参列者へのおもてなし、どこまで必要? 「飲食接待費用」の賢い考え方
皆様、こんにちは。
株式会社大阪セレモニー代表の山田泰平です。
お葬式や法事の後、ご遺族や親族そしてお手伝いいただいた方々が集まり、食事を共にする席が設けられることがありますね。
これを「おとき(お斎)」または「会食」「精進落とし(しょうじんおとし)」などと呼びます。
故人様を偲び、思い出を語り合いながら、葬儀が無事に終わったことへの感謝と、お世話になった方々への労いの気持ちを表す大切な場です。
しかし、このおときについて、
「必ずおときの席を設けないといけないものなのかな?」
「最近は、家族葬も多いし、省略してもいいの?」
と、その必要性や形式、費用、そして省略する場合のマナーなどについて、疑問や不安を感じる方も多いのではないでしょうか?
特に、参列者が少ない家族葬の場合や、遠方からの方がいる場合、あるいは経済的な事情などから、おときの席を設けるべきかどうか、悩ましいところだと思います。
そこで今回は、この「おとき(お斎)」について、
- そもそもおときとは何か?その意味と目的
- 必ず行わなければならないのか?
- 行う場合のタイミングと場所
- 料理の内容と選び方(精進料理との関係)
- 気になる費用相場と、誰が負担するのか
- おときを省略する場合の対応とマナー
などを、分かりやすく解説していきます。
故人様への供養と、お世話になった方々への感謝の気持ちを、適切な形で表すための一助となれば幸いです。
【結論】おときは故人を偲び感謝を示す会食の席。必須ではないが、行う場合は参列者への配慮と準備を。省略も可能
お葬式や法事の後のおとき(お斎)は、故人様を偲び、供養すると共に、葬儀でお世話になった僧侶や参列者への感謝と労いの気持ちを表すための、”大切な会食の席”です。
しかし、必ずしも設けなければならないというものではありません。
近年では、家族葬の増加やライフスタイルの変化、あるいは感染症対策などの理由から、おときの席を省略したり、規模を縮小したりするケースも増えています。
行うかどうかは、ご遺族の意向、葬儀の規模、地域の慣習、そして経済的な状況などを総合的に考慮して判断して良いでしょう。
もしおときの席を設ける場合は、タイミングとしては葬儀・告別式後や火葬後、あるいは初七日法要と合わせて行うことが多いです。
料理は、以前は精進料理が基本でしたが、現在ではあまりこだわらず、故人が好きだったものや、参列者が喜ぶもの(会席料理、仕出し弁当など)を選ぶことも一般的です。
費用は、一人あたり3,000円~8,000円程度が目安となり、これに飲み物代などが加わります。
おときを省略する場合は、その旨を事前に案内状などで伝えたり、代わりに引き物(お礼の品)に少し上乗せしたり、あるいは後日改めてお礼状を送るなど、”感謝の気持ちを別の形で伝える配慮”をすることが望ましいでしょう。
それでは、おときの意味、必要性、準備、費用などについて、その根拠となる部分を詳しく掘り下げていきましょう。
1. おとき(お斎)とは? その意味と目的
「お斎(おとき)」という言葉は、元々仏教用語で、僧侶が正午までにとる食事や、法要の際に僧侶や参列者に振る舞われる食事を指しました。「斎食(さいじき)」とも言います。
現代の葬儀や法事においては、以下のような意味合いを持っています。
故人への供養:皆で食事を共にすることが、故人への供養になると考えられています。
僧侶への感謝・労い:読経などを行ってくださった僧侶への感謝と労いの気持ちを表します。
参列者への感謝・労い:葬儀に参列し、お世話になった方々への感謝と労いの気持ちを表します。
故人を偲ぶ時間:故人の思い出を語り合い、別れを惜しみ、心を分かち合う大切な時間です。
精進落とし(火葬後のおとき):本来は、忌中の期間(四十九日まで)に肉や魚を断つ「精進」の生活を終え、通常の食事に戻るという意味合いがありました。火葬後や初七日法要後に行われる会食を指すことが多いです。
2. おときは必ず行わなければならない?
前述の通り、おときの席を設けることは、法的な義務でも、宗教上の絶対的な決まりでもありません。
行うかどうかの判断基準:
①ご遺族の意向:「故人を偲び、皆でゆっくり話したい」「お世話になった方をもてなしたい」という気持ちがあれば、設けるのが良いでしょう。
②葬儀の規模・形式:参列者が多い一般葬では行うことが多いですが、家族葬など少人数の場合は、省略したり、ごく内々で行ったりするケースも増えています。
③地域の慣習:地域によっては、おときの席を設けるのが当然とされている場合もあります。事前に確認しておくと良いでしょう。
④経済的な状況:費用もかかるため、無理のない範囲で判断します。
⑤時間的な制約:火葬場の予約時間や、遠方からの参列者の都合なども考慮が必要です。
省略する場合の増加:近年は、特に都市部や家族葬において、おときの席を設けない、あるいは仕出し弁当や持ち帰り用の食事を用意して、各自で召し上がっていただく、といった簡略化された形も増えています。
3. おときを行う場合のタイミングと場所
タイミング:
①葬儀・告別式後、出棺前(あまり一般的ではない)
②火葬中(火葬場の休憩室などで、比較的簡単な食事をとる)
③火葬後、還骨法要(初七日法要を繰り上げる場合が多い)の後:これが最も一般的なタイミングです。
場所:
①葬儀式場・斎場の会食室
②お寺の客殿
③料理屋、レストラン、ホテルなど
④自宅(少人数の場合)
4. 料理の内容と選び方:精進料理じゃなくてもOK?
