無宗教葬はトラブルの元?「法事なし」のリスクと親族・お寺への対処法をプロが解説
皆様、こんにちは。
株式会社大阪セレモニー代表の山田泰平です。
今回のテーマは、将来のお葬式に備えるための方法としてよく知られている「互助会(ごじょかい)」と「葬儀保険」についてです。
テレビCMや広告などで、「月々わずかな掛け金で、もしもの時に安心!」といったフレーズを見聞きしたことがある方も多いのではないでしょうか?
確かに、突然必要になることが多い葬儀費用を、事前に準備しておくという考え方は非常に大切です。
しかし、「互助会」と「葬儀保険」は、それぞれ仕組みや特徴が大きく異なります。
メリットだけでなく、デメリットや注意点もしっかり理解した上で、ご自身やご家族に本当に合った備え方なのかどうかを判断することが重要です。
今回は、それぞれの仕組みを解説し、メリット・デメリットを比較しながら、選ぶ際のポイントについて私たち葬儀社の視点も交えながらお話ししたいと思います。
「互助会」とは? その仕組みとメリット・デメリット
まず、「互助会」について見ていきましょう。
正式には「冠婚葬祭互助会」と言い、結婚式やお葬式など、将来行う儀式のために毎月一定の掛け金を積み立てていくシステムで、経済産業大臣の許可を受けて運営されています。
仕組みとしては、毎月数千円程度の掛け金を、数十回~百数十回といった長期間にわたって払い込みます。
そして積み立てた総額に応じて、葬儀を行う際に、その互助会が提供する特定のプランやサービスを「会員価格(割引価格)」で利用できる、という前提です。
互助会のメリット
割引特典がある: 会員になることで、一般価格よりも割安で葬儀プランを利用できる場合があります。祭壇や付帯サービスなどが割引になることが多いようです。
計画的に準備できる: 毎月決まった額を積み立てることで、将来の葬儀費用の一部を計画的に準備できます。
精神的な安心感: 「もしもの時の備えができている」という安心感を得られる方もいらっしゃいます。
全国的な組織が多い: 大手の互助会であれば、引っ越し先でも利用できる場合があります(移籍制度など)。
互助会のデメリット・注意点
①積立金だけでは葬儀費用全てを賄えないことが多い
ここが最も注意すべき点です。
互助会の積立金は、あくまで「葬儀プランの一部」に充当されるものであり、葬儀費用の全て(飲食費、返礼品、宗教者へのお礼、火葬料など)が含まれているわけではありません。
多くの場合、積立金とは別に、数十万円~百万円単位の追加費用が発生します。
広告などで「〇〇万円コース」とあっても、それが葬儀費用の総額ではないことを理解しておく必要があります。
②解約手数料が高い
途中で解約する場合、払い込んだ掛け金の全額が戻ってくるわけではありません。
所定の解約手数料(1~2割程度、あるいはそれ以上)が引かれることが一般的です。
③葬儀社を選べない
互助会で積み立てた場合、原則としてその互助会が指定する葬儀社(または提携葬儀社)で葬儀を行うことになります。
他の葬儀社を利用したいと思っても、積立金を使うことはできません。
④プラン内容が固定されている場合がある
会員向けのプランは内容がある程度決まっており、「これは不要だから外してほしい」「もっとこうしたい」といった細かな要望に応えられない場合があります。
プラン内容を変更すると、別途高額な追加料金がかかることも。
⑤インフレリスク
数十年という長期間にわたって積み立てるため、契約時と実際に葬儀を行う時とでは、物価やサービス内容が変わっている可能性があります。
契約時の内容が、将来もそのまま保証されるとは限りません。
⑥互助会の経営破綻リスク
万が一、加入している互助会が経営破綻した場合、積立金の全額が保護されるわけではありません。
法律で保全措置が義務付けられていますが、保証されるのは払い込み額の半額程度となる可能性があります。
このように、互助会にはメリットもありますが、デメリットや注意点も少なくありません。
特に「積立金だけで葬儀ができるわけではない」という点は、誤解されている方も多いので、しっかり認識しておく必要があります。
「葬儀保険」とは? その仕組みとメリット・デメリット
次に、「葬儀保険(少額短期保険の一種)」について見ていきましょう。
これはその名の通り、葬儀費用に備えるための保険商品です。
毎月(または毎年)保険料を支払い、被保険者(保険の対象となる人)が亡くなった場合に、契約時に定めた保険金(例えば100万円、200万円など)が、指定された受取人に支払われる、というシンプルな仕組みです。
葬儀保険のメリット
