「亡くなった家族の健康保険証、どうすればいい? もらえるお金はある?」

山田泰平

山田泰平

テーマ:葬儀後のお話

皆様、こんにちは。
株式会社大阪セレモニー代表の山田泰平です。

ご家族がお亡くなりになった後には、本当にたくさんの手続きが必要になります。

その中で、故人様が生前に使っていた「健康保険証」の扱いや、関連する手続きについて、「この保険証、どうすればいいんだろう? 返さないといけないの?」と疑問に思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

健康保険の手続きは、年金手続きなどと比べると少し地味に感じるかもしれませんが、場合によっては受け取れる可能性のある給付金を申請するために必要となります。

そこで今回は、この「健康保険」に関する葬儀後の手続きについて、

  • 健康保険証の返却と資格喪失手続き
  • 加入していた健康保険の種類による違い(国民健康保険、社会保険など)
  • 遺族が受け取れる可能性のある給付金(葬祭費・埋葬料など)
  • 手続きの期限や窓口
  • 注意すべき点

などを、分かりやすく解説していきます。

忘れがちな手続きですが、この記事を読んで確実に押さえておきましょう。

【結論】資格喪失の手続きは早急に!給付金は申請しないと受け取れない!

故人様の健康保険証は、亡くなられた時点で効力を失いますので、速やかに発行元の窓口へ返却し、資格喪失の手続きを行う必要があります。

また、どの健康保険に加入していたかによって、手続きの窓口や期限、そして受け取れる可能性のある給付金の種類が異なります。

【国民健康保険・後期高齢者医療制度の場合】

手続き窓口:市区町村の役所・役場

手続き:資格喪失届の提出、保険証の返却

受け取れる可能性のある給付金:「葬祭費(そうさいひ)」(葬儀を行った方へ支給)

期限:死亡日から14日以内(資格喪失届)、葬祭費の請求は葬儀から2年以内



【会社の健康保険(社会保険・組合健保など)の場合】

手続き窓口:勤務先(または加入していた健康保険組合、協会けんぽ)

手続き:資格喪失の手続き(通常は勤務先が行う)、保険証の返却

受け取れる可能性のある給付金:「埋葬料(まいそうりょう)」または「埋葬費(まいそうひ)」→生計を維持されていた遺族または埋葬を行った方へ支給

期限:勤務先への連絡は速やかに。埋葬料の請求は死亡(または埋葬)から2年以内


これらの手続きを忘れずに行うことで、保険料の過払いを防ぎ、受け取れる給付金を確実に受け取ることができます。

特に「葬祭費」や「埋葬料」は申請しなければ支給されませんので、注意が必要です。


それでは、健康保険の種類ごとの手続きや給付金について、その根拠となる部分を詳しく見ていきましょう。

1. なぜ手続きが必要? 資格喪失と保険証返却

人が亡くなると、健康保険の被保険者としての資格を失います(資格喪失)。

そのため、以下の理由から手続きが必要です。

保険証の不正利用防止: 効力を失った保険証が誤って使われるのを防ぐため、返却が必要です。

保険料の精算: 資格喪失日以降の保険料が誤って請求されないようにするため。(特に国民健康保険料など)

給付金申請の前提: 後述する葬祭費や埋葬料などの給付金を受け取るためには、通常、資格喪失の手続きが済んでいる必要があります。

2.【国民健康保険・後期高齢者医療制度の場合】の手続きと「葬祭費」

故人様が自営業者、年金生活者、あるいは会社の健康保険の扶養に入っていなかった場合などで、「国民健康保険」または「後期高齢者医療制度(75歳以上など)」に加入していた場合の手続きです。

手続き窓口: 故人様が住民票を置いていた市区町村の役所(役場)の国民健康保険課や後期高齢者医療担当課など。


手続き内容:

資格喪失届(異動届)の提出: 窓口にある書類に記入します。死亡届を提出する際に、併せて手続きできることが多いです。

健康保険証の返却: 故人の保険証を窓口に返却します。


提出期限: 資格喪失の届け出は、原則として死亡日から14日以内です。


受け取れる給付金:「葬祭費(そうさいひ)」

内容: 葬儀を行った方(原則として喪主)に対して、自治体から葬儀費用の一部として支給されるお金です。

支給額: 自治体によって異なりますが、3万円~7万円程度(大阪市の場合は現在5万円)が一般的です。

申請方法: 資格喪失届と同時に、または後日、役所の担当窓口で申請します。申請には、葬儀を行ったことや喪主が確認できる書類(葬儀費用の領収書、会葬礼状など)、申請者の印鑑、振込先口座の情報などが必要です。

