故人に想いを届ける「供花」 種類、贈り方、マナーを徹底解説
皆様、こんにちは。
株式会社大阪セレモニー代表の山田泰平です。
仏式の葬儀や法要を執り行う際、多くの方が頭を悩ませるのが、僧侶にお渡しする「お布施(おふせ)」についてではないでしょうか。
普段、あまり馴染みのないことだけに、相場も分からず、かといって「お坊さんに直接尋ねるのも気が引ける…」と感じている方も少なくないはずです。
そこで今回は、皆様が抱えるこの「お布施」に関する疑問、特に金額の目安や考え方、そして失礼のない渡し方のマナーについて、私たち葬儀のプロの視点から分かりやすく解説していきたいと思います。
【結論】お布施の金額に定価はない。相場を基に、”お気持ち”で払いましょう。
まず、お布施は、読経や戒名(かいみょう:仏弟子としての名前)に対する「料金」や「対価」ではありません。
本来は、ご本尊へのお供えやお寺の維持・活動への寄付、そして何よりも故人のために読経してくださった僧侶への感謝の気持ちを表すものです。
したがって、お布施に「定価」や「決まった金額」というものは、本来存在しないのです。
しかし、そうは言っても、現実的にはある程度の「目安」や「相場」が存在するのも事実。
この相場は、地域、宗派、寺院の格、お付き合いの深さ、そして葬儀や法要の種類、戒名のランクなど、様々な要因によって変動します。
一概に「いくらが正解」とは言えませんが、一般的な目安を知り、その上で感謝の気持ちを込めて、ご自身の経済状況に合わせて無理のない範囲で包む、というのが基本的な考え方になります。
金額にどうしても迷う場合は、直接お寺に尋ねるか、あるいは私たちのような葬儀社に相談するのが、最も確実で安心な方法と言えるでしょう。
それでは、お布施の相場やマナーについて、その根拠となる考え方や具体的な内容を、さらに深く掘り下げていきましょう。
1. お布施の本来の意味と内訳を理解する
前述の通り、お布施はサービスへの対価ではありません。
仏教における「布施」という修行の一つであり、見返りを求めずに施しを行う精神に基づいています。
しかし、葬儀や法要の際にお渡しするお布施には、現実的に以下のような要素が含まれていると考えられています。
読経料: 葬儀や法要で、僧侶にお経を読んでいただくことに対するお礼。
戒名料: 故人に戒名を授けていただくことに対するお礼。(宗派やランクによって大きく変動)
御車代: 僧侶に会場まで足を運んでいただいた際の交通費。(遠方の場合は別途お渡しすることが多い)
御膳料: 葬儀後の会食(精進落としなど)に僧侶が同席されない場合に、食事代としてお渡しするもの。
見積書のように項目立てて請求されるわけではありませんが、これらの要素を総合的に含んだものとして、お布施の金額を考えることになります。
2. 葬儀の種類別・戒名ランク別のお布施相場
お布施の金額に最も大きく影響するのが、葬儀の形式と戒名のランクです。
あくまで一般的な目安ですが、参考にしてください。(地域差・寺院差が大きいため、必ず確認が必要です)
一般的な葬儀(通夜・告別式を行う):
①読経料+一般的な戒名(信士・信女など):30万円~60万円程度
②読経料+ランクの高い戒名(居士・大姉、院号など):50万円~100万円以上
家族葬・一日葬:
儀式の時間が短くなるため、一般葬よりやや抑えられる傾向がありますが、戒名料は通常変わりません。20万円~50万円程度が目安でしょうか。
直葬(火葬式):
炉前での短い読経のみで、戒名も授からない(または生前の俗名のまま)という場合は、5万円~10万円程度。戒名をいただく場合は、その分が加算されます。
【戒名について補足】
戒名は、仏弟子となった証として与えられる名前で、宗派や寺院によって考え方が異なります。
ランク(位号)があり、「信士・信女」→「居士・大姉」→「院信士・院信女」→「院居士・院大姉」のように、ランクが上がるほどお布施も高額になるのが一般的です。
「戒名はいらない」と考える場合は、その旨を事前にお寺に相談する必要があります。(宗派によっては必須の場合もあります)
3. 法要の種類別のお布施相場
葬儀後に行われる法要(年忌法要)でも、お布施が必要になります。
四十九日法要、一周忌法要: 葬儀時のお布施の1割~2割程度、あるいは3万円~5万円程度が目安とされています。納骨も同時に行う場合は、少し多めに包むこともあります。
三回忌以降の年忌法要: 一般的に1万円~5万円程度が目安です。
お盆の法要(棚経など): 5千円~2万円程度。
これらの金額も、寺院との関係性や地域によって大きく異なります。
4. 相場に影響を与えるその他の要因
上記の目安は、以下の要因によっても変動します。
地域差: 都市部と地方、関東と関西など、地域によって相場観が異なる場合があります。
宗派による違い: 宗派によって、お布施に対する考え方や目安が異なることがあります。
寺院の格・規模: 歴史のある有名な寺院や、規模の大きな寺院では、相場が高めになる傾向があるかもしれません。
お付き合いの深さ: 代々お世話になっている菩提寺なのか、今回初めてお願いする寺院なのかによっても、気持ちとして包む額が変わってくるかもしれません。
5. 金額に迷った時の対処法:どうやって決める? 尋ねる?
