悲しみに付け込む、巧妙な手口… 悪徳葬儀社から身を守る方法
皆様、こんにちは。
株式会社大阪セレモニー代表の山田泰平です。
大切な方が病院でお亡くなりになった際、まず直面するのが「ご遺体の搬送」と「葬儀社の手配」です。
そんな時、病院のスタッフの方から、「提携している葬儀社がありますが、いかがなさいますか?」と、特定の葬儀社を紹介されるケースが少なくありません。
突然のことで、何から手をつければ良いか分からない状況の中、病院から紹介されたとなると、
「病院が紹介してくれるなら、安心なのかな?」
「早く決めないといけないみたいだし、もうここでお願いしちゃおうか…」
と、安易に依頼して良いものか、判断に迷ってしまう方が非常に多いのではないでしょうか。
実際、病院紹介の葬儀社にそのまま依頼して、「後から高額な請求をされた」「希望通りの葬儀ができなかった」といった後悔の声も、残念ながら耳にすることがあります。
そこで今回は、この「病院から紹介された葬儀社」について、
- なぜ病院が葬儀社を紹介するのか?(その仕組み)
- そのまま依頼するメリット・デメリット
- 依頼する前に確認すべきこと、注意点
- 断っても良いのか? 断る場合の伝え方
- 後悔しないための葬儀社選びのポイント
などを、私たち葬儀のプロが、忖度なく正直にお伝えしていきたいと思います。
【結論】病院紹介による契約がベストとは限らない!できれば事前に葬儀社を比較検討しておきましょう!
まず結論として、病院から紹介された葬儀社に、そのまま依頼することが「絶対にダメ」というわけではありません。
迅速に対応してくれる、長年の経験がある、といった信頼できる葬儀社である可能性も十分にあります。
しかし、「病院が紹介したから安心」と安易に考え、他の選択肢を比較検討せずに即決してしまうのは、非常にリスクが高いと言わざるを得ません。
なぜなら、
- 必ずしも費用が適正とは限らない(紹介料が上乗せされている可能性も)。
- その葬儀社のサービス内容や質が、自分たちの希望に合っているとは限らない。
- ご遺族が冷静に比較検討する時間を与えられずに契約を迫られるケースがある。
からです。
よって、できれば事前に複数の葬儀社に事前相談しておき、葬儀の大まかな形式や費用を把握しておくと良いでしょう。
病院側としても、ご遺体を数日預かるといったことは出来ませんので、故人が突然死された場合などは、病院側がおすすめする葬儀社に依頼することも選択肢に入れておいてください。
それでは、なぜ病院が葬儀社を紹介するのか、そして安易に依頼すべきでない理由、具体的な対処法について、その根拠となる部分を詳しく掘り下げていきましょう。
1. なぜ病院は葬儀社を紹介するの?
病院が特定の葬儀社を紹介する背景には、いくつかの理由が考えられます。
利便性の提供(表向き): ご遺族が葬儀社を探す手間を省き、スムーズにご遺体の搬送を行えるように、という配慮。
提携関係・出入り業者: 病院と特定の葬儀社が提携契約を結んでいたり、日頃から出入りしていて関係性ができていたりする場合。
紹介料(裏側): 残念ながら、一部の病院や担当者が、葬儀社を紹介する見返りに「紹介料」を受け取っているケースも存在します。この場合、その紹介料分が葬儀費用に上乗せされている可能性があります。
スペースの問題: 病院の霊安室は、あくまで一時的な安置場所であり、長時間利用することはできません。速やかに搬送してもらう必要があるため、すぐに対応できる葬儀社を紹介する、という側面もあります。
2. 病院紹介の葬儀社にそのまま依頼するメリット・デメリット
【メリット】
迅速な対応: すぐに病院に来て、ご遺体の搬送・安置を行ってくれる。
手間が省ける: 葬儀社を探す手間が省ける。
安心感:「病院が紹介するのだから大丈夫だろう」という安心感を得られるかもしれない。
【デメリット】
費用が割高になる可能性: 紹介料の上乗せや、競争がないことによる高めの価格設定になっている場合があります。
サービス内容を選べない可能性: その葬儀社の決まったプランしか提案されず、自分たちの希望に合った柔軟な対応がしてもらえない可能性があります。
比較検討できない: 他の葬儀社と比較する機会がないため、費用やサービスが適正なのか判断できません。
冷静な判断ができない状況での契約: 深い悲しみと動揺の中で、十分な説明を受けずに契約してしまい、後で後悔するリスクがあります。
3.【重要】依頼する前に確認すべきこと・注意点
もし、病院紹介の葬儀社に依頼することを少しでも考えるのであれば、最低限以下の点を確認し、注意しましょう。
費用の概算と内訳を確認する: まずは搬送と安置にかかる費用、そして可能であれば葬儀全体の概算費用とその内訳(何が含まれ、何が含まれないか)を確認しましょう。曖昧な説明や「一式〇〇円」といった大雑把な見積もりしか提示しない場合は要注意です。
追加費用の可能性を確認する: 見積もり以外に追加で費用が発生する可能性があるか、どのような場合にいくらかかるのか、具体的に質問しましょう。
契約を急かされていないか?: 「今決めないと」「すぐに契約しないと」などと、考える時間を与えずに契約を迫ってくる場合は、非常に危険なサインです。
スタッフの対応は丁寧か?: こちらの質問に真摯に答えてくれるか、遺族の気持ちに寄り添う姿勢があるか、スタッフの対応も重要な判断材料です。
4.ご自宅で安置することも検討する
もし、事前に依頼する葬儀社が決まっていないのであれば、自宅にご遺体を安置し、その間に葬儀社の相見積もりを行うという方法もあります。
ご遺体は死亡直後から少しずつ腐敗が進みますが、冷却することでその進行を遅らせることが可能です。
葬儀社では主にドライアイスを使用しますが、自宅安置の場合もドライアイスをタオルなどで巻き、特にお腹周りや首周辺を中心に設置することで、内臓腐敗の進行を抑えるのです。
ドライアイスはネットで検索すれば、販売元が分かりますし、設置までに少し時間を要すようであれば、アイス枕などで代用しましょう。
ドライアイスを上手く活用できれば、5日~1週間ほどはご遺体を維持できると思います。(ご遺体の状況や季節によっては、この限りではありません。)
5. 病院紹介の葬儀社を「断っても良い」理由と伝え方
病院から紹介された葬儀社をきっぱりと断ることに、全く問題ありません。
ご遺族には、葬儀社を自由に選ぶ権利がありますし、病院のスタッフも、葬儀社選びが重要であることは理解しています。
断ったからといって、その後の対応が悪くなるようなことは通常ありません。
「お願いする予定の葬儀社がありますので。色々とご対応ありがとうございました。」と、丁寧にお断りすれば良いでしょう。
まとめ
病院から葬儀社を紹介された場合、それはあくまで「選択肢の一つ」にすぎません。
大切な方を亡くされた直後は、冷静な判断が難しい状況です。
そんな時だからこそ、後で後悔しないために、少しだけ立ち止まって考える勇気を持つことが、納得のいく葬儀社選び、そして心を込めたお見送りに繋がります。
株式会社大阪セレモニー