申請期限: 葬祭費の請求権は、葬儀を行った日の翌日から2年で時効となります。

3.【会社の健康保険(社会保険など)の場合】の手続きと「埋葬料」

故人様が会社員や公務員などで、勤務先の「健康保険(協会けんぽ、組合健保、共済組合など)」に被保険者本人として加入していた場合、またはその被扶養者だった場合の手続きです。

手続き窓口:

①故人が被保険者本人の場合: まずは故人の勤務先に連絡します。退職手続きなどと併せて、健康保険の資格喪失手続きを行ってくれます。保険証も勤務先に返却するのが一般的です。

②故人が被扶養者の場合: 被保険者本人(例えば、故人が妻で夫の扶養に入っていたなら夫)の勤務先に連絡し、扶養から外す手続き(被扶養者異動届など)と保険証の返却を行います。


手続き期限: 勤務先への連絡は、できるだけ速やかに行いましょう。資格喪失の手続き自体は、通常、事業主(会社)が5日以内に行うことになっています。



受け取れる給付金:「埋葬料(まいそうりょう)」または「埋葬費(まいそうひ)」

埋葬料: 故人(被保険者または被扶養者)によって生計を維持されていて、埋葬を行った遺族(配偶者、子、父母など)に支給されます。金額は、一律5万円が基本です。(※故人が被扶養者の場合は「家族埋葬料」として被保険者本人に支給されます)

埋葬費: 埋葬料を受け取れる遺族がいない場合に、実際に埋葬を行った人(友人、知人、会社など)に対して、埋葬にかかった実費(上限5万円)が支給されます。


申請方法: 故人が加入していた健康保険組合、協会けんぽの支部、または共済組合などに「健康保険埋葬料(費)支給申請書」と必要書類(死亡を証明する書類、埋葬費の場合は領収書など)を提出します。勤務先を通じて申請できる場合もあります。

申請期限: 埋葬料(費)の請求権は、死亡した日(埋葬費の場合は埋葬を行った日)の翌日から2年で時効となります。

4. 手続きに必要な持ち物(一般的な例)

手続きの際には、主に以下のようなものが必要になることが多いです。

  • 故人の健康保険証
  • 死亡の事実が確認できる書類(死亡診断書のコピー、戸籍謄本、住民票除票など)
  • 手続きを行う人の本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
  • 手続きを行う人の印鑑(認印で可の場合が多い)
  • (給付金申請の場合)振込先口座の情報
  • (給付金申請の場合)葬儀を行ったことや費用がわかる書類(葬祭費、埋葬費の場合)


5. 手続きの際の注意点

期限を意識する: 資格喪失の届け出(国保・後期高齢)は14日以内、給付金の請求(葬祭費・埋葬料費)は2年以内、という期限を忘れないようにしましょう。

二重申請はしない: 国民健康保険と会社の健康保険の両方から、葬祭費と埋葬料を二重に受け取ることはできません。故人がどちらに加入していたかを確認し、該当する一方に申請します。退職後すぐなど、加入状況が不明確な場合は窓口で相談しましょう。

高額療養費の還付: 故人が亡くなる前に高額な医療費を支払っていた場合、自己負担限度額を超えた分が「高額療養費」として払い戻される可能性があります。これも相続財産となりますので、心当たりがある場合は、加入していた健康保険の窓口に問い合わせてみましょう。(請求期限は診療月から2年)

葬儀社への相談: 葬儀後の手続きは多岐にわたります。健康保険の手続きについても、分からないことがあれば、私たちのような葬儀社にご相談ください。手続きの概要や窓口をご案内したり、場合によっては行政書士などの専門家をご紹介したりすることも可能です。



故人様の健康保険に関する手続きは、葬儀後の忙しい中でも忘れずに行うべき重要な手続きです。

必要な手続きを確実に行うことで、後々のトラブルを防ぎ、受け取れるはずの給付金をしっかりと受け取ることができます。

手続きで不明な点があれば、各健康保険の窓口や、勤務先、そして私たち葬儀社に、遠慮なくご相談ください。

「年金をもらっていた家族が亡くなったけど、何か手続きは必要?」

株式会社大阪セレモニー

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山田泰平
専門家

山田泰平(葬儀)

株式会社大阪セレモニー

当社は家族葬を専門に、これまで1000件以上の葬儀をお手伝いさせて頂きました。少人数だからこそ実現できるきめ細やかなサービスと、ご遺族様の想いに寄り添った丁寧な対応を心がけています。

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