結露が起こる原因と仕組み、放置すると健康被害も!?
シックハウス症候群とは、室内に放散される物質によって引き起こされる、さまざまな健康被害です。
この症候群の症状は、粘膜の刺激、頭痛、不整脈、食欲不振など、まさに多種多様です
シックハウス症候群、化学物質過敏症、アレルギーは、しばしば混同されますが、住まいを離れてしばらくすると症状が治まっていく点が、シックハウス症候群特有のものです。
シックハウス症候群とは?
シックハウス症候群の「シックハウス」とは和製英語であり、欧米の「シックビルディング症候群」から由来していています。
「シックビルディング」という言葉が生まれたのは、1980年代のことです。
オイルショックを機に、欧米ではビルの省エネ化が推進されました。要するにビルの窓を減らし、断熱性を高め、換気量を大幅に減らしました。これが裏目に出て、室内の汚染空気が外に排出しにくくなり、カーペット交換時などに体調不良(粘膜への刺激、頭痛、めまいなど)を訴える人が続出しました。ビル内の2割以上の人にこのような症状が出た場合、シックビルディング症候群(SBS)と認められました。
シックハウス症候群は、SBSの住宅(一戸建て、マンション)バージョンです。定義はまだ曖昧なところもありますが、基本的には室内に放散される物質によって引き起こされる健康被害です。
この症例自体は、住宅の気密化が進みはじめた頃にまでさかのぼりますが、1990年代半ばからシックハウス症候群という言葉を取り上げる書籍、新聞、テレビなどのメディアが急増しました。
これを受け1997年に、厚生省がホルムアルデヒドの室内濃度許容値を公表しました。この頃はホルムアルデヒドが、シックハウス症候群の第一の原因と考えられていたのです。数年後、さらに12種類の揮発性有機化合物(VOC)について室内濃度許容値が規定されました。その後、建築基準法の改正で、ホルムアルデヒドの建材使用が厳格化し、クロルピリホスを含んだ建築材料は使用禁止となります。
シックハウス症候群の主な症状
症状はまさに多種多様です。同じ家に住んでいても、ある人は頭痛に見舞われ、別の人はぜんそくとなり、他の人は何の症状も出ないこともあります。主な症状を以下に挙げます。
・目の刺激感(いわゆる「目がチカチカする」という訴え)
・ぜんそくや息切れなどのどの症状
・くしゃみや鼻水を含む鼻の症状
・皮膚のかさつき、かゆみ
・頭痛
・腰痛や膝痛みなど下半身の痛み
・心臓の動悸や不整脈
・手足の冷え
・食欲不振や腹痛
・アレルギー
シックハウス症候群かどうかを判断するポイント
シックハウス症候群、化学物質過敏症、アレルギーの3つの病気はしばしば混同されますが、シックハウス症候群は住んでいる場所を離れてしばらくたつと、症状がなくなる点が決定的に異なります。
化学物質過敏症は、室内外を問わず、ある化学物質(排ガス、農薬、化粧品など)に身体が過敏に反応し、やがてさまざまな化学物質にも反応してしまう症状を指します。アレルギーは、特定の食物(ピーナッツなど)やペットのフケなどに対し、免疫システムが過剰反応するものです。ただ、これら3つの病気は、概念や症状の点で互いにオーバーラップする点もあり注意が必要です。
シックハウス症候群に特徴的なのは、新築住宅で新生活を始めるか、リフォームして間もないマンションに移り住むなど、新しい住空間で暮らして間もないうちに症状が発現する点です。
ここで一例を挙げましょう。40代の夫婦と子供2人の4人家族が、コツコツ貯めたお金を頭金に新居を購入しました。移転して間もなく、奥さんがしばしばめまいに襲われます。引っ越し疲れかと思い、そのままにしていたら、吐き気や倦怠感の症状も出てきました。
買い物に出かけると症状は和らぐのですが、帰宅するとぶり返します。そこで近所のクリニックで診てもらうと「更年期障害ではないか」と言われます。やがて、奥さん以外の家族の人たちにも同様の症状が出始め、大学病院のすすめにしたがって、新居の室内の空気を分析したところ、高濃度のVOCが何種類も検出され、シックハウス症候群であることが判明するというパターン。この例から、アレルギーとの違いも、おわかりいただけたかと思います。
ですが、新築物件で生活を始めたら、シックハウス症候群特有の症状が出たからといって、「この病気にかかってしまった」と判断するのは早計です。
ウイルス性疾患など、偶然別の病気にかかったのかもしれませんし、神経質になりすぎているのかもしれません。まずは、かかりつけの医師と相談し、「シックハウス症候群かもしれない」と打ち明けてください。実は別の病気なのかもしれませんし、専門医を紹介されるかもしれませんが、自己判断で行動しないことが大事です。
同時に、住まい全体の換気を励行してください。少しでもシックハウス症候群が疑われるなら、なにはともあれ換気です。臭いの気になる家具・調度品があれば、いったんクローゼットにしまうと、症状が緩和されるか確かめてみるのもよいでしょう。また、VOC軽減を期待できる空気清浄機の購入を検討されてもよいでしょう。こうした対策については、次回のコラムで述べてみたいと思います。