「遺影写真って、どんな写真を選べばいいの?」

山田泰平

山田泰平

テーマ:葬儀の知識

皆様、こんにちは。
株式会社大阪セレモニー代表の山田泰平です。

お葬式の準備を進める中で、ご遺族が「故人様らしい一枚を選んであげたい」と、特に心を込めて選ばれるものの一つが「遺影(いえい)写真」です。

祭壇の中央に飾られ、葬儀の後もご自宅で長く飾られることになる、故人様を象徴する大切なお写真ですよね。

しかし、いざ遺影写真を選ぼうとすると、「たくさん写真はあるけれど、どれが遺影にふさわしいんだろう?」と、迷いが出てくることと思います。

遺影写真は、故人様を偲び、語りかける対象となるいわば「故人の顔」とも言える存在。

だからこそ、納得のいく、そして故人様らしい一枚を選びたい、と願うのは当然のことです。

そこで今回は、この「遺影写真の選び方」について、

  • どのような写真が遺影に適しているのか?
  • 選ぶ際の具体的なポイント
  • 写真の加工はどこまで可能なのか?
  • 注意点や最近の傾向

などを、私たち葬儀のプロが、具体的なアドバイスを交えながら詳しく解説していきます。

【結論】故人様が自然な表情で写っている写真にしましょう。

まず結論として、遺影写真を選ぶ上で最も大切なのは、「故人様らしさが最もよく表れている、ご遺族が納得できる一枚」を選ぶことです。

厳密なルールや「こうでなければならない」という決まりはありません。

しかし、祭壇に飾り、長くご自宅にも飾ることなどを考慮すると、選ぶ際にいくつかのポイントを押さえておくことが望ましいでしょう。

  • ピントが合っていて、お顔がある程度の大きさで写っていること。
  • 故人様の自然な表情、人柄がよく出ていること。
  • できれば、比較的最近(数年以内)の写真であること。

そして、服装や背景については、現在の写真加工技術でかなり修正が可能です。

例えば、普段着を礼服(着物やスーツ)に変えたり、背景を無地や落ち着いたものに変更したりすることは、多くの葬儀社や写真加工業者で対応しています。

ですから、服装や背景よりも、故人様の「表情」を最優先に選ぶことをお勧めします。


それでは、遺影写真選びの具体的なポイントや、写真加工の可能性について、その根拠となる部分をさらに詳しく見ていきましょう。

1. 遺影写真の役割とは?

遺影写真は、単なる「写真」以上の意味を持っています。

故人を偲ぶ対象: 葬儀中はもちろん、葬儀後もご遺族や友人が故人を思い出し、語りかける対象となります。

故人の人柄を伝える: その写真一枚から、故人がどのような人だったのか、その温かさや優しさ、厳しさなどが伝わってきます。

参列者との思い出の共有: 参列者にとっても、遺影写真を見ることで故人との思い出が蘇り、お別れの気持ちを深めるきっかけとなります。

儀式の中心: 祭壇の中央に飾られ、葬儀という儀式の象徴的な存在となります。

2. どんな写真が遺影に適している? 選び方の具体的なポイン

たくさんの写真の中から、遺影にふさわしい一枚を選ぶための具体的なポイントです。

【最重要】故人らしい「表情」: これが一番大切です。穏やかな笑顔、優しい眼差し、真面目な表情など、その人らしさが最もよく現れていると感じる写真を選びましょう。「いかにも遺影写真」といった硬い表情である必要は全くありません。スナップ写真など、リラックスした自然な表情の方が、かえって故人を身近に感じられることもあります。

ピント・画質: 祭壇に飾るためには、ある程度の大きさに引き伸ばす必要があります。そのため、できるだけピントが合っていて、お顔がはっきりと写っている写真を選びましょう。集合写真の一部を切り抜く場合などは、元画像の解像度が低いと、引き伸ばした際に画像が荒れてしまう可能性があります。スマートフォンの写真でも、最近の機種であれば十分な画質があることが多いですが、あまりに小さい画像は避けた方が無難です。

お顔の向き・大きさ: できれば、正面、あるいは少し斜めを向いている写真が良いとされます。また、お顔がある程度の大きさで写っている方が、加工もしやすくキレイに仕上がります。

撮影時期: 絶対的な決まりはありませんが、比較的最近(亡くなる前の数年以内)の写真を選ぶのが一般的です。あまりにも若い頃の写真だと、参列者が故人様だと認識できない可能性もあります。しかし、もし晩年の写真で良いものがない、あるいは闘病などで容貌が変わってしまった、などの事情があれば、ご本人が気に入っていた少し前の写真や、最も元気でその人らしかった頃の写真を選ぶのも良いでしょう。ご遺族が「これが一番、あの人らしい」と思えることが大切です。

ネガやデータがあればベスト: プリントされた写真からでも作成できますが、もし元のネガフィルムやデジタルデータ(SDカード、CD-Rなど)があれば、より鮮明で綺麗な遺影写真を作成できます。

3. 写真の加工はどこまで可能? 服装・背景は気にしなくて良いの?

