【二次相続の罠】一次相続で母が全部相続は危険?相続税が爆発する理由と対策をプロが解説
皆様、こんにちは。
株式会社大阪セレモニー代表の山田泰平です。
ご家族がお亡くなりになった後、故人様が所有していた自動車の相続手続き(名義変更や廃車)については、以前のコラムでも触れさせていただきました。
しかし、その自動車にかけられていた「自動車保険(任意保険)」については、
「故人の名前のままでも、誰かが運転すれば補償されるの?」
「解約しないと、保険料がずっと引き落とされちゃう?」
「もし解約したら、払いすぎた保険料は戻ってくるの?」
「等級とかって、家族が引き継げるものなの?」
と、その扱いについてどうすれば良いのか分からず、不安に感じている方も多いのではないでしょうか。
自動車保険は、万が一の事故の際に高額な賠償責任から私たちを守ってくれる、非常に大切なものです。
しかし、契約者が亡くなった場合、その契約を適切に処理しないと、いざという時に保険金が支払われなかったり、無駄な保険料を支払い続けたりする可能性があります。
そこで今回は、この「故人の自動車保険(任意保険)の手続き」について、
- なぜ手続きが必要なのか?(放置するリスク)
- 主な手続きの選択肢(解約、名義変更・車両入替)
- それぞれの選択肢の具体的な手続きの流れと必要書類
- 解約した場合の保険料の返還(解約返戻金)について
- 等級の引き継ぎは可能か?
- 手続きの際の注意点と相談先
【結論】故人の自動車保険は速やかに手続きを!解約か名義変更か、保険会社に相談し最適な方法を選択
まず、故人様が契約していた自動車保険(任意保険)は、亡くなった後も自動的に解約されたり、内容が変更されたりするわけではありません。
そのため、放置しておくと様々な不利益が生じる可能性があるため、速やかに保険会社に連絡し、適切な手続きを行う必要があります。
主な手続きの選択肢は、その車を今後どうするかによって、以下のようになります。
①車を誰も使わない(廃車・売却する)場合:保険契約を「解約」する。
②相続人の誰かが車を引き継いで使用する場合:保険契約の「名義変更(契約者変更)」と、場合によっては「車両入替」の手続きを行う。
解約した場合は、残りの保険期間に応じて、未経過分の保険料が「解約返戻金」として戻ってくるのが一般的です。
また、一定の条件を満たせば、故人の等級(ノンフリート等級)を同居の親族などが引き継げる場合もあります。
いずれにしても、まずは加入している保険会社に連絡し、契約者が死亡した旨を伝え、今後の手続きについて具体的な指示を仰ぐことが最も重要です。
それでは、故人の自動車保険の手続きについて、その必要性、具体的な選択肢、注意点などを詳しく掘り下げていきましょう。
1. なぜ手続きが必要なのか? 放置するリスク
故人名義の自動車保険契約を放置しておくと、以下のようなリスクや不利益が生じる可能性があります。
保険料の継続的な支払い:故人の口座やクレジットカードから、保険料が自動的に引き落とされ続ける。
補償が受けられない可能性:契約者が亡くなっていることを保険会社が把握した場合、事故を起こしても保険金が支払われない、あるいは支払いがスムーズにいかないリスクがある。特に、記名被保険者(主に運転する人)が故人のままになっていると問題が生じやすい。
等級の引き継ぎ機会の喪失:適切な手続きをしないと、故人が長年積み上げてきた有利な等級を引き継げなくなる可能性がある。
解約返戻金の受け取り漏れ:解約手続きをしないと、戻ってくるはずの未経過保険料を受け取れない。
2. まず行うべきこと:保険会社への連絡と契約内容の確認
手続きの第一歩は、故人が加入していた自動車保険の保険会社に連絡することです。
連絡先:保険証券や、保険会社から送られてくる契約更新の案内状などに記載されている連絡先(コールセンターや担当代理店など)に電話します。
伝えること:
①契約者(故人)の氏名、証券番号
②契約者が死亡した旨とその年月日
③連絡者の氏名、故人との続柄、連絡先
確認すること:
①現在の契約内容(補償内容、保険期間、記名被保険者など)
②今後の手続き(解約か名義変更か)について、どちらが良いか相談
③それぞれの続きに必要な書類と手順
④解約する場合の返戻金の有無と金額の目安
⑤等級引き継ぎの可否と条件
3. 選択肢①:車を誰も使わない場合 → 保険契約の「解約」
故人の車を廃車にする、売却する、あるいは誰も運転する予定がない、といった場合は、自動車保険契約を解約します。
手続きの流れ(一般的):
- 保険会社に解約の意思を伝える。