これだけ変動要因があると、やはり「結局いくらにすれば…」と迷ってしまいますよね。
そんな時の対処法です。
直接お寺に尋ねてみる: 最も確実な方法ですが、聞き方に配慮が必要です。「お布施は、皆様おいくらくらいお包みされていますでしょうか?」「相場が分からず、失礼があってはいけませんので、お教えいただけますでしょうか?」のように、あくまで目安を伺うという姿勢で尋ねるのが良いでしょう。「料金はいくらですか?」といった直接的な聞き方は避けるべきです。
葬儀社に相談する: 私たちのような葬儀社は、地域の様々な寺院とお付き合いがあり、おおよその相場観を把握しています。また、お寺への聞き方などもアドバイスできますので、遠慮なくご相談ください。
親戚や年長者に相談する: 同じ菩提寺とお付き合いのある親戚や、地域の慣習に詳しい年長者に相談してみるのも良い方法です。
6. お布施の渡し方マナー:感謝の気持ちを形で示す
金額が決まったら、次は渡し方です。失礼のないよう、以下のマナーを守りましょう。
お布施袋(封筒)の選び方:
白い無地の封筒を使うのが基本です。郵便番号欄などがない、シンプルなものを選びましょう。
水引は、地域や状況によって考え方が異なります。一般的には不要とされることが多いですが、もし付ける場合は、双銀または白黒の結び切りを選びます。(黄白の水引を使う地域もあります)
「御布施」と印刷された市販の袋を使っても構いません。
表書きの書き方:
封筒の上段中央に、濃い墨の筆ペンまたは毛筆で「御布施」と書きます。(「御経料」「御回向料」などと書く場合もありますが、「御布施」が最も一般的です)
下段中央に、喪主の氏名(フルネーム)または「〇〇家」と書きます。
中袋(あれば)または裏面の書き方:
中袋がある場合は、表面に金額(旧漢字で書くのがより丁寧:例「金壱拾萬圓也」)、裏面に住所・氏名を書きます。
中袋がない場合は、封筒の裏面の左下に、住所・氏名・金額を記載します。金額は算用数字(例「金100,000円」)でも可とされることが多いですが、旧漢字の方が丁寧な印象です。
お札の入れ方:
お札の肖像画(顔)が、封筒の表側・上側に来るように入れます。新札を用意するのが望ましいですが、なければ綺麗なお札を選びましょう。(香典とは逆です)
袱紗(ふくさ)に包む:
お布施袋を裸で持ち歩くのは失礼にあたります。必ず袱紗に包んで持参しましょう。弔事用の寒色系(紺、緑、灰、紫など)または慶弔両用の紫色を選びます。
渡し方・タイミング:
切手盆(なければ綺麗なお盆)に乗せて渡すのが最も丁寧です。袱紗からお布施袋を取り出し、お盆に乗せ、相手から見て正面になる向きにして、両手で差し出します。
渡すタイミングは、葬儀や法要が始まる前の挨拶の時、または終わった後にお礼を述べる時が一般的です。葬儀社のスタッフが案内してくれることもあります。
渡す際は、「本日は〇〇(故人名)のため、ご丁寧なお勤め、誠にありがとうございます。どうぞお納めください。」といった感謝の言葉を添えましょう。
7. 「御車代」「御膳料」は別に用意する?
御車代: 僧侶に遠方から来ていただいた場合や、送迎を行わない場合は、お布施とは別に「御車代」と書いた封筒(白い無地)に入れてお渡しするのが一般的です。相場は5千円~1万円程度+実費(タクシー代など)。
御膳料: 葬儀後の会食(精進落としなど)に僧侶が同席されない場合に、お布施とは別に「御膳料」と書いた封筒に入れてお渡しします。相場は5千円~1万円程度。
これらは、お布施と一緒のタイミングで、別々にお盆に乗せてお渡しします。
まとめ
お布施は、金額に明確な決まりがないだけに、多くの人が悩む問題です。
しかし、その本来の意味である「感謝の気持ち」を忘れずに、今回解説した相場やマナーを参考にすれば、過度に不安になる必要はありません。
最も大切なのは、故人様のために心を込めて供養してくださった僧侶への、純粋な感謝の気持ちを伝えること。
それでも、やはり不安が残る、具体的な相場が知りたい、お寺への聞き方が分からない、といった場合は、どうぞご遠慮なく私たち株式会社大阪セレモニーにご相談ください。
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