「法事と法要って、何が違うの?いつ何をするの?」

山田泰平

山田泰平

テーマ:葬儀の知識

皆様、こんにちは。
株式会社大阪セレモニー代表の山田泰平です。

お葬式が無事に終わり、少し時間が経つと、「次は四十九日法要だね」「一周忌はどうしようか」といった会話が、ご家族やご親族の間で交わされるようになるかと思います。

故人様を偲び、供養するための大切な行事である「法事(ほうじ)」や「法要(ほうよう)」。

言葉としてはよく耳にするけれど、「法事と法要って、厳密には何が違うの?」と、その意味や違い、具体的な内容について、はっきりと理解されている方は意外と少ないかもしれませんね。

そこで今回は、この「法事・法要」について、

  • 法事と法要の言葉の意味の違い
  • なぜ法要を行うのか?その目的
  • 主な法要の種類と時期(いつ何がある?)
  • 法要の準備と当日の流れ(何をすればいい?)
  • 最近の傾向

などを解説していきます。

【結論】ほぼ似た意味であるが、法事の枠の中に法要があるイメージで良い

まず結論として、「法要」と「法事」は、厳密には少し意味が異なりますが、一般的にはほぼ同じ意味合いで使われることも多い言葉です。

法要: 故人様の冥福を祈り、供養のために僧侶にお経をあげていただく、その儀式自体を指します。「追善供養(ついぜんくよう)」とも言います。

法事: 上記の「法要」と、その後の会食(お斎=おとき)までを含めた一連の行事全体を指すことが多い言葉です。

つまり、「法事」という大きな枠の中に、「法要」という儀式が含まれている、と考えると分かりやすいでしょう。

そして法要には、亡くなってから比較的短い期間に行われる「忌日法要(きじつほうよう)」(中陰法要とも。初七日から四十九日までなど)と、命日などに合わせて年単位で行われる「年忌法要(ねんきほうよう)」(一周忌、三回忌など)があります。

どの法要を行うかは、ご遺族の考え方や菩提寺との関係性、地域の慣習などによって異なりますが、特に四十九日と一周忌は重要な節目として、多くの場合、比較的丁寧に行われます。

法事・法要の準備は、日程調整や会場手配、案内状の送付など、意外とやることが多いため、早めに計画を立て、関係者(特に僧侶)と連絡を取りながら進めることが大切です。


それでは、法事・法要の意味や種類、準備などについて、その根拠となる考え方や具体的な内容を、さらに詳しく掘り下げていきましょう。

1. 法事と法要、言葉の意味の使い分け

先ほど説明したように、厳密には「法要=儀式」「法事=行事全体」ですが、日常会話では「週末に父の法事があって…」のように、法要の儀式のみを指して「法事」と言うこともありますし、逆に「三回忌の法事をお願いします」とお寺に依頼することもあります。

あまり厳密に使い分けを意識しすぎる必要はありませんが、基本的な違いは知っておくと良いでしょう。

2. なぜ法要を行うのか? その目的と意味

仏教において、法要を行う主な目的は「追善供養」です。

追善供養とは: 残された者が善行(お経を読む、供養をするなど)を行うことで、その功徳(くどく:良い行いの結果)を故人様に振り向け、故人がより良い世界へ生まれ変われるように、あるいは成仏できるように後押しする、という考え方です。

故人を偲び、感謝する機会: 法要は、故人様のことを思い出し、生前の徳を偲び、感謝の気持ちを伝える大切な機会でもあります。

命の繋がりを確認する機会: 親族が集まり、故人様を通して自分たちのルーツや命の繋がりを再確認し、親睦を深める場ともなります。

仏教の教えに触れる機会: 僧侶の法話などを通して、仏様の教えに触れ、自身の生き方を見つめ直す機会にもなります。

このように、法要は単なる形式的な儀式ではなく、故人のため、そして残された者のためにも、深い意味を持つ大切な営みなのです。

3. 主な法要の種類と時期:いつ、何がある?

法要は、大きく分けて「忌日法要」と「年忌法要」があります。

忌日法要(中陰法要):

期間: 故人が亡くなった日を1日目として、7日ごとに行われる法要。死後の世界へ旅立つまでの期間(中陰または中有)に行われます。

主な法要:

①初七日(しょなのか): 亡くなってから7日目。故人が三途の川に到着する日とも言われます。近年は、葬儀当日に「繰り上げ初七日」として、火葬後などに併せて行うことが非常に多くなっています。

②二七日(ふたなのか)~六七日(むなのか): 14日目、21日目…と続きますが、現代では省略されることがほとんどです。

③四十九日(しじゅうくにち): 亡くなってから49日目。**「満中陰(まんちゅういん)」とも呼ばれ、故人の来世の行き先が決まる最も重要な日とされ、「忌明け(きあけ)」**となります。この日に合わせて、親族を招き、比較的大きな法要(四十九日法要)と納骨式を行うことが多いです。

④百箇日(ひゃっかにち): 亡くなってから100日目。「卒哭忌」とも言われ、悲しみに区切りをつける節目とされます。最近では省略されることも多いですが、四十九日に納骨できなかった場合などに行われることもあります。



年忌法要(ねんきほうよう):

時期: 故人の祥月命日(しょうつきめいにち:亡くなった月日と同じ日)に合わせて、年単位で行われる法要です。

数え方: 亡くなった年を1年目(一周忌は満1年目)、亡くなった翌々年を3年目(三回忌は満2年目)…と数えます。**「○回忌」は「満(○-1)年」**と覚えると分かりやすいです。(例:七回忌は満6年目)

