相続税が払えない!遺産が“不動産だけ”だった家族を襲う納税地獄の現実
皆様、こんにちは。
株式会社大阪セレモニー代表の山田泰平です。
遺産相続において、預貯金などと並んで大きな割合を占めることが多いのが、故人様が住んでいた「実家」などの不動産ですね。
長年慣れ親しんだ実家を相続しても、相続人であるご自身や他の兄弟姉妹が、すでに別の場所に持ち家を持っていたり、遠方に住んでいたりして、「誰もその家に住む予定がない」というケースが多くなっています。
そんな時、適切な対応を取らずに空き家のまま放置してしまうと、様々なリスクや不利益が生じてしまう可能性があります。
そこで今回は、相続した実家に誰も住まない場合に、「どうすれば良いのか」、その主な選択肢とそれぞれのメリット・デメリット、そして放置するリスク、考えるべきポイントなどを解説していきます。
【結論】空き屋放置は絶対NG!専門家を立て、相続人で話し合って早期に処分を考えよう!
まず結論として、相続した実家に誰も住まない場合、「空き家のまま長期間放置する」ことは、絶対に避けるべきです。
放置は、経済的な負担増(税金など)、管理責任の発生、建物の老朽化、防犯・防災上のリスクなど、多くの問題を引き起こす原因となります。
主な選択肢としては、以下の4つが考えられます。
売却する: 現金化でき、管理の手間や費用から解放される。
賃貸に出す: 家賃収入を得られる可能性があるが、管理の手間や空室リスクも伴う。
自分で利用する(居住、別荘、事業用など): 思い出の家を活用できるが、リフォーム費用や維持管理の手間がかかる。
解体して更地にする: 管理負担は減るが、解体費用がかかり、固定資産税が上がる可能性もある。土地の活用も考える必要あり。
どの選択肢が最適かは、建物の状態、立地、周辺環境、そして何よりも相続人全員の意向やライフプランによって異なります。
大切なのは、できるだけ早い段階でこれらの選択肢について検討を始め、家族・親族間で十分に話し合い、必要であれば不動産会社や税理士などの専門家の意見も聞きながら、将来を見据えた最適な方法を決定し、行動に移すことです。
それでは、なぜ放置がダメなのか、そして各選択肢のメリット・デメリットなどを、具体的に掘り下げていきましょう。
1. なぜ放置はダメ? 空き家を放置する深刻なリスク
誰も住まない実家を、適切な管理もせずに放置しておくと、以下のような様々なリスクが生じます。
経済的負担の継続・増加:
①固定資産税・都市計画税:
空き家であっても、所有している限り毎年課税されます。さらに、適切な管理がされていないと判断され「特定空家」に指定されると、固定資産税の住宅用地特例(最大1/6に減額)が適用されなくなり、税負担が大幅に増える可能性があります。
②維持管理費: 庭の手入れ、最低限の修繕、火災保険料など、放置していても一定の費用がかかります。
建物の急速な老朽化: 人が住まなくなった家は、換気が行われず湿気がこもり、驚くほど早く傷みます。カビ、シロアリ被害、雨漏り、壁のひび割れなどが進行します。
倒壊・破損のリスク: 老朽化が進むと、台風や地震などで建物が倒壊したり、屋根材などが飛散したりして、近隣に被害を及ぼす危険性があります。その場合、所有者として損害賠償責任を問われる可能性があります。
防犯上のリスク: 不審者の侵入、放火、ゴミの不法投棄などのターゲットになりやすく、地域の治安悪化の原因にもなりかねません。
景観・衛生上の問題: 雑草が生い茂り、害虫が発生するなど、周辺の景観を損ない、衛生的な問題を引き起こす可能性があります。
資産価値の低下: 放置期間が長くなるほど、建物の価値は下がり、いざ売却しようと思っても買い手が見つかりにくくなったり、売却価格が大幅に下がったりします。
このように、空き家の放置は、所有者自身にとっても地域社会にとっても、多くのデメリットしかもたらしません。
2. 選択肢①「売却する」:現金化と負担軽減
【メリット】
まとまった現金を得られる。(相続税の納税資金や、遺産分割に充てられる)
固定資産税や維持管理費の負担から解放される。
管理の手間がなくなる。
空き家問題の心配がなくなる。
【デメリット】
思い出の詰まった家を手放すことになる寂しさ。
希望する価格で売れない、買い手が見つからない可能性。
売却によって利益が出た場合、譲渡所得税がかかる。(ただし、相続した空き家を売却した場合の特例など、税制優遇措置もあります)
仲介手数料などの諸経費がかかる。
【考えるポイント】
市場価値はどれくらいか?(不動産会社に査定を依頼)
売却にかかる税金や諸経費は?
