【火葬場の実情】予約が取れない?「火葬待ち」と「安置料」の現実

山田泰平

山田泰平

テーマ:葬儀の知識

皆様、こんにちは。
株式会社大阪セレモニー代表の山田泰平です。

大切な方がお亡くなりになった際、ご遺族は悲しみの中で葬儀の準備を進めることになります。

その中で、意外な「壁」に直面することがあります。

それは、「火葬場の予約がなかなか取れない」という問題です。

「えっ、火葬場ってすぐに使えるものじゃないの?」

そう思われる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、特に都市部を中心に、近年火葬場の混雑は深刻な問題となっており、希望する日時に予約が取れず、数日間「火葬待ち」の状態になってしまうケースが少なくないのです。

この「火葬待ち」は、単に葬儀の日程が延びるというだけでなく、ご遺体の安置期間が長引くことによる「安置費用(安置料)」の増加にも繋がります。

今回は、あまり知られていないこの「火葬場の実情」と、それに伴う「安置の問題」について、その背景やご遺族への影響、そして私たち葬儀社としてできることなどを、具体的にお話ししたいと思います。

いざという時に慌てないためにも、ぜひ知っておいていただきたい現実です。

なぜ火葬場は混雑するのか? その背景

火葬場の予約が取りにくくなっている背景には、いくつかの要因が複合的に絡み合っています。

火葬率の高さ: 日本では、現在、亡くなった方の実に99.9%以上が火葬されています。(厚生労働省「衛生行政報告例」より)これは世界的に見ても非常に高い割合であり、火葬場の需要がそもそも大きいことを示しています。

(参考:厚生労働省 令和4年度衛生行政報告例 概況 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei_houkoku/22/dl/gaikyo.pdf※「埋葬及び火葬の死体・死胎数」参照)

高齢化による死亡者数の増加: 日本は超高齢社会を迎え、年間の死亡者数は増加傾向にあります。当然、火葬の件数も増え、火葬場のキャパシティ(処理能力)に対する需要が高まっています。

火葬場の不足・老朽化: 死亡者数が増加する一方で、新たな火葬場の建設は、用地確保の難しさや周辺住民の理解を得にくいことなどから、なかなか進んでいません。また、既存の火葬場も老朽化が進み、改修工事などで一時的に稼働を停止したり、一度に受け入れられる件数が減ったりすることもあります。

特定の曜日・時間帯への集中: 葬儀の日程として避けられる「友引」の翌日や、午前中など、希望が集中しやすい曜日や時間帯があります。また、お盆や年末年始の前後なども混雑しやすい時期です。

都市部への人口集中: 特に大阪市のような大都市圏では、人口密度が高いため、火葬場の需要が供給を上回りやすく、混雑が顕著になる傾向があります。

これらの要因が重なり、「火葬場の予約が数日先まで埋まっている」という状況が、決して珍しいことではなくなっているのです。

なぜ火葬場は混雑するのか? その背景

希望日に火葬場の予約が取れない「火葬待ち」は、ご遺族にとって様々な影響をもたらします。

葬儀日程の遅延: 火葬の日程が決まらないと、通夜や告別式の日程も確定できません。これにより、葬儀全体の日程が後ろ倒しになります。

精神的な負担の増加: 早く故人様を送ってあげたい、という気持ちがある中で、日程がなかなか決まらない状況は、ご遺族にとって精神的な負担となります。

遠方からの参列者への影響: 葬儀日程が延びることで、遠方から駆けつける予定だった親戚や友人のスケジュール調整が難しくなる可能性があります。

ご遺体の安置期間の長期化: これが費用面で最も大きな影響です。火葬までの日数が長引けば、それだけ故人様をご安置しておく期間も長くなります。

無視できない「安置料」の問題

ご遺体の安置期間が長引くと、それに伴って「安置費用(安置料)」がかさんできます。

ご遺体は、適切な環境でなければ状態を保つことが難しく、特に夏場などは腐敗が進みやすいため、保冷処置(ドライアイスなど)や専用の安置施設が必要になります。

安置場所としては、主に以下の選択肢があります。

ご自宅: スペースがあり、管理が可能であれば費用は抑えられますが、ドライアイスの追加費用や、ご家族の精神的な負担が考えられます。また、マンション規約などでご遺体の安置が制限されている場合もあります。

