意外とかかる?「車両費」と「式場使用料」の内訳と注意点

山田泰平

山田泰平

テーマ:葬儀の知識

皆様、こんにちは。
株式会社大阪セレモニー代表の山田泰平です。

前々回は、参列者の人数によって変動が大きい「飲食費」と「返礼品」について解説しました。
今回はお葬式を行う「場所」と、そこまでの「移動」に関わる費用、すなわち「式場使用料」と「車両費」について、詳しく見ていきたいと思います。

これらは、一見すると地味な項目に思えるかもしれませんが、どこで葬儀を行い、どのくらいの距離を移動するかによって、費用が大きく変わってくる可能性がある非常に重要な項目なのです。

特に、葬儀社の基本的なセットプランに含まれている範囲を超えた場合に、思わぬ追加費用が発生することもあります。

今回は、「車両費(寝台車、霊柩車、マイクロバスなど)」と「式場使用料(自社ホール、公営斎場、民間ホールなど)」それぞれの内訳、料金体系の仕組み、選ぶ際のポイント、そして見積もりで確認すべき注意点について、分かりやすく解説していきます。

故人様とご遺族の移動を支える「車両費」の内訳と注意点

葬儀においては、故人様やご遺族、時には参列者を移動させるために、様々な車両が必要となります。

まずは、見積書に記載される主な車両費を見ていきましょう。

1.寝台車(しんだいしゃ)

役割: 病院やご自宅など、お亡くなりになった場所から、ご遺体を安置場所(ご自宅や葬儀社の安置施設など)まで搬送するための車両です。ストレッチャー(担架)が搭載されています。

料金体系: 料金体系は葬儀社によって異なりますが、主に以下のパターンがあります。

距離制: 搬送した距離に応じて料金が決まります。「〇kmまで〇円、以降〇kmごとに〇円追加」といった形です。

時間制: 搬送にかかった時間で料金が決まる場合もあります。

定額制: 一定の距離や地域内であれば、定額料金となっている場合もあります。

プランに含まれる範囲: 多くのセットプランでは、「病院等へのお迎え1回分(〇kmまで)」といった形で、基本的な寝台車の利用が含まれています。

注意点:

①プランの規定距離・回数を確認:プランに含まれる搬送距離や回数(例:「お迎え1回のみ」など)をしっかり確認しましょう。安置場所から式場への移動など、複数回の搬送が必要な場合に、それがプラン内に含まれるのか、別途費用がかかるのかを確認する必要があります。

②深夜・早朝割増:深夜や早朝の搬送には、割増料金がかかる場合があります。

③高速道路料金など:高速道路を使用した場合などの実費が別途請求されることがあります。

2.霊柩車(れいきゅうしゃ)

役割: 通夜・告別式が行われる式場から、火葬場へ故人様のご遺体を搬送するための専用車両です。

車種による違い: 霊柩車にはいくつかのタイプがあり、それによって価格も異なります。

宮型(みやがた): 屋根に寺院建築のような「お宮」の装飾が施された、伝統的なスタイルの霊柩車です。豪華ですが、近年では利用が減少し、また火葬場によっては乗り入れが制限される場合もあります。価格は高めです。

洋型(ようがた): 外見はリムジンやステーションワゴンのような、落ち着いたデザインの霊柩車です。現在の主流であり、様々なグレードがあります。

バン型: 見た目は普通のバンに近い、シンプルなタイプの霊柩車です。費用を抑えたい場合に選ばれることがあります。

プランに含まれる車種: セットプランには、特定の車種(例えば、シンプルな洋型やバン型)が含まれていることが多いです。

注意点:

①プラン内の車種を確認: どのようなタイプの霊柩車がプランに含まれているのか、写真などで確認しましょう。

②車種変更の差額: もし、プラン内の車種からグレードの高いもの(例えば、高級な洋型や宮型)に変更したい場合、どのくらいの差額(追加費用)が発生するのかを確認します。

③装飾など: 車種によっては、特別な装飾(花飾りなど)がオプションで用意されている場合もあります。

3.マイクロバス(またはハイヤー、タクシー)

役割: 主に、親族や参列者を、式場から火葬場へ、あるいは火葬場から会食会場へ送迎するために使用されます。

必要性の判断: 火葬場までの距離、自家用車で来る参列者の数、駐車場の有無などを考慮して、必要かどうかを判断します。火葬場に同行する人数が少ない場合は、ハイヤーやタクシーを利用する方が費用を抑えられることもあります。

料金体系: 時間制(〇時間まで〇円)や距離制、あるいはその組み合わせで料金が決まることが多いです。運転手の人件費も含まれます。

注意点:

①プランに含まれるか: マイクロバスはセットプランに含まれていないことがほとんどで、別途オプション扱いとなります。

②手配の要否と費用確認: 必要だと判断した場合は、葬儀社に手配を依頼し、その費用(車種、利用時間、料金)を必ず確認しましょう。

車両費を見積もりで確認する際のポイント

  • 各車両(寝台車、霊柩車)がプランに含まれる範囲(距離、回数、車種)を明確に把握する。
  • 規定を超えた場合の追加料金(距離超過、時間超過、深夜割増など)を確認する。
  • マイクロバスなどの送迎車両が必要か検討し、依頼する場合は費用を確認する。


