「故人が『献体したい』と…家族はどうすれば?お葬式は?」
皆様、こんにちは。
株式会社大阪セレモニー代表の山田泰平です。
近年、高齢化や単身世帯の増加、あるいはご家族がいても様々な事情で頼ることが難しいといった背景から、「自分の将来が不安…」と感じる方が増えています。
「もし病気やケガで入院したら、誰が手続きや保証人になってくれるんだろう?」
「高齢者施設に入りたいけど、身元保証人がいないと断られてしまう…」
「自分が亡くなった後、葬儀や納骨、家の片付けは誰がしてくれるんだろう?」
こうした切実な悩みに応えるサービスとして、近年注目を集めているのが「身元保証サービス(みもとほしょうサービス)」です。
「身元引受サービス」や「終活サポートサービス」など、様々な名称で呼ばれることもありますね。
しかし、比較的新しいサービスであるため、「具体的にどんなことをしてくれるの?」「費用はどれくらい?」「信頼できる会社はどうやって選べばいいの?」など、分からないことも多いのではないでしょうか。
中には、残念ながら悪質な業者によるトラブルも報告されています。
今回は、この「身元保証サービス」について、
- サービスの具体的な内容(何をしてくれるのか?)
- 利用するメリットとデメリット
- 気になる費用の目安
- トラブルを避けるための賢い選び方
などを、最新の情報に基づいて、分かりやすく徹底解説していきます。
身元保証サービスって、具体的に何をしてくれるの?
身元保証サービスは、主に高齢者の方を対象に、本来であれば家族や親族が担うような役割を、法人(NPO法人や一般社団法人、株式会社など)が代行・支援してくれるサービスです。
提供されるサービス内容は事業者によって様々ですが、大きく分けて以下の3つのカテゴリーに関するサポートが中心となります。
1.日常生活の支援(生活サポート)
見守り・安否確認: 定期的な電話連絡や訪問による安否確認。緊急駆けつけサービス。
買い物代行、家事援助: 日常の買い物の代行や、簡単な家事のお手伝い。
金銭管理サポート: 日常的なお金の管理や支払い代行など(※後見制度とは異なります)。
相談相手・話し相手: 日常の悩み事の相談や、話し相手になることでの精神的なサポート。
2.医療・介護に関する支援(入院・入所サポート)
入院時の身元保証人・緊急連絡先: 病院に入院する際に必要となる身元保証人や緊急連絡先を引き受けます。
入院・退院手続きの代行・付き添い: 面倒な入院・退院手続きのサポートや付き添い。
手術などの同意: 本人の意思確認が難しい場合に、事前に取り決めた範囲内で医療行為への同意を行う(※ただし、延命治療など重大な決定は通常行いません)。
介護施設入居時の身元保証人: 高齢者施設に入居する際の身元保証人を引き受けます。施設探しや入居手続きのサポートも含まれる場合があります。
3.死後の事務手続きに関する支援(死後事務委任)
逝去時の関係者への連絡: 亡くなった際に、事前に指定された関係者へ連絡を行います。
葬儀・納骨の手配: 生前に取り決めた希望に沿って、葬儀や火葬、納骨の手配・執行を行います。私たちのような葬儀社と連携して行われることが多いです。
役所への諸手続き代行: 死亡届の提出、年金・健康保険の資格抹消手続きなど。
遺品整理・家財処分: 自宅の片付けや遺品整理、家財の処分を行います。
公共料金等の解約・精算: 電気、ガス、水道、電話などの解約手続きや未払い料金の精算。
医療費・施設利用料等の支払い: 未払いの入院費や施設利用料などの支払い。
このように、身元保証サービスは、生前の生活支援から、医療・介護の場面での保証、そして亡くなった後の様々な手続きまで、非常に広範囲なサポートを提供しています。
ただし、どの範囲までサポートするかは、事業者や契約プランによって大きく異なります。
身元保証サービスを利用するメリット・デメリット
身元保証サービスの利用には、以下のようなメリットとデメリットがあります。
【メリット】
身寄りがなくても安心: 頼れる家族や親族がいなくても、入院や施設入居がスムーズに行える。
家族に負担をかけずに済む: 家族がいても、遠方に住んでいたり、高齢だったりして頼みにくい場合に、負担をかけずに済む。
将来の不安を軽減できる: 老後の生活や死後の手続きに関する不安が解消され、安心して生活を送れる。
専門的なサポートが受けられる: 複雑な手続きや専門知識が必要な場面で、専門家(事業者)のサポートを受けられる。
希望通りの死後手続き: 自分の希望する葬儀や納骨の方法などを、生前に託しておくことができる。
【デメリット】
費用がかかる: 当然ながら、サービスの利用にはまとまった費用が必要です。契約内容によっては高額になることも。