相続人全員が売却に同意しているか?
3. 選択肢②「賃貸に出す」:収入源としての活用
【メリット】
家賃収入という継続的な収入を得られる可能性がある。
家を手放さずに済む。(将来的に戻る、子供が住むなどの可能性がある場合)
人が住むことで、家の劣化を抑えられる。
【デメリット】
借り手が見つからない「空室リスク」。
入居者とのトラブル(家賃滞納、騒音など)の可能性。
物件の維持管理や修繕の手間・費用がかかる。(管理会社に委託することも可能だが、費用がかかる)
賃貸に出すために、リフォームが必要になる場合がある。
確定申告が必要になる。
【考えるポイント】
賃貸需要が見込める立地か?(駅からの距離、周辺環境など)
想定される家賃収入と、維持管理費・税金などの支出のバランスは?
管理の手間をどうするか?(自主管理か、管理会社委託か)
4. 選択肢③「自分で利用する(居住・別荘など)」
【メリット】
思い出の詰まった家に住み続けることができる。
新たに家を購入・賃貸する必要がない(住居費の節約)。
別荘や、将来の子供の住まいとして活用できる。
【デメリット】
現在の生活拠点から離れている場合、通勤・通学などが不便になる。
建物の老朽化が進んでいる場合、大規模なリフォーム費用がかかる可能性がある。
固定資産税や維持管理費を継続的に負担する必要がある。
他の相続人との間で、公平性の問題(評価額の差額精算など)が生じる可能性がある。
【考えるポイント】
本当にその家に住みたいか、住むことが現実的か?
リフォームの必要性と費用は?
他の相続人の意向は?
5. 選択肢④「解体して更地にする」:土地としての活用へ
【メリット】
老朽化した建物の倒壊リスクや、管理の手間がなくなる。
更地にすることで、土地の売却や、駐車場・アパート経営などの土地活用がしやすくなる場合がある。
害虫や不審者の問題を解消できる。
【デメリット】
解体費用がかかる。(木造家屋の場合、坪あたり数万円程度が目安ですが、構造や立地、アスベストの有無などで変動)
固定資産税が高くなる可能性: 建物がなくなることで、土地に対する固定資産税の住宅用地特例が適用されなくなり、税額が更地になる前より数倍に跳ね上がることがあります。
思い出のある建物が完全になくなってしまう。
【考えるポイント】
解体費用の見積もりは?
解体後の固定資産税の増加額は?
更地にした後の土地活用(売却、駐車場など)の計画はあるか?
6. 判断するための重要な視点
どの選択肢を選ぶべきか判断するためには、以下の視点を持つことが重要です。
経済的な側面: 維持費(税金、管理費、保険料、修繕費)は年間どれくらいか? 売却した場合の想定価格は? 賃貸に出した場合の収支予測は? 解体費用は?
物理的な側面: 建物の築年数、状態(リフォームの必要性)、立地条件(交通の便、周辺環境)、土地の広さ・形状。
感情的な側面: 家に対する愛着、思い出。家族や親族の意向。
将来的な側面: ご自身のライフプラン、子供世代への影響。
これらの要素を総合的に考慮し、家族・親族間で十分に話し合い、場合によっては専門家の意見も聞きながら、最も納得のいく結論を導き出すことが大切です。
7. 専門家への相談:誰に相談すればいい?
相続した不動産の扱いについては、様々な専門知識が必要となります。
状況に応じて、以下の専門家に相談しましょう。
不動産会社: 売却査定、賃貸仲介、市場動向などの情報提供。
税理士: 相続税、譲渡所得税、固定資産税など、税金に関する相談。
司法書士: 相続登記(不動産の名義変更)の手続き。
弁護士: 相続人間でトラブルになっている場合、法的な権利関係の整理。
土地家屋調査士: 土地の境界確定など。
解体業者: 解体費用の見積もり。
私たちのような葬儀社も、これらの専門家とのネットワークを持っていますので、どこに相談すれば良いか分からない場合は、まず私たちにご相談いただくことも可能です。
まとめ
相続した実家に誰も住まない場合、空き家のまま放置することは多くのリスクを伴います。
「売却」「賃貸」「自分で利用」「解体」といった選択肢の中から、ご自身の状況や意向に合った最適な方法を、できるだけ早い段階で検討し、決定・実行することが重要です。
その際には、
- 経済的・物理的・感情的・将来的な側面を総合的に考慮する。
- 必ず家族・親族間で十分に話し合い、合意形成を図る。
- 必要に応じて、不動産会社や税理士などの専門家の意見を聞く。
ことを忘れないでください。
思い出の詰まった実家だからこそ、後悔のない、そして未来につながる選択をしたいものですよね。
株式会社大阪セレモニー