主な法要:

①一周忌(いっしゅうき): 亡くなってから満1年目。四十九日と並んで非常に重要な法要で、親族や親しい友人を招いて行われることが多いです。

②三回忌(さんかいき): 満2年目。一周忌と同様に重要視され、比較的丁寧に行われます。

③七回忌(ななかいき): 満6年目。

④十三回忌、十七回忌、二十三回忌、二十七回忌、三十三回忌… と続きます。

弔い上げ(とむらいあげ): 一般的に、三十三回忌または五十回忌をもって、故人の魂が完全に浄化され、ご先祖様の仲間入りをすると考えられ、最後の年忌法要「弔い上げ」とすることが多いです。(宗派や地域、寺院によって考え方は異なります)これ以降は、個別の年忌法要は行わず、ご先祖様としてまとめて供養していきます。

どの法要まで行う?: どこまでの年忌法要を行うかは、ご家庭の考え方や状況によって異なります。近年では、三回忌や七回忌までを比較的丁寧に行い、それ以降は規模を縮小したり、家族だけで行ったりするケースも増えています。菩提寺がある場合は、相談してみましょう。

4. 法事・法要の準備:何から始める?

法事・法要を行うことが決まったら、以下の準備を進めます。遅くとも1~2ヶ月前には準備を始めると安心です。

日程と会場の決定:

祥月命日に行うのが理想ですが、平日の場合は参列者の都合がつきにくいため、命日直前の土日などに行うことが多いです。

まず、僧侶の都合を確認することが最優先です。菩提寺がある場合は、早めに連絡を取り、候補日をいくつか挙げてもらいましょう。

会場は、自宅、お寺、斎場、ホテルなどが考えられます。参列者の人数や、会食の有無などを考慮して決めます。


僧侶への依頼: 日程と場所が決まったら、正式に僧侶へ法要(読経)を依頼します。お布施の目安なども、この時に確認しておくと良いでしょう。


参列者のリストアップと案内状の送付: 誰を招待するかを決め、案内状を作成・送付します。案内状には、日時、場所、法要の種類、出欠確認の返信のお願い、会食の有無などを記載します。返信はがきを同封し、1ヶ月前くらいまでには届くように送るのが目安です。


会食(お斎)の手配: 法要後に会食を行う場合は、会場(自宅、お寺の客殿、料亭、レストランなど)と料理を手配します。仕出し弁当などを利用するのも良いでしょう。


引き物(粗供養品)の手配: 参列してくださった方へのお礼として、引き物(粗供養品)を用意します。1世帯に1つお渡しするのが一般的です。相場は2,000円~5,000円程度で、お菓子、海苔、お茶、タオル、洗剤などが選ばれます。


お墓の準備(納骨を伴う場合): 納骨も同時に行う場合は、お墓の清掃や、石材店への戒名彫刻・カロート開閉の依頼なども必要になります。

5. 法要当日の流れ(一般的な仏式の場合)

  1. 施主(遺族代表)の挨拶: 法要開始前に、参列者へ簡単な挨拶と感謝を述べます。
  2. 僧侶入場・読経: 僧侶が入場し、読経が始まります。
  3. 焼香: 僧侶の案内に従って、施主から順に焼香を行います。
  4. 法話: 僧侶から仏教の教えや故人にまつわるお話などをいただきます。
  5. (場合によって)お墓参り: 法要後、お墓に移動して納骨式やお墓参りを行います。
  6. 施主の挨拶: 法要終了後、改めて参列者へ感謝の言葉を述べます。
  7. 会食(お斎): 場所を移して会食を行います。始まる前と終わる際に、施主が挨拶をします。
  8. 引き物を渡す: 会食後、または帰り際に、引き物をお渡しします。


6. 最近の法事・法要の傾向

近年では、法事・法要のあり方も少しずつ変化しています。

規模の縮小: 親族のみ、あるいはごく親しい人のみで行う、小規模な法要が増えています。

簡略化: 会食を省略したり、平服での参加を呼びかけたりするケースも見られます。

特定の年忌法要のみ行う: 全ての年忌法要を行うのではなく、一周忌、三回忌、七回忌、弔い上げなど、節目のみを行う家庭も増えています。

形式は変わっても、故人を偲び供養する気持ちは同じです。

ご自身の家庭の状況に合わせて、無理のない範囲で行うことが大切ですね。

まとめ

法事・法要は、故人様の冥福を祈り、追善供養を行うための大切な仏教行事であると同時に、残された私たちが故人を偲び、命の繋がりを感じるための貴重な機会でもあります。

  • 「法要」は儀式、「法事」は行事全体(会食含む)を指すことが多い。
  • 忌日法要(特に四十九日)と年忌法要(特に一周忌、三回忌)が重要な節目。
  • 準備は早めに計画的に行い、僧侶との連携が不可欠。
  • 形式にとらわれず、感謝と供養の気持ちを込めて行うことが最も大切。

いつ、どのような法要を行うか、どこまでの範囲の人を呼ぶか、などに迷った場合は、まずはご家族・ご親族でよく話し合い、そして菩提寺や、私たち株式会社大阪セレモニーのような葬儀社にご相談ください。

株式会社大阪セレモニー

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山田泰平
専門家

山田泰平(葬儀)

株式会社大阪セレモニー

当社は家族葬を専門に、これまで1000件以上の葬儀をお手伝いさせて頂きました。少人数だからこそ実現できるきめ細やかなサービスと、ご遺族様の想いに寄り添った丁寧な対応を心がけています。

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