事業者の信頼性が問われる: 比較的新しいサービスであり、法的な規制もまだ十分とは言えないため、事業者の質にばらつきがあります。信頼できない業者を選んでしまうと、トラブルに繋がるリスクがあります。
サービス内容が限定的な場合がある: 契約プランによっては、期待していたサポートが受けられない可能性もあります。契約内容を詳細に確認する必要があります。
長期契約に伴うリスク: 長期にわたる契約のため、事業者が経営破綻したり、サービス内容が変更されたりするリスクもゼロではありません。
身上監護・財産管理には限界がある: あくまで契約に基づくサポートであり、成年後見制度のような法的な代理権を持つわけではありません。本人の判断能力が低下した場合の財産管理などには限界があります。
気になる費用は? 目安と注意点
身元保証サービスの費用体系は、事業者によって大きく異なりますが、一般的に以下のような費用がかかります。
入会金・契約金(初期費用): 契約時に支払う費用。数万円~数十万円程度。
月額(または年額)の基本料金・会費: 日常的な見守りや相談など、基本的なサービスに対する費用。月額数千円~数万円程度。
保証料・預託金: 入院や施設入居の際の保証、あるいは死後事務費用に充てるための費用として、事前にまとまった金額(数十万円~数百万円)を預ける(信託するなど)場合があります。
実費・オプション料金: 個別のサポート(買い物代行、手続き代行、葬儀費用など)を利用する際に、その都度発生する費用。
総額としては、契約内容や期間にもよりますが、数十万円から、場合によっては数百万円単位になることもあります。
費用体系が複雑な場合も多いので、何にいくらかかるのか、追加費用は発生しないのか、預けたお金(預託金)はどのように管理され、使われるのか(使途明細はもらえるのか)などを、契約前に徹底的に確認することが重要です。
失敗しない!信頼できる身元保証サービスの選び方
トラブルを避け、安心してサービスを利用するためには、慎重な事業者選びが不可欠です。以下の7つのポイントを必ずチェックしましょう。
□ 運営母体・実績を確認する: どのような法人(NPO、社団法人、株式会社など)が運営しているのか、設立からの年数やこれまでの実績、利用者の声などを確認しましょう。あまりに新しい会社や、実態が不透明な会社は避けた方が無難です。
□ 契約内容・サービス範囲を詳細に確認する: どのようなサービスが基本料金に含まれ、何がオプション(別途料金)なのか、契約書や重要事項説明書を隅々まで読み込み、理解できない点は納得いくまで質問しましょう。「何でもやってくれる」という曖昧な説明を鵜呑みにしないこと。
□ 料金体系の透明性を確認する: 費用総額、内訳、追加料金の有無、支払い方法、そして預託金の管理方法(信託保全など、安全に管理されているか)と使途の透明性(明細が出るか)を厳しくチェックしましょう。
□ 解約条件・返金ルールを確認する: 万が一、途中で解約したくなった場合の条件や、解約手数料、預託金の返還について、事前に確認しておくことが重要です。
□ 複数の事業者を比較検討する: 一つの事業者の話だけを聞いて決めるのではなく、必ず複数の事業者から資料を取り寄せ、説明を聞き、比較検討しましょう。
□ スタッフの対応・専門性を確認する: 説明は分かりやすいか、質問に丁寧に答えてくれるか、親身になって相談に乗ってくれるか、スタッフの対応も重要な判断材料です。社会福祉士や行政書士などの専門家が関与しているかも確認ポイントです。
□ 契約を急がせないか確認する: 「今決めないと損」「キャンペーンは今日まで」などと契約を急がせる事業者は要注意です。十分に考える時間を与えてくれる、誠実な事業者を選びましょう。
可能であれば、契約前に体験サービスなどを利用したり、家族や信頼できる第三者(地域包括支援センター、消費生活センター、弁護士など)に相談したりすることもお勧めします。
まとめ
身元保証サービスは、頼れる人がいない、あるいは家族に負担をかけたくない、と考える方々にとって、老後や死後の不安を解消するための心強い味方となり得ます。
しかし、その一方で、費用や事業者の信頼性など、慎重に検討すべき点も多く存在します。
大切なのは、
- サービス内容と限界を正しく理解する。
- 費用体系と預託金の管理方法を徹底的に確認する。
- 複数の事業者を比較し、信頼できる事業者を見極める。
- 契約内容は隅々まで確認し、納得してから契約する。
ということです。
身元保証サービスは、ご自身の人生の後半、そして最期を託す可能性のある、非常に重要な契約です。
焦らず、じっくりと情報を集め、比較検討し、ご自身にとって本当に必要な、そして心から信頼できるサービスを選んでくださいね。
株式会社大阪セレモニー



