「葬儀後の挨拶状って、どうやって書けばいいの?」

山田泰平

山田泰平

テーマ:葬儀後のお話

皆様、こんにちは。
株式会社大阪セレモニー代表の山田泰平です。

無事に葬儀を終えられた後、一段落つく間もなく、お世話になった方々への感謝の気持ちを伝えたい、と考えますよね。

遠方の方や直接お会いするのが難しい方へ、あるいは香典返しを送る際に、感謝の気持ちを伝えるために用いられるのが「挨拶状(お礼状)」です。

しかしこの挨拶状、書き方やマナーについて、一定のルールが存在します。

これを守らないと、読み手に不快な想いをさせる可能性もありますし、悲しみが癒えぬ中で新たに儀礼的な文章を学ぶのは、精神的な負担が大きいかもしれません。

そこで今回は、この「葬儀後の挨拶状」について、

  • なぜ送るのか? その目的
  • 誰に、いつ送るのが適切か?
  • 基本的な構成と書くべき内容
  • 守るべき書き方のマナー(句読点、墨の色、忌み言葉など)
  • 具体的な文例
  • 手書きと印刷、どちらが良いか?

などを実践的に解説していきます。

【結論】基本的な構成を覚えて、自身の言葉で感謝の気持ちを伝えよう!

葬儀後の挨拶状は、葬儀への参列や香典、供花などに対する感謝の気持ちを伝え、無事に葬儀(や忌明け法要)を終えたことを報告するための、非常に大切なコミュニケーションツールです。

主な構成としては、

  1. 頭語・結語(例:拝啓・敬具)
  2. 葬儀への参列や厚志へのお礼
  3. (忌明け後に送る場合)忌明け法要を無事終えたことの報告
  4. 香典返し(またはお礼の品)を送る旨
  5. 故人が生前お世話になったことへの感謝
  6. 今後の支援や指導のお願い
  7. 略儀であることへのお詫び
  8. 日付
  9. 差出人(喪主)の氏名・住所

といった要素を盛り込むのが一般的です。

ただし、書く際には、句読点(「、」「。」)を用いない、時候の挨拶は省略する、忌み言葉を避ける、濃い墨で書くといった、弔事特有のマナーがあります。

定型的な例文を参考にしつつも、ご自身の言葉で感謝の気持ちを具体的に添えると、より心が伝わる挨拶状になります。


それでは、挨拶状の目的、マナー、具体的な書き方について、その根拠となる部分を詳しく掘り下げていきましょう。

1. なぜ挨拶状が必要なのか? その目的と役割

葬儀後の挨拶状には、主に以下の目的があります。

感謝の表明: お忙しい中、葬儀に参列していただいたこと、香典、供花、供物、弔電などをいただいたことに対する感謝の気持ちを正式に伝えます。

無事終了の報告: 葬儀や、忌明けの法要(四十九日など)が滞りなく終了したことを報告します。

故人に代わっての御礼: 故人が生前お世話になったことへの感謝を、遺族として改めて伝えます。

区切りと今後の関係性: 忌明けなどを機に、一つの区切りとして挨拶をし、今後とも変わらぬお付き合いをお願いする意思を示します。

香典返しの通知: 香典返しを送る際に、その旨を伝える役割も果たします。

直接お会いして御礼を述べるのが最も丁寧ですが、それが難しい場合に、書面で礼を尽くすのが”挨拶状”の役割です。

2. 誰に、いつ送る? 送付の対象とタイミング

送る相手(主な対象):

①香典をいただいた方全員: 香典返しを送る際に同封するのが一般的です。

②供花・供物をいただいた方

③弔電をいただいた方

④葬儀に参列してくださった方(特に遠方からの方など)

⑤葬儀でお世話になった方(弔辞を読んでくださった方、世話役の方など)

⑥家族葬などで参列をお断りし、後日訃報を知った方


送るタイミング:

①香典返しに同封する場合:

・忌明け返し(後日返し)の場合: 四十九日法要後、1ヶ月以内を目安に、香典返しと共に送ります。

・即日返しの場合: 葬儀当日にお渡しする品物に、簡単なカードタイプのお礼状を添えることが多いです。ただし、高額な香典をいただき、後日改めて品物を送る場合は、その際に正式な挨拶状を同封します。


②挨拶状のみを送る場合: 香典などを辞退した場合や、お礼の気持ちを改めて伝えたい場合などは、葬儀後できるだけ早く(1週間~忌明けまでを目安に)送るのが良いでしょう。

3. 基本的な構成要素:何を書けばいい?

挨拶状に盛り込むべき基本的な要素です。相手や状況に合わせて調整しましょう。

頭語: 「拝啓」など。(「謹啓」はより丁寧)

葬儀へのお礼: 誰の葬儀か(故人名)を明記し、参列や香典、供花などへの感謝を述べます。(例:「先般 亡父 〇〇 儀 葬儀に際しましては ご多忙中にもかかわらずご会葬を賜り かつ御丁重なるご厚志を賜り 誠に有難く厚く御礼申し上げます」)

(忌明け返しの場合)法要終了の報告: 「おかげさまで〇月〇日 四十九日(満中陰)の法要を滞りなく相営むことができました」など。

(香典返しを送る場合)品物送付の旨: 「つきましては 供養のしるしまでに 心ばかりの品をお送りさせていただきます ご受納いただければ幸いに存じます」など。

生前お世話になったお礼: 「故人が生前に賜りましたご厚情に 深く感謝申し上げます」など。

今後の支援などのお願い: 「今後とも変わらぬご厚誼を賜りますようお願い申し上げます」など。(省略する場合も)

