「亡くなった家族の銀行口座、解約・払い戻しはどうすればいい?」
皆様、こんにちは。
株式会社大阪セレモニー代表の山田泰平です。
大切なご家族がお亡くなりになった後、悲しみに暮れる中で進めなければならない様々な手続き。
その中でも、故人様が生前に加入されていた「生命保険(死亡保険金)」の請求手続きは、残されたご家族の今後の生活を支える上で、非常に重要な意味を持ちます。
生命保険金は、受取人として指定された方の固有の権利であり、自動的に支払われるものではありません。
また、請求には期限(時効)もあります。
そこで今回は、この「生命保険金(死亡保険金)の請求手続き」について、
- まず何から始めるべきか?(保険加入状況の確認)
- 具体的な請求手続きの流れ
- 必要となる主な書類
- 請求期限(時効)について
- 注意すべき点(受け取れないケースなど)
【結論】故人様の生命保険情報を把握しておくと、手続きがスムーズに!
まず結論として、故人様の生命保険金を請求するために、最初に行うべき最も重要なことは、「故人様がどの保険会社の、どの保険契約に加入していたか」を正確に把握することです。
そのためには、まず「保険証券(保険契約証書)」を探すことが第一歩となります。
保険証券が見つかれば、そこに記載されている保険会社に連絡し、死亡保険金の請求手続きを進めることになります。
手続きには、保険会社所定の「死亡保険金請求書」のほか、「死亡診断書(または死体検案書)」「故人の除籍謄本」「受取人の戸籍謄本・印鑑証明書」などが必要となるのが一般的です。
もし保険証券が見つからない場合でも、生命保険協会等が実施している「生命保険契約照会制度」などを利用して、加入契約を調査する方法があります。
請求手続きには、原則として請求権が発生した時(通常は死亡時)から「3年」という時効(期限)がありますので、可能な限り早めに手続きに着手することが大切です。
手続きで分からないことや不安なことがあれば、保険会社の担当者やコールセンター、あるいは弁護士・司法書士などの専門家に相談することをお勧めします。
それでは、生命保険金の請求手続きについて、その根拠となる具体的なステップや注意点を、さらに詳しく掘り下げていきましょう。
1. なぜ請求手続きが必要なのか?
死亡保険金は、保険契約に基づいて、指定された受取人に支払われるもの。
また保険会社は、契約者が亡くなったという事実を自動的に把握できるわけではありません。
したがって、受取人自身が「契約者が亡くなったので、保険金を支払ってください」と保険会社に知らせ、所定の手続き(請求)を行う必要があるのです。
請求しなければ、たとえ保険に加入していても、保険金は支払われません。
2. ステップ1:最重要!保険加入状況の確認
請求手続きの第一歩は、故人がどの保険会社の、どのような保険(商品名、証券番号など)に加入していたかを確認することです。
生前に保険情報を共有しておく:最も確実な方法です。
保険証券を探す: 故人様の自宅にある重要書類を保管している場所(金庫、引き出し、ファイルなど)を丁寧に探しましょう。保険証券には、保険会社名、証券番号、契約者名、被保険者名、受取人名、保険金額などが記載されています。
保険料の支払い履歴を確認する: 預貯金通帳の引き落とし履歴や、クレジットカードの利用明細、給与明細(団体保険の場合)などに、保険料の支払い記録が残っている場合があります。保険会社名が分かれば、問い合わせる手がかりになります。
保険会社からの郵便物を探す: 定期的に送られてくる「契約内容のお知らせ」や、保険料控除証明書などの郵便物がないか確認しましょう。
【保険証券が見つからない場合】
①生命保険契約照会制度の利用:
「どの保険会社に入っていたか全く分からない…」という場合に有効なのが、一般社団法人生命保険協会などが実施している「生命保険契約照会制度」です。これは、亡くなった方の氏名や生年月日などの情報をもとに、生命保険協会に加盟している保険会社全体(ほぼ全ての保険会社)に対して、契約の有無を一括で照会できる制度です。(利用には手数料がかかり、照会できる人や必要書類などの条件があります)この制度を利用すれば、ご遺族が把握していなかった保険契約が見つかる可能性があります。
(参考:生命保険協会ウェブサイト https://www.seiho.or.jp/contact/inquiry/)
②勤務先に確認する(団体保険など): 会社を通じて団体保険などに加入していた可能性もあります。故人の勤務先に問い合わせてみましょう。
3. ステップ2:保険会社への連絡と請求書類の取り寄せ
加入している保険会社が特定できたら、速やかにその保険会社に連絡を入れます。
連絡時に伝えること:
- 保険証券番号
- 故人(被保険者)の氏名、生年月日、死亡年月日
- 死亡原因(病死、事故死など)
- 連絡者(請求人となる可能性のある方)の氏名、連絡先、故人との続柄
