「納骨って、いつまでに行わないといけないの?」

山田泰平

山田泰平

テーマ:葬儀後のお話

皆様、こんにちは。
株式会社大阪セレモニー代表の山田泰平です。

火葬を終え、ご遺骨が骨壺に収められてお手元に戻ってきた後、次に考えるのがそのご遺骨をどこへ、そしていつ納めるか、という「納骨(のうこつ)」の問題があります。

納骨の時期については、ネット上にも様々な情報があり、「いつまでに」という明確な答えが分からず、悩んでしまう方も多いと思います。

特に、お墓の準備が間に合わない、気持ちの整理がまだついていない、といったご事情を抱えている場合は、焦りを感じてしまうかもしれません。

そこで今回は、この「納骨の時期」について、

  • 法律上の期限はあるのか?
  • 一般的にいつ頃行われることが多いのか?(四十九日、一周忌など)
  • それぞれの時期に行う意味合い
  • 納骨を急がない場合の考え方
  • 納骨の具体的な流れと準備

などを、分かりやすく解説していきます。

【結論】納骨時期に決まりはないが、一般的には法要に合わせて行う

納骨の時期に関して、法律上の明確な期限はなく、「いつまでに納骨しなければならない」という決まりはありません。

極端な話、何年、あるいは何十年、ご自宅で遺骨を保管(手元供養)していても、法律的に問題はありません。

しかし、仏教的な考え方や、日本の一般的な慣習としては、

  • 四十九日法要
  • 百箇日法要(ひゃっかにちほうよう)
  • 一周忌法要
  • 三回忌法要

といった、故人の供養の節目となる法要に合わせて納骨を行うケースが多く見られます。

とはいえ、これはあくまで一般的な目安。

お墓がまだ準備できていない、気持ちの整理がついていない、遠方の親族が集まりにくい、といった様々な事情がある場合は、無理にこれらの時期に合わせる必要は全くありません。

最も大切なのは、ご遺族の気持ちの整理がつき、お墓や納骨先の準備が整った後の、ベストなタイミングで納骨を行うことです。


それでは、なぜ法律上の期限がなく、どのようなタイミングで納骨が行われることが多いのか、その根拠となる部分や具体的な流れを詳しく見ていきましょう。

1. 法律上の期限はない理由

お墓や埋葬に関する法律としては「墓地、埋葬等に関する法律(墓埋法)」がありますが、この法律では、埋葬や火葬を行う場所(墓地、火葬場)や、その許可(埋葬許可証、火葬許可証)については定めていますが、「いつまでに納骨しなさい」という期限については触れていません。

そのため、ご遺骨をいつまでも自宅に置いておくこと自体は、法律違反にはならないのです。

2. 一般的な納骨時期の目安とその意味合い

法律上の期限はありませんが、以下のような法要のタイミングで納骨を行うのが一般的とされています。

これには、仏教的な考え方や、親族が集まりやすいといった現実的な理由があります。

①四十九日法要(しじゅうくにちほうよう):

意味合い: 仏教では、故人の魂は亡くなってから四十九日間、この世とあの世の間をさまよい、四十九日目に閻魔大王の裁きを受けて、来世の行き先が決まると考えられています(宗派により解釈は異なります)。この重要な日に合わせて、故人の成仏を願い、遺骨をお墓に納めることで、一つの区切りとする考え方です。忌明け(きあけ)のタイミングでもあります。

現実的な理由: 葬儀後、初めて親族が集まる大きな法要であることが多く、納骨式も併せて行いやすい。

注意点: 葬儀から日が浅いため、お墓の準備が間に合わない、気持ちの整理がついていない、というケースも多い時期です。無理に行う必要はありません。


②百箇日法要(ひゃっかにちほうよう):

意味合い: 卒哭忌(そっこくき)とも呼ばれ、「泣き悲しむ時期を終える」という意味合いを持つ法要です。このタイミングで納骨し、区切りをつけるという考え方もあります。

現実的な理由: 四十九日に間に合わなかった場合の、次の節目として選ばれることがあります。


③一周忌法要(いっしゅうきほうよう):

意味合い: 故人が亡くなってから満一年目の命日に行う法要です。年忌法要の中でも特に重要とされ、この大きな節目に合わせて納骨を行うケースも非常に多いです。

現実的な理由: 一年という時間があるため、お墓の準備を進めやすく、気持ちの整理もある程度つきやすい時期と言えます。親族も集まりやすいタイミングです。


④三回忌法要(さんかいきほうよう):

意味合い: 亡くなってから満二年目の命日に行う法要です。(三回忌は「3年目」ではなく「満2年」です)

現実的な理由: 一周忌までに納骨できなかった場合や、お墓の建立に時間がかかった場合などに、このタイミングで納骨することもあります。


⑤お盆、お彼岸:

