費用は発生します。このジレンマをどう解消するかが大きな課題です。
3. 費用を抑えた葬儀の選択肢:直葬(火葬式)・福祉葬
葬儀費用をできるだけ抑えたい場合、以下の選択肢があります。
直葬(火葬式):
通夜や告別式といった儀式を行わず、ごく限られた近親者のみで、火葬場で簡単なお別れをし、火葬を行う最もシンプルな形式です。
祭壇や会食、返礼品などが不要なため、費用を大幅に抑えることができます。10万円台後半~30万円程度が目安です。
福祉葬(葬祭扶助):
故人や喪主が生活保護を受給しているなど、経済的に困窮していて葬儀費用を支払えない場合に、自治体がその費用を負担してくれる制度です。
原則として自己負担なしで、直葬(火葬式)が行われます。
利用には、必ず”葬儀を行う前に”福祉事務所への申請と審査が必要です。
これらの形式であれば、経済的な負担を最小限に抑えつつ、故人様をきちんと火葬し、お見送りすることができます。
4. 相続放棄をしても、故人の供養はできる!
「相続放棄をしたら、もう故人の供養は何もできないのでは…」と心配される方がいますが、そんなことはありません。
法的な相続権と、故人を弔う気持ちは別:相続放棄は、あくまで法律上の財産や債務の承継を放棄する手続きです。
故人を想い、供養したいという気持ちや、宗教的な儀礼を行うことは、何ら制限されません。
できる供養の形:
- お墓参り(他の方が管理しているお墓であれば)
- 自宅での写真や位牌(俗名で作ることも可)への手合わせ
- 命日やお盆、お彼岸に故人を偲ぶ
- (経済的に無理のない範囲で)お寺に読経をお願いする
- 手元供養
ただし、費用負担は注意:これらの供養にかかる費用を、故人の遺産から支出することはできません。ご自身の財産から、無理のない範囲で行うことになります。
葬儀への参加:相続放棄をしたとしても、故人の葬儀に参列し、お別れをすることは全く問題ありません。
5. 残された家族の生活を守るために
故人に多額の借金があった場合、まず考えるべきは、残された家族の生活を守ることです。
- 相続放棄の期限(3ヶ月)を厳守する。
- 借金の全体像を正確に把握する(信用情報機関への照会など)。
- 故人の財産には安易に手を出さない。
- 連帯保証人になっていないか確認する(これも相続放棄の対象)。
- 生活が困窮する場合は、生活保護やその他の公的支援制度の利用を検討する。
6. 専門家(弁護士・司法書士など)への早期相談が不可欠
故人の遺産が借金ばかりである、あるいはその可能性が高いと判明した場合、ご自身たちだけで判断し、手続きを進めるのは非常に危険です。
①相談すべき専門家:
弁護士:相続放棄の手続き代理、債権者との交渉、遺産全体の法的整理、単純承認とみなされないためのアドバイスなど、最も広範囲に対応できます。
司法書士:相続放棄申述書の作成サポートなど。
②相談のタイミング:故人に借金があることが分かったら、”できるだけ早く、3ヶ月の期限を意識して”相談しましょう。
③専門家の役割:
- 正確な財産調査のサポート
- 相続放棄・限定承認のメリット・デメリットの説明と、最適な選択のアドバイス
- 家庭裁判所への相続放棄申述手続きの代理またはサポート
- 債権者への対応(相続放棄した旨の通知など)
- 葬儀費用の支出に関する法的なアドバイス
費用はかかりますが、専門家への相談は、将来的に何倍もの借金を背負うリスクを回避するために、絶対に必要と言えます。
【まとめ】故人の借金は相続放棄で回避可能。葬儀と供養は諦めず、専門家と相談を
故人様に多額の借金があり、遺産が債務超過の状態であっても、残されたご家族がその全てを背負う必要はありません。
では、本日のポイントをまとめます。
・相続放棄をすれば、借金の支払い義務はなくなる。期限は3ヶ月。
・相続放棄をする場合、故人の財産から葬儀費用を支出するのは原則NG。福祉葬や自己負担を検討。
・費用を抑えた直葬(火葬式)という葬儀形式がある。
・相続放棄をしても、故人の供養(お墓参り、法要など)は可能。ただし費用は自己負担。
・最も重要なのは、早期に弁護士などの専門家に相談し、適切なアドバイスとサポートを受けること。
・葬儀社も、費用を抑えたプランの提案や、専門家の紹介などでサポートできる。
経済的な困難と、故人を弔いたいという想いの間で板挟みになるお気持ちは、察するに余りあります。
しかし、必ず解決の道はあります。
一人で抱え込まず、まずは信頼できる専門家、そして私たちのような葬儀社にご相談ください。
株式会社大阪セレモニー