保険会社からの案内: 連絡を受けた保険会社は、契約内容を確認し、請求に必要な書類一式を送付してくれます。また、今後の手続きの流れについても説明してくれます。疑問点があれば、この時点で質問しておきましょう。
4. ステップ3:必要書類の準備
保険会社から送られてきた請求書類に必要事項を記入し、併せて以下の書類などを準備します。
必要な書類は保険会社や契約内容、死亡原因などによって異なりますので、必ず保険会社の案内に従ってください。
死亡保険金請求書: 保険会社所定の用紙。受取人自身が記入・捺印します。
保険証券(原本): 通常、原本の提出が必要です。紛失している場合は、その旨を保険会社に伝え、指示に従います。
死亡診断書(または死体検案書): 原本またはコピー。保険会社によって異なります。
故人(被保険者)の住民票除票 または 戸籍の附票(除票): 最後の住所を確認するため。
故人(被保険者)の戸籍(除籍)謄本: 死亡の事実を確認するため。
保険金受取人の戸籍謄本(抄本): 故人との続柄を確認するため。
保険金受取人の印鑑証明書: 実印の証明のため。(請求金額によっては不要な場合も)
(場合によって)事故証明書: 事故死の場合。
(場合によって)受取人の本人確認書類(運転免許証などのコピー):
これらの書類の取得には時間がかかる場合もありますので、早めに準備を始めましょう。
5. ステップ4:請求書の提出と保険金の受け取り
必要書類が全て揃ったら、保険会社に提出します。
保険会社は、提出された書類に基づいて審査を行い、支払いが決定されると、通常、数日~1週間程度(書類に不備がなければ)で、指定された受取人の口座に保険金が振り込まれます。
その後、支払い完了通知書なども送られてきます。
6. 【重要!】請求期限(時効)について
死亡保険金の請求権には、時効があります。
保険法では、請求権を行使できる時(通常は被保険者の死亡時)から原則として3年間行使しないと、時効によって権利が消滅すると定められています。(保険法 第95条)
つまり、故人が亡くなってから3年以内に請求手続きを行わないと、保険金を受け取れなくなる可能性があるのです。
様々な事情があるかもしれませんが、請求手続きはできるだけ速やかに行うようにしましょう。
7. 注意点:保険金が受け取れない(または減額される)ケース
請求しても、保険金が支払われない、あるいは減額されるケースもあります。
告知義務違反: 保険契約時に、健康状態などについて事実と異なる告知(申告)をしていた場合。
免責事由に該当する場合: 保険契約の約款で定められた、保険金を支払わないケース(例:契約から一定期間内の自殺、契約者や受取人による故意の死亡など)に該当する場合。
保険料の未払い: 保険料の支払いが滞り、契約が失効していた場合。
8. 注意点:受取人と相続財産、税金について
受取人固有の財産: 受取人が指定されている死亡保険金は、原則としてその受取人固有の財産となり、遺産分割の対象となる相続財産には含まれません。したがって、相続放棄をした人でも、受取人に指定されていれば保険金を受け取ることができます。
相続税の対象にはなる(みなし相続財産): ただし、死亡保険金は「みなし相続財産」として、相続税の課税対象となります。ただし、「500万円 × 法定相続人の数」という非課税枠があります。
税金に関する詳細は、税務署や税理士にご相談ください。
9. 葬儀費用への充当について
「保険金を葬儀費用に充てたい」と考える方は多いですが、前述の通り、保険金の請求から支払いまでには一定の時間がかかります。
よって、葬儀費用の支払期限(通常は葬儀後1週間以内程度)に間に合わない可能性が高いです。
この点については、分割払いができないか、一度検討してみましょう。
10. 困った時の相談先
手続きが分からない、保険証券が見つからない、保険会社とのやり取りがうまくいかない、といった場合は、以下の窓口に相談しましょう。
- 各保険会社のコールセンター・お客様相談窓口
- (一社)生命保険協会 生命保険相談所
- (公財)生命保険文化センター
- 弁護士・司法書士・行政書士(特に相続が絡む複雑な場合やトラブル時)
まとめ
故人様が遺してくれた生命保険金は、残されたご家族にとって、経済的にも精神的にも大きな支えとなり得ます。
その大切な権利を確実に受け取るためには、
- まず保険加入状況を確認する(保険証券捜索、照会制度利用など)。
- 保険会社に速やかに連絡し、請求手続きを進める。
- 必要な書類を正確に準備する。
- 請求期限(原則3年)を意識する。
- 分からないこと、不安なことは、保険会社や専門家に相談する。
これらのステップを落ち着いて進めていくことが重要です。
私たち株式会社大阪セレモニーでも、葬儀後の諸手続きの一環として、生命保険金の請求に関する一般的なアドバイスや、必要な書類(死亡診断書のコピーなど)の準備のお手伝い、専門家のご紹介などをさせていただいております。
「葬儀のことで手一杯で、保険のことまで頭が回らない」という場合でも、どうぞお気軽にご相談ください。
株式会社大阪セレモニー