親族が集まりやすい時期であることから、お盆やお彼岸に合わせて納骨を行うこともあります。


⑥お墓が完成した時:

生前にお墓を建てていなかった場合、新たにお墓を建てるには数ヶ月単位の時間がかかります。

お墓が完成したタイミングで、特に決まった法要の時期に合わせずに納骨を行うことも、もちろん可能です。

3. 納骨を急がないメリット・デメリット

「早く納骨しないと、故人が浮かばれないのでは…」と心配される方もいらっしゃるかもしれませんが、そんなことはありません。

ご遺骨を手元に置き、日々供養すること(手元供養)も、立派な供養の形です。

納骨を急がないことには、メリットとデメリットがあります。


【メリット】

気持ちの整理をする時間が持てる: 故人を失った悲しみと、じっくり向き合う時間を持つことができます。

お墓や納骨先を慎重に選べる: 焦らずに情報収集し、比較検討する時間があるため、後悔のない選択をしやすくなります。

故人を身近に感じられる(手元供養): 自宅で遺骨を保管することで、故人を身近に感じ、いつでも手を合わせることができます。


【デメリット】

周囲の声が気になる可能性: 「まだ納骨しないの?」といった周囲の声がプレッシャーになるかもしれません。

遺骨の保管場所と管理: 自宅で長期間保管する場合、適切な場所の確保や、湿気によるカビなどへの配慮が必要です。

法要と納骨を別々に行う手間: 納骨を後回しにすると、法要とは別に納骨式を行う必要が出てくる場合があります。

自身の高齢化: あまりに長く手元に置いていると、ご自身が高齢になり、納骨の手続きや費用負担が難しくなる可能性も考えられます。

4. 納骨の具体的な流れと準備

納骨を行うことが決まったら、以下の流れで準備を進めます。

①納骨先の決定とお墓の準備:

既にお墓がある場合: お墓の清掃や、墓石に納骨スペース(カロート)を開ける準備が必要です。石材店に依頼して、納骨当日に作業してもらうのが一般的です。また、墓石に故人の戒名や俗名を彫刻する場合は、それも事前に石材店に依頼します。(彫刻には数週間かかることも)

新しくお墓を建てる場合: 墓地の選定、石材店との契約、墓石のデザイン決定、建立工事と、多くの時間(数ヶ月~)が必要です。

納骨堂や永代供養墓を利用する場合: 施設を選び、契約手続きを行います。


②日程の決定と関係者への連絡:

納骨を行う日時を決めます。法要と合わせて行う場合は、その日程に合わせます。

お寺(僧侶)、石材店、そして参列をお願いする親族などに連絡し、日程調整を行います。


③納骨法要の手配(必要な場合):

納骨に合わせて法要(読経)を行う場合は、お寺(僧侶)に依頼します。


④「埋葬許可証」の準備:

火葬後に火葬場で受け取った**「火葬執行済」の印が押された火葬(埋葬)許可証**が必要です。これがなければ納骨できません。紛失しないよう大切に保管しておきましょう。もし紛失した場合は、火葬許可証を発行した役所で再発行の手続きが必要です。


⑤石材店への依頼:

納骨当日に、墓石の納骨スペース(カロート)の開閉作業を依頼します。戒名彫刻もこのタイミングまでに完了するように手配します。


⑥会食・引き物の手配(必要な場合):

納骨法要後に会食を行う場合や、参列者に引き物を用意する場合は、その手配も行います。


⑦納骨式当日:

関係者が集まり、僧侶による読経の後、石材店の作業でカロートを開け、遺骨を納めます。その後、会食などを行います。

5. 納骨しない選択肢もある

近年では、お墓や納骨堂に納骨せず、

手元供養: 自宅で遺骨を保管し供養する。

散骨: 海や山などに遺骨を粉末状にして撒く。(※節度を守り、法律や条例、マナーの確認が必要)

といった選択をする方も増えています。

これもまた、故人を思う気持ちの表れであり、尊重されるべき供養の形です。

まとめ

納骨の時期について、法律上の決まりはありませんが、もし迷うのであれば、四十九日や一周忌といった節目に行うのが一般的です。

最も大切なのは、ご遺族が故人を偲び、感謝の気持ちを持って、納得できるタイミングで行うこと。

いつ納骨するかは、ご家族でよく話し合い、故人様への想いを大切にしながら決めてください。

株式会社大阪セレモニー

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山田泰平
専門家

山田泰平(葬儀)

株式会社大阪セレモニー

当社は家族葬を専門に、これまで1000件以上の葬儀をお手伝いさせて頂きました。少人数だからこそ実現できるきめ細やかなサービスと、ご遺族様の想いに寄り添った丁寧な対応を心がけています。

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