お寺との付き合いがない!菩提寺なしの葬儀、僧侶の手配と“お布施”の全知識
皆様、こんにちは。
株式会社大阪セレモニー代表の山田泰平です。
近年、
「自分の死後は、大げさな葬儀はしないでほしい」
「家族だけで静かに送ってほしい」
「葬儀にお金をかけるくらいなら、残された者が有意義に使ってほしい」
といったように、ご自身の葬儀について簡素化を望む、あるいは「葬儀は不要」という意思を生前に示される方が増えてきました。
エンディングノートや家族との会話の中で、そのような希望を伝えられるケースも少なくありません。
しかし、いざ故人様がそのように遺言された場合、残されたご家族としては、
「故人の意思は尊重したいけれど、本当に何もしなくていいのだろうか…」
「お世話になった方々へ、何も報告しないままで失礼にあたらない?」
「自分たちの気持ちとして、きちんとお別れをしたいのだけれど…」
「『葬儀をしない』って、具体的にどういうこと?火葬だけはするの?」
と、故人の遺志とご自身の気持ち、そして社会的な慣習との間で大きな葛藤や戸惑いを抱えてしまうのではないでしょうか。
そこで今回は、この非常にデリケートでかつご遺族の心に深く関わる「故人の『葬儀不要』という遺志への対応」について、
- なぜ故人は「葬儀不要」と願うのか?
- 故人の遺志を尊重することの重要性
- 「何もしない」ことのリスクと、家族が抱える可能性のある後悔
- 故人の遺志と家族の気持ちを両立させるための具体的な選択肢(直葬、家族葬、お別れ会など)
- 周囲への伝え方と配慮
- 後悔しないために、家族で話し合っておくべきこと
などを、分かりやすく解説していきます。
【結論】「葬儀不要」の遺志は尊重しつつ、家族の弔う気持ちも大切に。直葬やお別れ会など、双方の想いを汲む形を
故人様が「お葬式はしないでほしい」という明確な意思を遺されていた場合、その遺志を最大限尊重することが、残されたご家族にとっての基本的な姿勢となります。
しかし、「何もしない」ということが、必ずしも故人の真意ではない可能性もありますし、残されたご家族の「故人をきちんと弔いたい」「お世話になった方々にお別れの機会を提供したい」という気持ちも、同様に大切にされるべきです。
したがって、このような場合、まずは故人の遺志の背景や具体的な希望の範囲(例えば「大げさな儀式は不要だが、火葬だけはしてほしい」など)を、できる限り正確に把握しようと努める。
その上で、ご家族・ご親族間で十分に話し合い、故人の遺志を尊重しつつ、残された者の弔う気持ちも満たせるような、折衷案や代替案を検討することが重要です。
例えば、
①「直葬(火葬式)」という最もシンプルな形でお見送りをする。
②ごく内々の「家族葬」で、心ゆくまでお別れをする。
③葬儀は行わず、後日改めて「お別れの会」や「偲ぶ会」のような、宗教色のない自由な形でお別れの場を設ける。
といった形式でも良いでしょう。
どのような形を選ぶにしても、関係する方々へは、故人の遺志と、ご遺族の考えを丁寧に説明し、理解を求める姿勢が大切。
「葬儀をしない」という言葉の表面だけを捉えるのではなく、故人が本当に伝えたかった想いを汲み取り、残された人々が後悔なく故人を送り出せる方法を見つけることが、何よりも重要と言えるでしょう。
それでは、故人の「葬儀不要」という遺志への対応について、具体的な考え方や選択肢、注意点などを詳しく掘り下げていきましょう。
1. なぜ故人は「葬儀不要」と願うのか? その背景にある想い
故人が「葬儀はしないでほしい」と願う背景には、様々な想いが考えられます。
家族への経済的負担の配慮:「葬儀にお金をかけるのはもったいない」「残された家族の生活のために使ってほしい」。
家族への精神的・時間的負担の配慮:「葬儀の準備や弔問客への対応で、家族に大変な思いをさせたくない」。
形式的な儀式への疑問・無関心:「宗教的な儀式に意味を感じない」「大げさなことは好まない」。
プライバシーの尊重:「自分の死を、あまり多くの人に知られたくない」「静かに旅立ちたい」。
生前の人間関係の整理:晩年はあまり人と付き合いがなかった、など。
これらの想いを、まずはしっかりと受け止めることが大切です。
2. 故人の遺志を尊重することの重要性
故人が明確な意思表示をしている場合、それを無視して盛大な葬儀を行うことは、故人の願いに反することになり、残された家族にとっても後悔の念が残る可能性があります。
遺言書に「葬儀は行わない」と記されている場合は、法的な拘束力はありませんが(葬儀の執行は相続人の権利義務とされるため)、故人の意思として重く受け止めるべきです。
3.「何もしない」ことのリスクと、家族が抱える可能性のある後悔
故人の遺志を尊重して「本当に何もしない(火葬のみで、周囲への連絡も最小限)」という選択をした場合、以下のような問題や後悔が生じる可能性があります。
周囲からの不信感・誤解:「なぜ葬儀をしなかったのか」「冷たい家族だ」と、事情を知らない親戚や友人から思われてしまう。
