【遺言書の書き方完全ガイド】自筆証書と公正証書、どっちを選ぶ?無効にならないための全知識
皆様、こんにちは。
株式会社大阪セレモニー代表の山田泰平です。
ご家族がお亡くなりになった後、遺品整理を進める中で、故人様が「株式」を所有していたことが判明するケースがあります。
上場している会社の株式かもしれませんし、あるいは故人様が経営していた会社や、知人の会社の非上場株式かもしれません。
預貯金や不動産と並んで、株式も重要な相続財産の一つですが、その調査方法、評価、名義変更(または売却)の手続き、そして税金の問題など、専門的な知識が必要となる場面が多く、戸惑いや不安を感じる方が多いのではないでしょうか。
特に、株式は日々価格が変動するものですし、非上場株式の場合はその評価自体が難しいなど、他の財産とは異なる特有の難しさがあります。
よって、適切な手続きを怠ると、相続人間でのトラブルの原因になったり、思わぬ税負担が発生したりする可能性もあります。
そこで今回は、この「故人が遺した株式の相続」について、
- まず何から始めるべきか?(株式保有状況の調査方法)
- 証券口座の相続手続きの基本的な流れ
- 上場株式と非上場株式の扱いの違いと注意点
- 株式の評価方法の概要
- 遺産分割における株式の分け方
- 相続税の対象となること
- 専門家への相談の重要性
【結論】故人の株式相続はまず保有状況の調査から!証券会社への連絡と専門家の活用が円滑な手続きの鍵
故人様が株式を所有していた場合、その相続手続きは、まず「どのような株式を、どこで(どの証券会社や信託銀行で)、どれだけ保有していたか」を正確に調査・把握することから始まります。
その上で、法定相続人全員で遺産分割協議を行い、誰がその株式を相続するか、あるいは売却して現金で分けるかなどを決定し、所定の手続き(名義変更や売却)を行うことになります。
上場株式であれば、通常、故人名義の証券口座があるはずですので、その証券会社に連絡し、相続手続きを進めることになりますし、非上場株式の場合は、その株式を発行している会社に問い合わせる必要があるでしょう。
ただし、株式の相続手続きには、戸籍謄本類、遺産分割協議書(または遺言書)、相続人名義の証券口座の開設などが必要となり、手続きが完了するまでには一定の時間がかかります。
また、株式は相続税の課税対象となり、その評価方法も上場株式と非上場株式で異なります。
特に非上場株式の評価や遺産分割は非常に専門的で複雑なため、税理士や弁護士などの専門家に早期に相談することが、トラブルなく、かつ適切に手続きを進めるためには不可欠なのですね。
1. なぜ株式の相続手続きが重要なのか?
故人が所有していた株式は、預貯金や不動産と同様に、法的な相続財産です。
適切な手続きを行わなければ、
- 配当金や株主優待などを受け取れない。
- 株主総会での議決権を行使できない。
- 売却して現金化することができない。
- 相続税の申告漏れに繋がり、追徴課税のリスクがある。
- 他の相続人との間で、遺産分割に関するトラブルの原因となる。
といった問題が生じる可能性があります。
2. まずは情報収集!株式保有状況の調査方法
相続手続きの第一歩は、故人がどのような株式を保有していたかを確認することです。
遺品の中から手がかりを探す:
①証券会社からの取引報告書、残高報告書、株主総会の招集通知、配当金計算書などの郵便物
②株券(現在は電子化されていますが、古い株券が見つかる可能性も)
③故人の手帳やメモ、パソコン内のファイルなど
証券保管振替機構(ほふり)への照会(開示請求):
上場株式の多くは、証券保管振替機構(通称「ほふり」)で電子的に管理されています。相続人は、ほふりに対して、故人名義の口座があるかどうか、どの証券会社に口座があるかを照会(登録済加入者情報開示請求)することができます。これにより、把握していなかった証券口座が見つかる可能性があります。
信託銀行への照会:
特別口座(株券電子化以前に株券を持っていたが、証券会社に預けていなかった人のための口座)や、単元未満株などを管理している場合があります。心当たりのある信託銀行(株主名簿管理人となっていることが多い)に問い合わせてみましょう。
非上場株式の場合:
故人が経営していた会社であれば、会社の定款や株主名簿を確認します。
また知人の会社などの場合は、その会社に直接問い合わせてください。
3. 証券口座の相続手続きの基本的な流れ(上場株式の場合)
故人名義の証券口座が見つかったら、その証券会社に連絡し、相続手続きを進めます。
証券会社への連絡と必要書類の取り寄せ:
まず、故人が口座を持っていた証券会社に電話などで連絡し、契約者が死亡した旨を伝えます。相続手続きに必要な書類一式(相続手続依頼書など)を送ってもらいます。
必要書類の準備・提出:
証券会社によって異なりますが、一般的に以下のような書類が必要になります。
