遺言書の書き方と種類!無効にならないための注意点と専門家への相談
皆様、こんにちは。
株式会社大阪セレモニー代表の山田泰平です。
相続財産の中でも、特に大きな割合を占め、そして最も分けにくいのが「不動産」、特に故人様が住んでいたご実家ではないでしょうか。
その実家を巡って、相続人間で意見が対立し、深刻なトラブルに発展してしまうケースは、残念ながら少なくありません。
例えば、
「私はこの家に愛着があるし、これからも住み続けたい」と考える相続人Aさん。
「いや、もう誰も住まないのだから、売却して現金で公平に分けたい」と考える相続人Bさん。
「売却益を期待しているわけではないが、固定資産税などの負担は避けたい」と考える相続人Cさん。
このように、それぞれの立場や想い、経済状況が異なる中で、「実家に住み続けたい人」と「売却して現金化したい人」の間で意見が真っ向から対立してしまったら、一体どうすれば円満な解決に至ることができるのでしょうか?
そこで今回は、このような「相続不動産の分け方で意見が対立した場合の解決策」について、
- なぜ不動産の分割は揉めやすいのか?
- 主な遺産分割の方法(現物分割、代償分割、換価分割、共有)
- 意見が対立した場合の具体的な解決ステップ
- 専門家(弁護士など)の役割と相談のタイミング
- 話し合いで最も大切なこと
などを、具体的なケースを想定しながら、分かりやすく解説していきます。
【結論】現金や他の資産を公平に分けることで、残された家に住むことができる!
まず結論として、相続した実家の分け方で相続人間の意見が対立した場合、感情的にならず、お互いの状況や想いを理解し合い、法的なルールと公平性を踏まえた上で、粘り強く合意点を探っていくしかありません。
そして、そのための具体的な解決策として、主に以下の遺産分割の方法を検討し、組み合わせることになります。
代償分割(だいしょうぶんかつ): 実家に住み続けたい相続人がその不動産を相続する代わりに、他の相続人に対して、その法定相続分に見合う代償金(現金など)を支払う方法。
換価分割(かんかぶんかつ): 不動産を売却して現金化し、その現金を相続人間で分ける方法。
共有名義(きょうゆうめいぎ): 一旦、相続人全員の共有名義にする方法。ただし、これは問題を先送りにするだけで、将来的なトラブルのリスクが高いため、最終的な解決策としては推奨されません。
現物分割(げんぶつぶんかつ): 不動産以外にも分割しやすい財産(預貯金など)が十分にあれば、不動産は住みたい人が相続し、他の相続人は他の財産で調整する、という方法も考えられます。(今回は不動産が主な遺産で意見が割れているケースを想定しています)
どの方法が最適かは、不動産の評価額、各相続人の経済状況、そして何よりも相続人全員の納得感によって異なります。
当事者間での話し合いが難しい場合は、早期に弁護士などの専門家を間に入れ、客観的な立場からアドバイスを受けたり、交渉を代理してもらったりすることが、円満な解決への近道となります。
どうしても合意に至らない場合は、最終的に家庭裁判所の調停や審判という手段もありますが、これは時間も費用もかかり、精神的な負担も大きいため、できる限り避けたいところです。
それでは、不動産分割で揉める理由、具体的な解決策、そして専門家の役割について、その根拠となる部分を詳しく掘り下げていきましょう。
1. なぜ不動産の遺産分割は揉めやすいのか?
物理的に分けにくい: 現金や預貯金と違い、土地や建物を法定相続分通りに物理的に分割するのは困難です。
評価額の算定が難しい: 固定資産税評価額、路線価、時価(実勢価格)など、評価の基準が複数あり、どの評価額を用いるかで意見が対立することがあります。
感情的な価値(愛着)がある: 特に実家の場合、金銭的な価値だけでなく、思い出や愛着といった感情的な価値が大きく、手放すことに抵抗を感じる相続人がいると、話がこじれやすくなります。
各相続人の利害が対立しやすい: 住み続けたい人、現金が欲しい人、税金の負担を避けたい人など、それぞれの立場やニーズが異なるため、利害が衝突しやすいのです。
「長男が家を継ぐべき」といった古い慣習とのギャップ: 現代では法定相続分が優先されますが、依然として古い慣習にこだわる相続人がいると、対立の原因になることがあります。
2. 具体的な解決策①:「代償分割」の検討
実家に住み続けたい相続人(Aさん)がいる一方で、他の相続人(Bさん、Cさん)が現金での分配を望む場合に、最も検討されるべき方法の一つが「代償分割」です。
仕組み: Aさんが実家(不動産)を単独で相続する代わりに、その不動産の評価額に基づいて、BさんやCさんの法定相続分に相当する「代償金」を、Aさんが自己資金(または借入金)から支払います。
メリット:
- Aさんは実家に住み続けられる。
- Bさん、Cさんは現金で公平に相続分を受け取れる。
- 不動産を共有名義にするリスクを避けられる。