葬儀社の安置施設: 多くの葬儀社が専用の保冷設備を備えた安置施設を持っています。適切な管理が期待できますが、利用には安置料がかかります。

民間の遺体安置所: 葬儀社とは別に、遺体安置を専門に行う民間の施設もあります。

問題は、この安置料が決して安くない場合がある、ということです。

料金設定は葬儀社や施設によって様々ですが、一般的に1日あたり1万円~3万円程度、場合によってはそれ以上かかることもあります。

また、ドライアイスの費用が別途必要になるケースも多いです。

例えば、火葬待ちで安置期間が予定より3日間延びたとすると、単純計算で3万円~9万円、あるいはそれ以上の追加費用が発生する可能性があるのです。

これは、当初の見積もりには含まれていない、予期せぬ出費となることが多く、ご遺族にとっては大きな負担となり得ます。

ただし、安置はご遺体を24時間体制で保存しなければならないため、サービスの枠で行うことはできません。

よって、喪主様から尋ねる前に、しっかりと安置料について説明してくれる葬儀社を選ぶことが重要となります。

「安置料」について確認すべきこと

葬儀社との打ち合わせの際には、安置に関する費用について、以下の点をしっかりと確認しましょう。

プランに含まれる安置日数と費用: 基本プランに何日分の安置料(またはドライアイス代)が含まれているのか。

超過した場合の1日あたりの追加料金: 規定日数を超えた場合、1日あたりいくらかかるのか(安置施設利用料、ドライアイス代など内訳も確認)。

安置場所の選択肢とそれぞれの費用: 自宅安置の場合のドライアイス費用、葬儀社の安置施設を利用する場合の費用など、選択肢ごとの料金を確認する。

「火葬場が混んでいて、安置が長引く可能性はありますか?」

「その場合、追加費用は最大でどれくらいかかりそうですか?」

といった質問を具体的にしてみて下さい。

私たち株式会社大阪セレモニーでは、ご遺体の安置についても、ご遺族のご意向を伺いながら、最適な方法とそれに伴う費用を明確にご提示することを心がけております。

万が一、安置期間が長引く可能性がある場合も、事前にその旨と費用の見込みをお伝えし、ご納得いただいた上で進めてまいります。

私たち葬儀社にできること

火葬場の混雑という状況自体を、私たち一葬儀社がすぐに解決できるわけではありません。

しかし、その中で、ご遺族の負担を少しでも軽減するために、私たちにできることもあります。

迅速な火葬場予約: ご逝去の連絡を受け次第、可能な限り迅速に火葬場の空き状況を確認し、ご遺族の希望に近い日時を確保できるよう努めます。

複数の火葬場の検討: 利用可能な範囲で、複数の火葬場の空き状況を確認し、選択肢を提示します。

日程調整のサポート: ご遺族、宗教者、参列者の都合などを考慮しながら、最適な葬儀日程を組むお手伝いをします。

安置に関する丁寧な説明と適切な管理: 安置費用について明確に説明し、ご遺体の状態を適切に管理します。

精神的なサポート: 日程が決まらない不安など、ご遺族のお気持ちに寄り添い、精神的なサポートを心がけます。

まとめ

今回は、「火葬場の実情」として、予約の混雑と、それに伴う「火葬待ち」、そして「安置料」の問題についてお話ししました。

  • 火葬場は様々な要因で混雑しており、希望日に予約が取れないことがある。
  • 「火葬待ち」は葬儀日程を遅らせ、精神的な負担増に繋がる。
  • 安置期間が長引くと、1日あたり数万円の「安置料」が発生し、費用負担が増加する。
  • 葬儀社選びや打ち合わせの際には、安置に関する費用をしっかり確認することが重要。

この現実は、特に都市部で葬儀を行う際には、避けて通れない問題となりつつあります。
いざという時に、「こんなはずではなかった」と慌てたり、想定外の費用に困ったりしないためにも、こうした実情を知っておくことが大切です。

そして、信頼できる葬儀社は、このような状況も踏まえた上で、ご遺族に寄り添い、最善の方法を一緒に考えサポートしてくれるはずです。

株式会社大阪セレモニー

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山田泰平
専門家

山田泰平(葬儀)

株式会社大阪セレモニー

当社は家族葬を専門に、これまで1000件以上の葬儀をお手伝いさせて頂きました。少人数だからこそ実現できるきめ細やかなサービスと、ご遺族様の想いに寄り添った丁寧な対応を心がけています。

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