お別れをしたい人の気持ちを無視してしまう:故人と親しかった友人や知人が、最後のお別れができなかったことに、深い悲しみや不満を抱く可能性がある。
遺族自身の心の整理がつかない:「本当にこれで良かったのだろうか」「もっと何かできたのではないか」と、後々まで心の区切りがつかず、後悔の念に苛まれる。
弔問客が後を絶たない可能性:葬儀という区切りがないため、いつまでも自宅へ弔問に訪れる人が絶えず、かえって負担が増える。
菩提寺との関係悪化:菩提寺がある場合、葬儀を行わないことで、納骨を断られたり、その後の供養をお願いしにくくなったりする可能性がある。
4. 故人の遺志と家族の気持ちを両立させるための具体的な選択肢
「葬儀不要」という故人の遺志を尊重しつつ、残された家族も納得できるお見送りの形として、以下のような選択肢が考えられます。
直葬(ちょくそう)/火葬式(かそうしき):
通夜や告別式といった儀式を一切行わず、ごく限られた近親者のみで、火葬場にて簡単なお別れをし、火葬を行う最もシンプルな形式です。
故人の「大げさなことはしないでほしい」という遺志を反映しつつ、最低限のお見送りはできます。
費用が最も抑えられます。
一日葬:
お通夜を行わず、告別式と火葬を一日で行う形式です。
儀式は行いたいが、参列者の負担や費用を抑えたい場合に適しています。
家族葬:
参列者を家族やごく親しい親族・友人に限定し、小規模に行う葬儀です。
故人の遺志で「大勢の人を呼ぶのはやめてほしい」という場合でも、近しい人たちだけで温かく見送ることができます。
儀式の内容は、通常の葬儀と変わらないことが多いです。
お別れ会・偲ぶ会:
宗教的な儀式は行わず、火葬(または納骨)を済ませた後、日を改めて、故人の友人や知人も招き、自由な形式で故人を偲ぶ会を開く方法です。
レストランやホテルの会場を借りて、食事をしながら思い出を語り合ったり、故人の好きだった音楽を流したり、スライドショーを上映したりと、形式にとらわれず、故人らしいお別れの場を作ることができます。
「葬儀は不要」だが「お別れの機会は欲しい」という故人や遺族の想いを両立させやすい形です。
納骨式のみ行う:
葬儀は行わず、四十九日や一周忌などのタイミングで、親族が集まり、お墓や納骨堂への納骨式と、その際の法要のみを行う。
5. 周囲への伝え方と配慮
どのような形を選ぶにしても、関係する方々への伝え方には細心の配慮が必要です。
訃報連絡の際:
故人の遺志により「葬儀は執り行いません」あるいは「葬儀は近親者のみにて執り行いました」と明確に伝えます。
香典、供花、弔問なども辞退する場合は、その旨もはっきりと記載します。(例:「誠に勝手ながら、御香典、御供花、御弔問の儀は固くご辞退申し上げます」)
葬儀後(または火葬後)の報告:
事後報告となった方々へは、挨拶状などで、無事に火葬(または納骨など)を終えたこと、生前お世話になったことへの感謝、そして故人の遺志で葬儀を行わなかった(あるいは簡素にした)旨を、お詫びの言葉と共に伝えます。
6. 後悔しないために、家族で話し合っておくべきこと
故人が「葬儀は不要」と言っていたとしても、その言葉の真意や、具体的な希望の範囲(例えば、火葬だけはしてほしいのか、誰にも知らせないでほしいのか、など)を、できる限り生前に確認しておくことが理想です。
それが難しい場合でも、残された家族・親族間で、
- 故人の遺志をどのように解釈するか
- 自分たちはどのような形でお別れをしたいのか
- 周囲への配慮はどうするか
などを、十分に話し合い、全員が納得できる結論を出すことが、後悔を防ぐために最も重要です.
7. 菩提寺がある場合の注意点
もし菩提寺がある場合は、葬儀を行わない、あるいは極端に簡素化することについて、必ず事前に住職に相談しましょう。
相談なく進めてしまうと、納骨を断られたり、その後の法要をお願いできなくなったりする可能性があります。
事情を丁寧に説明し、理解を求める姿勢が大切です。
【まとめ】「葬儀不要」の遺志は尊重を。でも、残された者の弔う気持ちも大切に
故人様の「お葬式はしないでほしい」という遺志は、重く受け止め、最大限尊重すべきです。
しかし、それは必ずしも「全く何もしない」ことだけを意味するわけではありません。
- 故人の遺志の背景や真意をできる限り汲み取る。
- 残された家族の「弔いたい」という気持ちも大切にする。
- 直葬、家族葬、お別れ会など、双方の想いを両立できる様々な選択肢を検討する。
- どのような形を選ぶにしても、関係者への丁寧な説明と配慮を忘れない。
- 菩提寺がある場合は、必ず事前に相談する。
最も大切なのは、家族・親族間で十分に話し合い、全員が納得できるお見送りの形を見つけること。
形式にとらわれることなく、故人様への感謝と愛情を込めて、心からお見送りできる方法を、ぜひ見つけていただきたいと思います。
株式会社大阪セレモニー