「この写真、表情はすごく良いんだけど、服装が普段着すぎる…」
「背景に余計なものが写り込んでいる…」
そんな心配は、多くの場合、解消できます。

現在の写真加工技術は非常に進歩しており、遺影写真の作成においては、以下のような加工が一般的に行われています。

服装の修正・着せ替え: 普段着(Tシャツ、セーターなど)から、礼服(喪服、着物、スーツ、紋付袴など)へ自然な形で合成することが可能です。葬儀社や加工業者で、様々な服装のテンプレートを用意していることが多いです。もちろん、故人が生前気に入っていた服装のままが良い、という場合は、そのままで作成することも可能です。

背景の修正・変更: スナップ写真などで背景に他の人や物が写り込んでいる場合、それらを消去し、無地やグラデーション、あるいは落ち着いた風景などの背景に変更することができます。

色調・明るさの調整: 写真全体の色合いや明るさを調整し、より自然で綺麗な仕上がりにします。

簡単な修正: ちょっとした髪の乱れ、肌のシミ・しわなどを、目立たないように修正することも可能です。(ただし、過度な修正は故人らしさを損なう可能性があるので注意が必要です)

モノクロ写真のカラー化: 古いモノクロ写真を、自然な色合いのカラー写真に加工することも技術的には可能です。(別途費用や時間がかかる場合があります)

このように、服装や背景についてはあまり気にせずに、まずは「表情」を最優先に写真を選んで大丈夫です。

4. 遺影写真選びの注意点

早めに候補を探し始める: 葬儀の準備は慌ただしく進みます。遺影写真選びに時間をかけられるように、できればご逝去後、早めに写真を探し始めましょう。エンディングノートなどで、事前に本人が遺影に使ってほしい写真を指定している場合もあります。

家族・親族で相談して決める: 喪主だけで決めるのではなく、他の家族や親族にも見てもらい、皆が納得できる一枚を選びましょう。人によって「故人らしさ」の感じ方は違うものです。

複数候補を用意する: ピントや画質の関係で、第一候補の写真が使えない可能性も考慮し、いくつか候補を用意しておくと安心です。

葬儀社に早めに渡す: 写真の加工や額装には時間がかかります。
通夜に間に合わせるためには、できるだけ早く葬儀社の担当者に写真を渡しましょう。

仕上がりイメージを伝える: 服装や背景について希望があれば、具体的に伝えましょう。また、故人の肌の色など、特に再現してほしい特徴があれば、それも伝えると良いでしょう。

5. 最近の遺影写真の傾向

近年では、遺影写真のスタイルも多様化しています。

自然な表情・普段着での作成: 以前のような硬い表情の礼服姿だけでなく、故人の普段の笑顔や、趣味を楽しんでいる姿など、より自然体でその人らしさを表現した遺影写真を選ぶ方が増えています。

背景の多様化: 無地だけでなく、故人が好きだった風景(海、山、庭など)や、思い出の場所の写真を背景にするケースも見られます。

デジタル遺影: 会場にモニターを設置し、複数の写真をスライドショー形式で映し出す「デジタル遺影」を取り入れる葬儀社も出てきています。

あまり形式にとらわれず、「故人らしい」お見送りをしたいという想いが、遺影写真の選び方にも表れてきていると言えますね。

まとめ

遺影写真を選ぶ際には、

  • 「故人らしい表情」を最優先にする。
  • ピントが合っていて、お顔がある程度の大きさで写っているものが望ましい。
  • 服装や背景は、加工で修正できるので、あまり気にしすぎない。
  • 家族や親族と相談して、皆が納得できる一枚を選ぶ。
  • 早めに候補を探し、葬儀社に渡す。

これらのポイントを押さえて、故人様への想いを込めて、最高の遺影写真を選んであげてください。

遺影写真の選び方や加工について、ご不明な点や不安なことがあれば、私たち株式会社大阪セレモニーのスタッフが、いつでも丁寧にご相談に乗らせていただきます。

株式会社大阪セレモニー

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山田泰平
専門家

山田泰平(葬儀)

株式会社大阪セレモニー

当社は家族葬を専門に、これまで1000件以上の葬儀をお手伝いさせて頂きました。少人数だからこそ実現できるきめ細やかなサービスと、ご遺族様の想いに寄り添った丁寧な対応を心がけています。

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