宿泊業における深刻な人手不足解消に向けた外国人労働者の活用
異次元の少子化対策をうっても、少子化をすぐには止められない
「佐賀県の昨年12月1日現在の推計人口が79万9757人となり、戦後初めて80万人を下回った」との記事が掲載されていました。この佐賀県ですが、第1次ベビーブーム後には人口が100万人に近づいた時期もあったとのことですが、近年は少子化や若年層の県外流出で減少し、ついに戦前の水準に逆戻りしたとのことです。
佐賀県のみならず、岡山県でも人口が減少との記事も掲載されており、一部の都市圏を除き、以前から言われていたことですが、日本全体が人口減少フェーズに突入したのだと思われます。
国立社会保障・人口問題研究所の統計による日本の将来推計人口によると、このままの出生率の状態が続くと、2065年には日本の人口は8,800万人になると想定されています。この人口減少に伴い、15歳から64歳までの労働力人口も2065年には4,500万人にとなり、現在から3,200万人も減少すると想定されています。
これらの状況を受け、岸田総理は
①児童手当など経済支援強化
②学童保育や病児保育、産後ケアなど全ての子育て家庭への支援
③仕事と育児を両立する女性の働き方改革の推進
の3点を中心に議論する異次元の少子化対策に乗り出すと表明しました。これら対策については、いずれ効果は発揮するのでしょうが、既に始まっている人口減少をすぐに止めることはできません。
人手不足は続いている・・・
コロナの影響で少しはましになったとはいえ、中小企業を中心に人手不足が叫ばれて久しいです。ハローワークに求人票を出したが全く反応がなくて困っているとの相談をよくお受けします。
競合他社と比べて、賃金や福利厚生面で好条件とすれば、求人に対する応募は増えるかもしれませんが、競合他社も負けじと条件を上げれば、際限の無い競争に陥り、会社の体力を削ることになるため、求人の際にどのような条件を設定するかは慎重に見極める必要があります。
また、業種によってはどんな好条件を設定しても、ほとんど求人に対する応募がないといった会社も散見されます。
このように、人手不足なのにもかかわらず、求人をかけても応募がないといった会社には、外国人労働者の雇用をご案内しております。
外国人労働者は誤解されている
外国人労働者というと、拒否反応を示される方も多いのですが、拒否反応を示す方は、外国人に対する誤解を抱いておられる方がほとんどです。
外国人労働者に対する誤解については、大きくは以下の3点です。
1.日本語で伝わらない
2.異文化の理解や対応が大変
3.治安が悪化し犯罪が増える
1.日本語で伝わらない
外国人労働者に一番接する機会があるのは、飲食店などでアルバイトをしている留学生なので、それら留学生を頭に浮かべると、日本語が通じづらいと感じるのかもしれません。しかしながら、留学生は日本語を学びに来ているので、日本語能力が不十分なのは当然です。
日本への留学生は、コロナ前で24万人ほどいましたが、海外の大学で日本語を履修している学生は97万人に程おり、実は留学生よりも断然人数が多いです。海外で日本語を学んでいる学生は大学の卒業要件に日本語能力試験の合格が課されており、卒業する際には、コミュニケーションを交わすうえで必要十分な日本語能力を有しています。
そのため、会社で海外の大学で日本語を学んだ学生を雇用する際には、日本語の問題というのは、ほぼ無くなっている可能性が高いです。
2.異文化の理解や対応が大変
欧米人や、仏教徒が大半のタイやベトナムからの労働者であれば、それほど文化面での理解が大変ということはないのですが、イスラム教徒が多いインドネシアからの労働者については、イスラム教は理解しづらいし、イスラム教の習慣に合わせるのが大変ではないかとの声を聞きます。
しかしながら、そもそも敬虔なイスラム教徒は日本を選びませんし、宗教的制約がある食事は自炊し、お弁当も持参してきます。また、お祈りは就業時間外に行う、ヒジャブは人目が無ければ取るなど、日本での働き方に合わせた行動をとるので、会社側が過剰な心配・配慮をする必要はありません。
3.治安が悪化し犯罪が増える
令和3年版の犯罪白書によると、検挙者が約27万人でその中に占める外国人数は約5,000人で検挙者に占める外国人比率は、約1.79%となっています。それに対し、日本の人口約1億2,600万人に占める外国人数は約282万人で、外国人比率は、約2.23%となっています。
このように全体に占める外国人比率より、検挙者に占める外国人比率は低くなっており、外国人が増えると治安が悪化するというわけではありません。罪を犯しているのは、主に短期で日本を訪れた旅行者で、その旅行者の犯罪がマスコミ等でセンセーショナルに取り上げられることで、外国人が増えると犯罪が増えるとの印象を持たれってしまっているのではないでしょうか。
これら誤解を解消できると、外国人労働者の雇用に対するハードルが下がるのではないかと思います。
政府がいくら異次元の少子化対策を講じようと、その効果が現れるのは数十年先となります。今後益々労働力人口が減少していくなか、今現在生じている人手不足の解消には外国人労働者の雇用は一つの大きな解決策になるかと思います。
何かと問題が多かった技能実習制度についても、見直しの方向で議論が進んでいるようです。人手不足解消に向け、外国人労働者の雇用を検討してみてはいかがでしょうか?