- 保険会社から送られてくる「解約請求書(中断証明書発行依頼書を兼ねる場合も)」に必要事項を記入・捺印する。
- 必要書類(故人の死亡が確認できる書類、請求者の本人確認書類、印鑑証明書、返戻金の振込先口座情報など)と共に保険会社に提出する。
解約返戻金(未経過保険料):
多くの場合、保険期間の残日数に応じて、既に支払った保険料の一部が返還されます。返還額は、保険料の支払方法(年払いか月払いかなど)や、解約日によって異なります。
中断証明書の発行:
もし、将来的にご遺族の誰かが新たに車を取得し、自動車保険に加入する可能性がある場合は、「中断証明書」を発行してもらうことを検討しましょう。これは、故人の等級(通常6等級以上)を、一定期間(通常10年間)保存しておき、再契約時に引き継ぐことができる制度です。発行には条件(解約時の等級など)がありますので、保険会社に確認しましょう。
4. 選択肢②:車を引き継いで使用する場合 → 「名義変更(契約者変更・記名被保険者変更)」
相続人の誰かが故人の車を相続し、引き続き使用する場合は、自動車保険の名義変更手続きが必要です。
主に変更が必要な項目:
①契約者:保険料の支払い義務を負う人。新しい車の所有者(相続人)に変更するのが一般的。
②記名被保険者:その車を主に運転する人。実際に運転する相続人に変更します。この記名被保険者の年齢や運転歴、免許証の色などによって、保険料が変動することがあります。
③車両所有者:車の所有者名義も、相続手続き(移転登録)によって変更する必要があります。
手続きの流れ(一般的):
- 保険会社に名義変更の意思を伝える。
- 保険会社から送られてくる「契約内容変更依頼書」などに必要事項を記入・捺印する。
- 必要書類(故人の死亡が確認できる書類、新しい契約者・記名被保険者の情報、新しい車検証のコピーなど)と共に保険会社に提出する。
等級の引き継ぎ:
故人の等級(ノンフリート等級)が進行していて有利な場合、一定の条件(新しい記名被保険者が故人の配偶者、同居の親族など)を満たせば、その等級を引き継げる場合があります。これにより、保険料を抑えられる可能性があります。引き継ぎの可否と条件は、必ず保険会社に確認しましょう。
車両入替:もし、故人の車ではなく、別の車を相続人が取得して保険をかけたい場合は、「車両入替」の手続きを行うことで、故人の保険契約(等級含む)を新しい車に引き継げる場合があります。
5. 手続きの期限はいつまで?
自動車保険の解約や名義変更の手続きに、法律上の明確な「いつまでに」という期限はありません。
しかし、前述したように、放置しておくと無駄な保険料が発生したり、万が一の際に補償が受けられなかったりするリスクがあるため、故人が亡くなったら、できるだけ速やかに保険会社に連絡し、手続きを進めることが推奨されます。
特に、保険料が口座引き落としになっている場合は、早急な対応が必要です。
6. 手続きに必要な書類(一般的な例)
保険会社や手続き内容によって異なりますが、一般的に以下のような書類が必要になることが多いです。
- 保険証券
- 故人の死亡が確認できる書類(死亡診断書のコピー、除籍謄本など)
- 相続関係が確認できる書類(戸籍謄本など)
- 手続きを行う人(相続人)の本人確認書類、印鑑証明書
- (名義変更の場合)新しい契約者・記名被保険者の運転免許証コピー、新しい車検証コピー
- 保険会社所定の請求書・変更依頼書
7. 自賠責保険(強制保険)の手続きも忘れずに
任意保険だけでなく、自動車を運行するために必ず加入しなければならない「自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)」についても、名義変更または解約(車を廃車にする場合)の手続きが必要です。
手続きは、加入している損害保険会社で行います。
任意保険の手続きと併せて確認・対応しましょう。
【まとめ】故人の自動車保険は放置せず、速やかに保険会社へ連絡・相談を
故人様が契約していた自動車保険(任意保険)は、亡くなった後も自動的に処理されることはありません。
自動車保険の手続きは、一見すると面倒に感じるかもしれませんが、残されたご家族の経済的な安全を守るためにも、非常に重要なことです。
分からないことや不安なことがあれば、まずは加入している保険会社のコールセンターや担当代理店に相談しましょう。
丁寧に対応してくれるはずです。
お客様の状況に合わせて、適切なアドバイスやサポートをさせていただきます。
「亡くなった家族の車、どうすればいい?名義変更?廃車?」
株式会社大阪セレモニー




