知らずにやっているマナー違反【お別れの作法編】

山田泰平

山田泰平

テーマ:お葬式のマナー

皆様、こんにちは。
株式会社大阪セレモニー代表の山田泰平です。

”知らずにやっているマナー違反シリーズ”、今回は「お別れの作法編」です。
前回は、喪主・遺族編、そして参列者編として、服装や言葉遣い、式中の振る舞いなど、基本的なマナーについてお話ししました。

今回は、さらに一歩進んで、お葬式の中でも特に故人様との最後のお別れに関わる場面、具体的には「出棺(しゅっかん)」、「火葬場」での振る舞い、そしてキリスト教式や無宗教葬などで見られる「献花(けんか)」の作法とマナーに焦点を当ててみたいと思います。

これらの場面は、ご遺族にとっては深い悲しみと向き合う、非常にデリケートな時間です。

参列者としても、その気持ちに寄り添い、失礼のないよう心を込めて故人様をお見送りしたいですよね。

しかし、普段なかなか経験することのない場面だけに、「どう振る舞えば良いのだろう?」と戸惑うこともあるかと思います。

今回は、そんなお別れの場面で、参列者が知っておきたいマナーや心構えについて、具体的に解説していきます。

1.厳かに故人を送る「出棺」時のマナー

告別式が終わり、故人様が納められた棺が、霊柩車へと運ばれる「出棺」。

参列者にとっては、故人様のお姿を目にする(あるいはその存在を感じる)最後の機会の一つとなる、厳粛な場面です。

見送る際の立ち位置: 棺が運び出される通路を塞がないように、また、ご遺族の邪魔にならないように、少し下がった場所で静かに待ちます。葬儀社のスタッフが誘導してくれる場合は、その指示に従いましょう。

合掌・黙礼のタイミング: 棺が霊柩車に乗せられる際、あるいは霊柩車が動き出す際に、合掌または黙礼をして故人様のご冥福を祈ります。タイミングは周囲の様子に合わせると良いでしょう。

霊柩車が出発する際の振る舞い: 霊柩車が見えなくなるまで、深々とお辞儀をして見送るのが丁寧な作法です。拍手で見送る、といった特別な慣習がある場合を除き、静かに頭を下げて見送ります。

クラクションの意味: 出棺の際に、霊柩車がクラクションを鳴らすことがあります。これは、故人様への別れの合図、あるいはこの世への最後の別れを告げる意味合いがあると言われています。鳴らした際には、驚いたりせず、静かにその音を聞き、故人を偲びましょう。

私語は慎む: 出棺の間は、特に私語を慎み、厳粛な気持ちで見送ることに集中しましょう。携帯電話の着信音などもってのほかです。

出棺は、葬儀の中でも特に感動的で、悲しみがこみ上げてくる場面かもしれません。

しかし、感情的になりすぎるのではなく、故人様への敬意と感謝の気持ちを込めて、静かに、そして丁寧にお見送りすることが大切です。

2.火葬場への同行・火葬場でのマナー

出棺後、火葬場へ同行するかどうか、そして火葬場での振る舞いにもマナーがあります。

同行するかどうかの判断: 火葬場へは、基本的にご遺族、ご親族、そして故人様と特に親しかった方が同行します。参列者全員が同行するわけではありません。ご遺族から「どうぞご一緒に」と声をかけられた場合や、事前に同行をお願いされていた場合以外は、出棺を見送った後、その場で失礼するのが一般的です。もし同行を希望する場合は、事前にご遺族に確認するのが礼儀ですが、負担をかけないよう配慮が必要です。