デメリット・課題:
Aさんに代償金を支払う資力があるか? これが最大の課題です。不動産の評価額が高ければ、代償金も高額になります。
不動産の評価額をどうするか? 相続人全員が納得する評価額を決定する必要があります。
代償金の支払い方法や時期についても合意が必要です。
ポイント: 不動産の評価については、複数の不動産会社に査定を依頼したり、場合によっては不動産鑑定士に鑑定を依頼したりして、客観的な価格を把握することが重要です。代償金の支払いについては、一括が難しければ分割払いの相談なども考えられますが、確実な支払い計画が必要です。
3. 具体的な解決策②:「換価分割」の検討
Aさんに代償金を支払う資力がない場合や、そもそも相続人全員が売却して現金化することに最終的に合意できる場合は、「換価分割」が選択肢となります。
仕組み: 実家(不動産)を売却し、その売却代金から諸経費(仲介手数料、税金など)を差し引いた残額を、法定相続分または合意した割合に応じて相続人間で分配します。
メリット:
- 現金で公平に分割できる。
- Aさんも、売却代金の一部を元手に新しい住まいを探すことができる。
- 空き家問題や管理の負担から解放される。
デメリット:
- 思い出の詰まった実家を手放すことになる。
- 希望する価格で、希望する時期に売れるとは限らない。
- 売却益が出た場合は、譲渡所得税がかかる。(ただし、相続空き家の特例などが使える場合も)
ポイント: 売却活動をどの不動産会社に依頼するか、売却価格をいくらに設定するかなど、相続人全員で協力して進める必要があります。
Aさんが住み続けている場合は、売却活動(内覧など)への協力も不可欠です。
4.「共有名義」は最終手段、かつ慎重に
どうしても上記の方法で合意できない場合に、一時的な措置として「共有名義」で相続登記をするケースもあります。
仕組み: 相続人全員(または一部)が、法定相続分などの割合に応じて、不動産を共有で所有する形にします。
メリット: とりあえず相続登記は完了できる。問題を先送りにできる(ように見える)。
デメリット:
将来的なトラブルの種: 共有者の一人が亡くなると、さらにその相続人が共有者に加わり、権利関係がどんどん複雑化します。
売却や活用が困難: 不動産を売却したり、大規模なリフォームをしたりするには、共有者全員の同意が必要です。一人でも反対すれば何もできません。
固定資産税などの負担: 共有者全員で分担することになりますが、誰が代表して支払うかなどで揉めることも。
事実上の塩漬け状態: 結局、誰も自由にできず、空き家化・老朽化が進んでしまうリスクが高いです。
結論: 共有名義は、問題を解決するのではなく、問題を将来に先送りし、さらに複雑化させる可能性が高いため、できる限り避けるべきです。もし一時的に共有にする場合でも、将来的にどのように解消するのか(例えば、Aさんが他の共有者の持ち分を買い取る、一定期間後に売却するなど)を、予め具体的に決めておくべきです。
5. 話し合いで最も大切なこと:感情論ではなく、建設的な対話
意見が対立している時こそ、以下の点を心がけましょう。
- お互いの状況や希望を正直に、そして冷静に伝える。
- 相手の意見を頭ごなしに否定せず、まずは最後まで聞く。
- 「なぜそう思うのか」という背景を理解しようと努める。
- 法定相続分や不動産の客観的な評価額など、共通の判断基準を持つ。
- 全ての人が100%満足する結論は難しいことを理解し、どこかで譲歩する姿勢を持つ。
- 過去の不満や感情的な言葉は持ち出さない。
6. 専門家(弁護士など)の役割と相談のタイミング
当事者だけではどうしても話がまとまらない、あるいは感情的な対立が深まってしまった場合は、ためらわずに弁護士などの専門家に相談しましょう。
お金はかかりますが、以下のようなメリットがあります。
法的なアドバイス: 各相続人の権利や、取りうる選択肢について、法的な観点から客観的なアドバイスをしてくれます。
交渉の代理: 相続人に代わって、他の相続人と交渉を行ってくれます。感情的にならず、冷静な話し合いを進めやすくなります。
遺産分割協議書の作成: 法的に不備のない、正確な協議書を作成してくれます。
調停・審判の代理: 家庭裁判所での手続きが必要になった場合、代理人としてサポートしてくれます。
故人様が遺してくれた大切な実家が原因で、家族や親族の関係が壊れてしまうことほど、悲しいことはありません。
時間はかかるかもしれませんが、粘り強く、そして誠実に話し合いを続けていくことが、全ての相続人にとって、そして天国の故人様にとっても、最も望ましい解決に繋がるはず。
感情的にならず、法的なルールと公平性を踏まえ、お互いの状況を理解し合う努力をすれば、円満な解決への道は必ず見つかります。
まずは冷静に、それぞれの希望と理由を話し合いましょう。
「遺産分割の話し合いってどう進めるの?」
株式会社大阪セレモニー