結びの言葉(略儀のお詫び): 「略儀ながら 書中をもちまして御礼申し上げます」など。

結語: 「敬具」など。(頭語と対になるもの)

日付: 挨拶状を送る日付、または法要の日付などを記載します。

差出人: 喪主の住所、氏名を記載します。親族一同とする場合もあります。

4.【重要】書き方のマナーと注意点

弔事の挨拶状には、特有のマナーがあります。

失礼にあたらないよう注意しましょう。

句読点(「、」「。」)は用いない: これが最も特徴的なマナーです。理由は諸説ありますが、「文章が滞りなく流れるように」「区切りをつけない(縁を切らない)」といった意味合いがあるとされています。句読点を使いたい箇所では、スペース(空白)を空けたり、改行したりして読みやすくします。

墨の色: 葬儀の案内状や香典袋の表書きは薄墨を使うことがありますが、葬儀後の挨拶状(特に忌明け後)は、濃い黒で書くのが一般的です。「悲しみの涙で墨が薄まった」という意味合いは、忌明けをもって一区切りとするためです。

時候の挨拶は不要: 通常の手紙にあるような「〇〇の候」といった時候の挨拶は省略します。すぐに本題(お礼)から書き始めます。

忌み言葉を避ける: 「重ね重ね」「たびたび」「ますます」などの重ね言葉や、「死ぬ」「苦しむ」「消える」「浮かばれない」といった直接的・不吉な言葉は避けます。

宗教・宗派への配慮:

①仏式:「供養」「成仏」「冥福」「往生」などの言葉を使います。「満中陰」「忌明け」なども仏教用語です。

②神式:「御玉串料」「御榊料」へのお礼、「五十日祭」の報告、「帰幽(きゆう)」、「永眠」などの言葉を用います。「成仏」「供養」などは使いません。

③キリスト教式:香典返しの習慣は基本ありませんが、お礼状を送る場合、「御花料」へのお礼、「召天記念式」などの言葉を用います。「冥福」「供養」などは使いません。
宗教・宗派が不明な場合は、当たり障りのない表現を選ぶのが無難です。


用紙・封筒: 白無地のシンプルな便箋と封筒(一重のもの)を使うのが基本です。はがきでも構いませんが、封書の方がより丁寧な印象です。

5. 具体的な文例(一部抜粋・要約)

状況に応じた文例をいくつかご紹介します。(※句読点は省略して記載)

【忌明け返し(香典返し)に添える場合】

拝啓
先般 亡父 〇〇 儀 葬儀に際しましては ご多忙中にもかかわらずご会葬を賜り かつ御丁重なるご厚志を賜り 誠に有難く厚く御礼申し上げます
おかげさまで 〇月〇日 四十九日(満中陰)の法要を滞りなく相営むことができました
つきましては 供養のしるしまでに 心ばかりの品をお送りさせていただきます 何卒ご受納くださいますようお願い申し上げます
早速拝眉の上御礼申し上げるべきところ 略儀ながら書中をもちまして謹んでご挨拶申し上げます
敬具
令和〇年〇月〇日
[住所]
[喪主氏名] (親族一同)


【家族葬で参列・香典等を辞退した方への葬儀後報告】

謹啓
亡父 〇〇 儀 かねてより病気療養中のところ 〇月〇日 永眠いたしました
生前のご厚誼に深く感謝申し上げます
なお 葬儀は故人の遺志により 〇月〇日 近親者のみにて執り行いました
ご連絡が遅れましたこと ご容赦ください
また 誠に勝手ながら 御香典 御供花等の儀は固くご辞退申し上げます
ここに生前のご厚情を深謝し 略儀ながら書中にて謹んでご挨拶申し上げます
敬白
令和〇年〇月〇日
[住所]
[喪主氏名] (親族一同)


これらはあくまで一例です。

葬儀社やギフトショップなどで、状況に合わせた様々な文例を用意していますので、参考にすると良いでしょう。

6. 手書き? 印刷? どちらが良い?

本来、お礼状は手書きが最も丁寧とされますが、送る相手が多い場合などは、印刷したものでも決して失礼にはあたりません。

時間的・体力的な負担を考えると、印刷を利用する方が現実的な場合も多いでしょう。

ただし、その場合でも、宛名や差出人名だけでも手書きにすると、より丁寧な印象を与え、感謝の気持ちが伝わりやすくなります。

全て印刷の場合でも、一言手書きのメッセージを添えるだけでも、温かみが増しますね。


葬儀後の挨拶状は、お世話になった方々へ感謝の気持ちを伝え、無事に儀式を終えたことを報告するための大切なマナーです。

もちろん形式も大切ですが、何よりも心を込めて書くことが、相手に感謝の気持ちを伝える一番の方法です。

難しく考えすぎず、故人を偲び、支えてくださった方々への素直な感謝の気持ちを、丁寧な言葉で綴ってみてください。

株式会社大阪セレモニー

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山田泰平
専門家

山田泰平(葬儀)

株式会社大阪セレモニー

当社は家族葬を専門に、これまで1000件以上の葬儀をお手伝いさせて頂きました。少人数だからこそ実現できるきめ細やかなサービスと、ご遺族様の想いに寄り添った丁寧な対応を心がけています。

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