火葬場での服装・持ち物: 火葬場へ同行する場合も、服装や持ち物は基本的に葬儀・告別式に参列した時と同じ、喪服や準喪服、地味な服装です。数珠も持参しましょう。

控室での過ごし方: 火葬には1時間~2時間程度かかります。その間、同行者は控室で待機することになります。控室では、故人様の思い出話などを静かに語り合うのは良いですが、大声で話したり、騒いだりするのは厳禁です。ご遺族は心身ともに疲れている場合が多いので、その気持ちを察し、静かに過ごす配慮が必要です。お茶やお菓子などが用意されている場合もありますが、勧められてからいただくようにしましょう。

お骨上げ(収骨)のマナー: 火葬が終わると、お骨上げ(収骨)を行います。これは故人様の遺骨を骨壺に納める、非常に大切な儀式です。

作法は地域差・宗派差あり: お骨上げの作法(拾う骨の部位や順番、全員が拾うか代表者のみか、など)は、地域や宗派によって異なります。多くの場合、火葬場のスタッフや葬儀社のスタッフが説明・案内してくれますので、その指示に従いましょう。分からなければ、遠慮なく尋ねて大丈夫です。

心を込めて丁寧に: 作法以上に大切なのは、故人様への感謝と敬意を込めて、丁寧に行うことです。

二人一組で箸を使う意味: 二人一組になって、竹製の長い箸で一つのお骨を一緒に拾い、骨壺に納める、という作法が一般的です。これは「箸渡し」と呼ばれ、この世からあの世への「橋渡し」を意味すると言われています。

順番: 一般的には、故人様と縁の深い方(喪主、配偶者、子、親、兄弟姉妹など)から順に行います。足元から上半身へ向かって拾っていくことが多いようです。

写真撮影は厳禁: 火葬場内や、お骨上げの様子などを撮影することは、絶対にやめましょう。

ご遺族への配慮はもちろん、他の利用者への迷惑にもなります。

3.心を込めて捧げる「献花」のマナー(キリスト教式・無宗教葬

仏式のお焼香に代わり、キリスト教式や無宗教葬、お別れ会などでよく行われるのが「献花」です。
白いカーネーションや菊などが使われることが多いですが、作法は比較的シンプルです。

①順番が来たら前へ: 係の人や司会者の案内に従って、順番に祭壇(献花台)へ進みます。

②一礼: まず、ご遺族に一礼し、次に祭壇(ご遺影)に向かって一礼します。

③花を受け取る: 係の人から花を両手で受け取ります。通常、花が右側、茎が左側にくるように渡されます。

④献花台へ: 献花台の前へ進みます。

⑤花を捧げる: 受け取った時とは逆に、茎が祭壇(ご遺影)側に向くように、時計回りに花を回転させ、両手で静かに献花台へ置きます。

⑥黙祷・一礼: 花を捧げた後、祭壇(ご遺影)に向かって黙祷、または深く一礼します。

⑦下がる: 再度、ご遺族に一礼してから、席に戻ります。

ここでも、細かな作法にとらわれすぎる必要はありません。

最も大切なのは、故人様への感謝と追悼の気持ちを込めて、丁寧に行うことです。

まとめ:形よりも、心を込めたお見送りを

今回は、出棺、火葬場、献花といった、お別れの場面でのマナーや作法について解説しました。

繰り返しになりますが、マナーや作法はあくまでも心を伝えるための「形式」に過ぎません。

形にばかり気を取られて、心が伴わなければ意味がないのです。

一番大切なのは、故人様への感謝とご冥福を祈る気持ち、そして深い悲しみの中にいるご遺族に寄り添う気持ちです。

もし、作法などで分からないことがあれば、遠慮なく私たち葬儀社のスタッフにお尋ねください。

皆様が心を込めて、そして安心して故人様をお見送りできるよう精一杯サポートさせていただきます。

株式会社大阪セレモニー

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山田泰平
専門家

山田泰平(葬儀)

株式会社大阪セレモニー

当社は家族葬を専門に、これまで1000件以上の葬儀をお手伝いさせて頂きました。少人数だからこそ実現できるきめ細やかなサービスと、ご遺族様の想いに寄り添った丁寧な対応を心がけています。

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