生命保険を使った相続対策 NO2 (90歳まで入れます)
実家の分割でもめたケースです。
兄弟3人(長男・次男・三男)
三人共東京の大学に進学、長男は大学卒業後東京で就職してその後結婚
子供2人(大学4年生と大学2年生)
次男は、地元岡山に戻り官公庁に就職してその後結婚子供1人(高校3年生)
三男は、大学を中退して、東京で自由奔放な生活をしており、独身
母親が先に亡くなり、何ひとつ身の回りのことができない父親が心配になり、
地元に住む二男夫婦に頼むこともせずに、長男が男気をだして、
妻と共に東京の生活に区切りをつけて岡山に戻り
実家を立て替えて(建物は長男名義)父親と同居生活が始まりました。
やがて、父親も高齢80歳になりがんで亡くなりました。
途中父親の入院費は、次男が少し捻出しましたが、ほとんど長男が捻出しました
三男は、実家に一度も寄り付かず入院費負担は0円でした。
父親の面倒を見たのはほとんど長男の嫁でした。
長男は実家建替時に蓄えていた預金をほとんど取り崩しました。
(相続財産は実家と預金)
自宅の土地
評価額 4000万円(小規模宅地の特例加味後の金額)
父親名義の預金・上場株式
相続時時価 2000万円
今回のケースでも相続税は0でした。
(基礎控除5000万円+1000万円*法定相続人3人=8000万円)
税制改正後であれば
(基礎控除3000万円+600万円*3人=4800万円
になり6000万円-4800万円=1200万円分に相続税が掛かってきます)
(法定相続分は、子供3人 1/3ずつ)
法定相続で分けると、各人2000万円
父親の葬儀が終わるや否や、父親の面倒を見るのは長男に生まれた義務
相続財産は均等に分けるのが民法で決まっていると、三男が
自分の相続分2000万円の要求をしました。
*話合を進めていくうちに、3男に多額の借金があることが判明し
今回の相続財産をあてにしていることがわかり、将来的なことも考え
長男は結局のところ自宅の土地建物を売却して売却代金を均等分配して
相続処理が終わりました。
*もっと早く長男さんと出会っていたら方法があったのに残念でした
(対 策)
1.遺言書の作成
(自宅の土地建物が相続財産の大半のケースで同居の子供に自宅を相続させたい場合)
父親が遺言書を作成し、
長男に自宅の土地建物4000万円を
次男に上場株式(約1000万円)を
三男に預金1000万円を相続させる遺言書があれば、
次男と三男の遺留分
(相続財産6000万円*法定相続割合1/3*遺留分*1/2=1000万円)は侵害されません
*遺言書があっても、相続人全員で話合いの結果合意されれば、遺言書と異なる遺産分割を
することは可能です。今回のケースはとってもむごいケースでした。
2.生命保険の活用
相続対策の有効な手段です
(理由)
「生命保険は相続財産になりません。」
「受取人固有の財産です。よって遺産分割対象外ですし、遺留分の対象外です」
仮に、相続放棄した場合でも生命保険金は受け取ることが可能です
*父親が遺言書を作成し、長男に自宅の土地を相続させる
そして、生命保険に加入して受取人を長男にする。
父親が亡くなった時、相続財産+生命保険金になります
そして、生命保険金を原資に次男三男に現金を渡す(代償分割原資になります)
*あくまで受取人は長男です。長男が自宅の土地を受け取る代わりに生命保険金で
次男三男に現金を支給するスキームです。
*もしも、保険金受取人を次男三男にしておくと、生命保険は受取人固有の財産になり
遺留分の対象外の為、現金は確実に次男三男に渡りますが、長男に対して遺留分まで
請求されますので注意が必要です。
*銀行預金は遺産分割後にしか引き出しできませんが、保険金は相続財産でない為
受取人が保険会社に請求すれば通常2週間~1ヶ月程度で受取可能です。
(例:ソニー生命のクイックサービスを利用すれば、300万円以内なら当日に
500万円以内なら翌日に支払われます。死亡診断書と受取人の確認書類のみ必要)
*生命保険金は非課税枠もあります
今回のケースであれば、500万円*法定相続人3人=1500万円まで非課税です
現金で1500万円を残すと相続税がかかりますが生命保険金として残せば相続税免除。
(注意:今回の税制改正で
下記の法定相続人に限定される見込みです
①未成年者
②障害者
③相続開始直前に被相続人と生計を一にしていた者(扶養親族に限らない)