喪中はがきの書き方、出し方、マナーと文例集
葬儀後に受けた”とある相談”
三年前にお葬式をさせて頂いたお客様より、ある仕事の依頼を受けました。
どんな依頼かと言いますと、
「近々親戚の家を取り壊すのだが、その家の中に仏壇があるのでその仏壇の処分をお願いしたい。
他の家具等は解体屋さんにすべて処分をしてもらうのだが、解体屋さんも仏壇だけは家の解体前に引き取って欲しいと言ってきた。」
とのこと。
とりあえず依頼を受けて、その日の午前中に仏壇の大きさと場所の確認をしに、ご自宅へお伺いしました。
仏壇の確認へ
家は二階建ての長屋で、三年間誰も住んでいない様子。
電気も止まっており、どの部屋も薄暗く、足元を懐中電灯で照らしながらでないと歩けませんでした。
玄関にはチラシが山のように溜まっており、その上を歩いて奥の部屋に入って行くと、異臭が漂ってきました。
下を見ると猫の糞が所せましと落ちているのです。
古く白く固まったものから、新しいものまで。
猫の姿は見えませんでしたが、どうも空き家になって猫の住処になっているようでした。
部屋の奥角に仏間があり、そこに仏壇がありました。
仏壇の大きさは1m30cmほどでそんなに重くなさそうでしたが、仏壇の少し手前の天井が破けて穴があり、その下にはまた大量の糞が山のように積み重なっています。
本来ならば、仏壇を家から出すにはまずお寺さんにきてもらい、仏壇の魂を抜いてもらって
から動かさなければなりません。
当社でも魂を抜いていない仏壇を処分することは出来ません。
しかし、袈裟を着たお寺さんにこの家に入ってもらい、お経を頂く事も出来ないので、とりあえず仏壇を外に出して当社の葬儀会館に持って来ることにしました。
その後、お寺さんにお経を頂いて、こちらで引き取る形になります。
仏壇の搬送
その日の午後1時、若手スタッフと会社にある段ボールを軽トラに積んで、靴は長靴に履き替えてゴム手袋の上に軍手をはめ、自宅に向かいました。
自宅に着いてからはまず玄関から仏壇の前まで歩く場所に段ボールを敷いて、足元の確保をしました。
1m以上の仏壇は大概上下に分かれるので、まず上の部分を持ち出し。
そして下の部分を持ち上げ、そのまま外まで持ち出し。
外の明るい所で仏壇を確認しました。
仏壇上部の位牌が飾っていた部分は、扉を閉めてあったせいか、それほど汚れてはいませんでした。
しかし、下部分の引き出しと裏には多数の害虫の死骸と糞が付いており、床と接していた底面には猫の糞が乾燥してくっついているではありませんか。
心の中でお仏壇に「ホウキで払ってごめんなさい」と繰り返し念じながら、ある程度の汚れを落とし、再度掃除をして葬儀会館に運びました。
お仏壇のお葬式
葬儀会館で仏壇を降ろし、部屋に運び、お仏壇の前にお寺さんの机と椅子を用意しました。
親戚の人にお焼香をしてもらうために、机と焼香のセットを置いて、椅子も人数分用意をして、お仏壇のお葬儀の準備は整いました。
約束の時間になり、お寺さんと親戚の方が来られ、お仏壇にお経をもらいました。
これで、このお仏壇もひと段落です。
お仏壇とは神聖な物です。
ご先祖様を守り、みんなで手を合わせることで、そこに魂が宿るものとされています。
よって、「もう使わないから」と簡単に処分することは出来ません。
今回の親戚の方も、本来ならば家族が手配して処分しなければならなかったのですが、家族が遠方でこちらに来ることも出来ず、近くの親戚の方が気になってしょうがなかったようです。
今回は廃墟になった家の中が大変でしたが、このようにお葬儀の後の仕事も結構あります。
納骨の代行とか、遺品処理業者の紹介、相続のための司法書士の紹介など。
人が一人亡くなると何かと大変なので、葬儀だけではなく葬儀後のことでも何かお役に立てればと常々思います。