お葬式を行う場所「式場使用料」の内訳と注意点

どこで葬儀を行うかによって、費用や雰囲気は大きく変わります。

主な選択肢と、それぞれの「式場使用料」に関するポイントを見ていきましょう。

1.葬儀社の自社ホール

特徴: 葬儀社が所有・運営している葬儀専用ホールです。祭壇の設営や控室などの設備が整っており、移動の負担が少ないのがメリットです。

費用: 葬儀社のセットプラン料金に含まれている場合と、別途使用料がかかる場合があります。これは葬儀社やプランによって大きく異なるため、必ず確認が必要です。プランに含まれていても、使用する部屋のグレードや時間帯によって追加料金が発生することもあります。

注意点: その葬儀社を利用することが前提となるため、他の会場の選択肢は基本的にありません。

2.公営斎場(こうえいさいじょう)

特徴: 自治体が運営している斎場(葬儀場と火葬場が併設されていることが多い)です。比較的費用が安価なのが最大のメリットです。大阪市にも市立の斎場がありますね。

費用: 故人様(または喪主様)がその自治体の住民であれば、安価な住民料金で利用できます。住民でない場合は、割高な市(区、町)外料金が適用されます。使用料は、式場の広さや使用時間によって異なります。

注意点:

①予約が取りにくい: 費用が安いため人気が高く、特に都市部では予約が数日先まで埋まっていることが少なくありません。これが「火葬待ち」の一因にもなります。

②施設による差: 建設時期などによって、施設の設備(控室、バリアフリーなど)に差がある場合があります。

③利用ルールの確認: 利用時間や持ち込み可能なものなどに制限がある場合があります。

3.民間貸しホール

特徴: 葬儀社以外の企業などが運営する、葬儀にも利用できる多目的ホールや専用の貸し斎場です。立地が良い、設備が新しい、駐車スペースが広い、などのメリットがある場合があります。

費用: 一般的に、公営斎場よりは高額になる傾向があります。料金体系は施設によって様々です。

注意点: ホールによっては、特定の葬儀社しか利用できない、あるいは葬儀社を通さずに直接借りることが難しい場合もあります。

4.寺院・教会

特徴: 檀家になっているお寺や、所属している教会などで葬儀を行うケースです。宗教的な儀式を重んじる場合に適しています。

費用: 会場使用料(席料など)の扱いは、寺院や教会によって大きく異なります。お布施や献金とは別に、明確な使用料が定められている場合もあれば、特に定められていない場合もあります。必ず事前に確認が必要です。

注意点: 檀家や信者でないと利用できない、あるいは利用できても割高になる場合があります。また、葬儀専用施設ではないため、設備(控室、冷暖房、駐車場など)が十分でない可能性もあります。

5.自宅

特徴: 住み慣れた自宅で、アットホームな雰囲気でお見送りをする形式です。会場費はかかりません。

費用: 式場使用料はかかりませんが、祭壇の設置スペース、参列者の待機スペース、駐車スペースの確保、近隣への配慮などが必要です。葬儀社によっては、自宅での葬儀に対応していない場合や、設営などに別途費用がかかる場合があります。

注意点: 近年では、マンション規約で禁止されていたり、スペースの問題で難しかったりするケースが増えています。

式場使用料を見積もりで確認する際のポイント

  • セットプランに式場使用料が含まれているか、含まれていない場合はどの会場を利用する想定で、その費用はいくらかを確認する。
  • 公営斎場を利用する場合、住民料金か市(区、町)外料金かを確認する。
  • 使用料以外に、控室や音響設備などの付帯設備の使用料が別途必要か確認する。
  • 利用可能な時間と、超過した場合の料金を確認する。



まとめ

今回は、葬儀費用の見積もり項目の中から、「車両費」と「式場使用料」について解説しました。

車両費: 寝台車・霊柩車のプラン内規定(距離・回数・車種)と超過料金、送迎車両の要否と費用を確認。

式場使用料: どこで葬儀を行うか(自社ホール、公営、民間、寺院、自宅など)によって費用が大きく変わる。プランに含まれるか、別途いくらかかるのかを必ず確認。

これらの項目は、ご遺族の希望(「故人をこの霊柩車で送りたい」「なるべく費用を抑えたいので公営斎場で」など)や、状況(「病院から安置場所まで遠い」「参列者が多いのでマイクロバスが必要」など)によって、選択肢と費用が大きく変動します。

葬儀の打ち合わせの際には、これらの点について、葬儀社の担当者としっかりとコミュニケーションを取り、それぞれのメリット・デメリット、そして費用を理解した上で、納得のいく選択をすることが大切です。

株式会社大阪セレモニー

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山田泰平
専門家

山田泰平(葬儀)

株式会社大阪セレモニー

当社は家族葬を専門に、これまで1000件以上の葬儀をお手伝いさせて頂きました。少人数だからこそ実現できるきめ細やかなサービスと、ご遺族様の想いに寄り添った丁寧な対応を心がけています。

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