精進料理との関係:
本来、仏教では忌明け(四十九日)までは、肉や魚などの生臭物(なまぐさもの)を避けた「精進料理」をいただくのが習わしでした。そのため、初七日法要と合わせて行うおとき(精進落としの前段階)では、精進料理が基本とされていました。
しかし、現代ではこの考え方も柔軟になっており、特に「精進落とし」と称される火葬後や初七日法要後のおときでは、”必ずしも精進料理にこだわる必要はありません。”むしろ、通常の会席料理や、故人が好きだった料理などを振る舞うことも多くなっています。
料理の選び方:
参列者の年齢層や好みを考慮する。
アレルギー対応が必要な方がいるか確認する。
季節感を取り入れた料理。
故人が好きだった料理を一品加える、といった工夫も良いでしょう。
お祝い事を連想させる食材(伊勢海老、鯛など)や、派手な盛り付けは避けるのが一般的です。
一般的な料理形式:
会席料理(一人ひとりにお膳で提供)
仕出し弁当
オードブル形式(立食や、取り分けスタイル)
5. 気になる費用相場と、誰が負担するのか
費用相場:一人あたり”3,000円~8,000円程度”が一般的な目安です。これに飲み物代が別途加わることが多いです。
料理のグレードや、会場(料理屋など)によって費用は大きく変動します。
誰が負担するのか:原則として、”喪主(または施主)”が負担します。葬儀費用の一部として考えます。
6. おときを省略する場合の対応とマナー
おときの席を設けない場合は、その旨を事前に参列者に伝える配慮が必要です。
伝え方:
葬儀の案内状に、「誠に勝手ながら、お斎(会食)の席はご用意しておりません」といった一文を添える。
葬儀当日の受付や、式の最後に司会者からアナウンスしてもらう。
代わりに検討すること:
引き物(会葬御礼品や香典返し)の内容を少し手厚くする。
持ち帰り用の食事(お弁当、お寿司の折り詰めなど)や、お酒の小瓶などを用意し、お渡しする。
後日、改めてお礼状を送る際に、会食を設けなかったことへのお詫びと、感謝の気持ちを丁寧に伝える。
大切なのは、お世話になった方々への感謝の気持ちを、何らかの形で示すことです。
7. 席次や挨拶のマナー
もしおときの席を設ける場合、席次や挨拶にも配慮が必要です。
席次:
僧侶が最も上座(床の間や祭壇に近い席)。
次に、会社の上司や主賓格の方。
続いて、親族(年長者や故人に近い方から順に)。
喪主は末席(下座)に座り、全体に気を配り、お酌などをして回るのが基本です。
挨拶:会食の始めと終わりに、喪主(または親族代表)が挨拶をします。
①始めの挨拶:参列への感謝、無事に葬儀を終えられたことの報告、故人の思い出を語らいながら食事を楽しんでほしい旨などを述べます。
②終わりの挨拶:改めて感謝の言葉、今後の支援のお願い、散会の言葉などを述べます。
③献杯:会食の始めに、故人に杯を捧げる「献杯」を行うのが一般的です。代表者が発声します。
【まとめ】おときは感謝と供養の場。形式にとらわれず、心を込めたおもてなしを
お葬式や法事の後のおとき(お斎)は、故人を偲び、お世話になった方々へ感謝を示すための大切な会食の席です。
- 必ずしも設けなければならないものではないが、行うことで故人への供養となり、参列者への感謝も伝えられる。
- タイミングは葬儀・火葬後や初七日法要と合わせてが多い。
- 料理は精進料理にこだわらず、故人や参列者の好みを考慮して選べる。
- 費用は一人3,000円~8,000円程度が目安。喪主が負担する。
- 省略する場合は、その旨を伝え、別の形でお礼の気持ちを示す配慮を。
- 設ける場合は、席次や挨拶のマナーも心得ておく。
最も大切なのは、形式にとらわれることよりも、故人様への供養の気持ちと、参列してくださった方々への感謝の気持ちを込めて、誠心誠意おもてなしをすることです。
その心が伝われば、どのような形であっても、故人様もきっと喜んでくださることでしょう。
株式会社大阪セレモニー