- 故人(被相続人)の出生から死亡までの戸籍(除籍)謄本
- 法定相続人全員の現在の戸籍謄本
- 遺産分割協議書(相続人全員の実印捺印)と相続人全員の印鑑証明書、または有効な遺言書
- 株式を相続する人の証券口座情報(まだ口座がなければ、その証券会社で新たに開設する必要があります)
- 証券会社所定の相続手続依頼書
株式の名義変更(移管)または売却:
遺産分割協議の結果、特定の相続人が株式を相続する場合は、故人名義の口座から、その相続人名義の証券口座へ株式を移管(名義変更)する手続きを行います。
売却して現金で分ける場合は、一旦代表相続人の口座に移管してから売却するか、あるいは証券会社によっては、相続手続きの中で売却・現金化してくれるサービスもあります。
手続き完了までには、書類提出後、数週間~1ヶ月程度かかるのが一般的です。
4. 上場株式と非上場株式の扱いの違いと注意点
上場株式:
証券取引所で日々株価が公開されているため、相続開始日(死亡日)の終値など、客観的な評価額が比較的算定しやすいです。
売買も比較的容易です。
非上場株式(未公開株):
市場で取引されていないため、その評価額の算定が非常に難しいのが特徴です。
会社の規模や業種、財産状況、収益力などに応じて、様々な評価方法(類似業種比準価額方式、純資産価額方式など)があり、専門的な知識が必要となります。
また売却自体が困難な場合が多いです。
買い手を見つけるのが難しく、また会社によっては定款で株式の譲渡制限を設けている場合もあります。
相続人が経営に関与する意思がない場合、会社に買い取ってもらう(自己株式取得)か、他の株主や役員に買い取ってもらう、といった方法を検討することになりますが、価格交渉が難航することもあるでしょう。
非上場株式の相続は、税理士や弁護士などの専門家に必ず相談することを強くお勧めします。
5. 株式の評価方法の概要(相続税申告時)
相続税を計算する上で、株式の評価額を正しく算定する必要があります。
上場株式:原則として、以下の4つの価格のうち、”最も低い価格”で評価します。
- 相続開始日(死亡日)の終値
- 相続開始月の毎日の終値の月平均額
- 相続開始月の前月の毎日の終値の月平均額
- 相続開始月の前々月の毎日の終値の月平均額
非上場株式:前述の通り、会社の規模や状況に応じて、類似業種比準価額方式、純資産価額方式、配当還元方式などを組み合わせて評価します。非常に専門的な計算が必要となるため、税理士への依頼が不可欠です。
6. 遺産分割における株式の分け方
株式を相続人間で分ける方法は、主に以下の通りです。
現物分割:株式をそのままの形で特定の相続人が取得するか、あるいは複数の相続人が株数に応じて分け合う。(ただし、単元株制度があるため、端数が出ないように注意が必要)
代償分割:特定の相続人が株式を全て取得する代わりに、他の相続人に対して、その株式の評価額に見合う代償金(現金)を支払う。
換価分割:株式を全て売却して現金化し、その現金を相続人間で分配する。
共有:株式を相続人全員の共有名義にすることも可能ですが、議決権の行使や売却の際に全員の同意が必要になるなど、管理が煩雑になるため、あまりお勧めできません。
どの方法が良いかは、株式の種類(上場か非上場か)、相続人の意向、他の財産の状況などを総合的に考慮して、遺産分割協議で決定してください。
7.専門家(証券会社、税理士、弁護士など)への相談の重要性
株式の相続は、
- 保有状況の調査が難しい場合がある。
- 証券会社ごとの手続きが異なる。
- 非上場株式の評価や処分が極めて専門的。
- 相続税の計算・申告が複雑。
- 遺産分割で揉める可能性がある。
といった理由から、専門家のサポートが非常に有効です。
各専門家への依頼は業務ごとに分けて考えると良いでしょう。
証券会社:口座の相続手続き、名義変更、売却の相談。
税理士:株式の評価、相続税申告書の作成、節税対策のアドバイス。
弁護士:遺産分割協議の代理交渉、遺言書の内容に関する紛争解決、非上場株式の会社との交渉など。
【まとめ】株式相続は早期調査と専門家連携でスムーズに
故人様が遺した株式の相続は、一見すると複雑で難しそうに感じるかもしれません。
しかし、手順を追って、必要な情報を集め、専門家の力を借りれば、必ず適切に処理することができます。
- まずは故人の株式保有状況を徹底的に調査する。
- 証券会社に連絡し、相続手続きの指示を仰ぐ。
- 遺産分割協議で、誰がどのように相続するかを決定する。
- 非上場株式の場合は、特に評価と処分方法について専門家(税理士・弁護士)に相談する。
- 相続税の申告が必要な場合は、期限(10ヶ月)内に手続きを行う。
最も重要なのは、問題を放置せず早めに専門家に相談すること。
株式は大切な資産であると同時に、適切に扱わなければトラブルの原因にもなり得ますよ。
株式会社大阪セレモニー