現金で受け取れるため自由度が高い: 保険金は現金で支払われるため、葬儀費用の支払いはもちろん、お墓の費用、法要の費用、その他の整理費用など、使い道を自由に決めることができます。
葬儀社を自由に選べる: 現金で受け取るため、特定の葬儀社に縛られることなく、ご自身やご家族が希望する葬儀社に依頼することができます。私たち大阪セレモニーのような、互助会に属さない葬儀社も自由に選べます。
比較的少額から加入できる: 保険金額や加入年齢にもよりますが、月々の保険料が数千円程度から設定されている商品が多いです。
加入しやすい商品が多い: 高齢者向けに、医師の診査が不要で、簡単な告知(健康状態に関する質問に答える)だけで加入できる商品が多いのが特徴です。
葬儀保険のデメリット・注意点
①基本的に「掛け捨て」である
保険期間中に亡くならなかった場合、支払った保険料は戻ってきません(貯蓄性のある保険とは異なります)。
②加入年齢に上限がある
加入できる年齢に上限(例えば80歳代までなど)が設けられていることが一般的です。
③健康状態によっては加入できない、または保険金が削減される場合がある
簡単な告知とはいえ、健康状態によっては加入を断られたり、加入できても一定期間内(例えば1~2年)に亡くなった場合は、保険金が減額されたり、支払われない(既払い保険料相当額のみ返還など)といった制限が付く場合があります。
④支払った保険料総額が保険金額を上回る可能性がある
加入期間が長くなると、支払う保険料の総額が、受け取れる保険金額よりも多くなる可能性があります。
⑤保険金額が十分でない可能性
設定した保険金額が、実際の葬儀費用に対して十分でない場合もあります。
葬儀保険は、現金の備えとして自由度が高い反面、掛け捨てであることや加入条件などを理解しておく必要があります。
結局、どちらが良いの? 選ぶ際の考え方
互助会と葬儀保険、それぞれのメリット・デメリットを見てきました。
どちらを選ぶのが良いのか、一概に判断は下せません。
ご自身の状況や考え方によって、適した備え方は異なるからです。
よって「どちらが自分に向いているか?」について、基準をまとめたいと思います。
互助会が向いているかもしれない方
特定の互助会のサービス内容や特典に魅力を感じる方。
その互助会で葬儀を行うことに抵抗がない(むしろ希望している)方。
毎月コツコツ積み立てることで安心感を得たい方。
ただし、追加費用が発生する可能性を十分に理解していること。
葬儀保険が向いているかもしれない方
葬儀社や葬儀の形式を自由に選びたい方。
葬儀費用だけでなく、その他の整理費用も含めて現金で備えたい方。
掛け捨てであることに抵抗がない方。
健康状態に大きな不安がない方(加入条件を満たす方)。
どちらも選ばない、という選択肢も…
「互助会や葬儀保険に頼らず、預貯金で備える」という方法ももちろんあります。
これが最も自由度が高く、手数料などもかかりません。
ただし、ご自身の意志で計画的に貯めていく必要があります。
葬儀社からのアドバイス:まずは「知ること」そして「相談するこ
私たち葬儀社としては、互助会や葬儀保険について、以下の点を強調したいと思います。
内容を十分に理解する: 加入する前に、メリットだけでなく、デメリットや注意点、特に費用に関する項目(追加費用、解約手数料など)を徹底的に確認しましょう。分からないことは、遠慮なく質問することが大切です。
安易に飛びつかない: 「お得」「安心」といった言葉だけに惑わされず、複数の選択肢(他の互助会、他の保険、預貯金など)と比較検討しましょう。
定期的な見直しも検討する: 家族構成や経済状況、健康状態は変化します。加入しているプランや保険が、現在の状況に合っているか、定期的に見直すことも考えてみましょう。
「事前相談」を活用する: 互助会や保険の話だけでなく、葬儀そのものについて、事前に葬儀社に相談してみることを強くお勧めします。私たち株式会社大阪セレモニーでも、いつでも無料で事前相談を承っております。ご自身の希望や予算を伝えることで、どのような備え方が最適か、具体的なアドバイスをさせていただくことも可能です。
まとめ
今回は、「互助会」と「葬儀保険」という、葬儀費用の事前準備の方法について、その裏側も含めて解説しました。
どちらも一長一短があり、「絶対にこちらが良い」という正解はありません。
大切なのは、それぞれの仕組みと特徴、メリット・デメリットを正しく理解し、ご自身のライフプランや価値観に合った方法を選ぶことです。
そして、もしもの時に備える最も確実な方法の一つは、信頼できる葬儀社を見つけ、事前に相談しておくことかもしれませんね。
株式会社大阪セレモニー



