職人さんこんにちは! VOL.3 田口(防蟻施工士:株式会社タグチ)
こんにちは!にしだ建築工房です。
こちらの記事では当設計事務所と協力して家づくりをしてくださる職人さん方にフォーカスしていきます。職人さんのもつ「強み・得意分野」「知識・経験」をより多くの方に知っていただき、家づくりの参考にしていただければ幸いです。当設計事務所と一緒に家づくりをする職人さんは、「この人に是非まかせたい!」という方ばかり。第一弾は、大工さんである「岩井建築」の岩井一能さんにお話を伺いました!
―岩井さんのサービスの特徴や強みは何ですか?
手前みそですがカンナやノミなどの刃物を扱うことができるため、「本物の木でできた家」を提供できることが強みです。近年、木に似せた資材が多く出回っていますが、それは「知識がある大工でないと木の扱いは難しい」から。木によってもどんなタッチで削るのか、どこに使うのかが全く違います。見た目や色だけでなくて、「水回りは水に強い木を使う」「重量をかけたくない部分には軽い木を使う」など個性を知った上でのものづくりができます。例えば、ウォールナットは水に強いので、キッチンのテーブルや水回りに使われることが多い、などといった知識は宮大工も経験した親方(以下宮大工)のもとで7年間修行をした時に学びました。本物の木を使った建築は減ってきているのですが、古民家のリフォーム等でミリ単位の調節をする際にはカンナやノミなどの刃物を臨機応変に使用する必要がありますから、そういった場合にも頼っていただけます。
―高い技術力をお持ちの大工である岩井さんですが、どんなお客様からのご注文が多いと感じますか?
「人とは違う家にしたい」「自分の住む場所にこだわりを持ちたい」という要望をお持ちのお客様が多い印象です。大手のハウスメーカーに依頼すると出来上がりが均一的になります。お家のデザインをみるだけでどこの会社が作ったものか予想がつくことがありますよね。手で作ったものは一つとして同じものにならないという点が魅力です。外装はもちろんのこと、内装もオリジナリティが出せます。例えば、大きな道に面した壁には全く窓を付けないといった尖ったデザインも実現可能です。オリジナリティを求めるお客様に贔屓にしていただけていると考えています。
―「岩井さんだからこそできること」について教えてください。
新築・リフォーム問わず、他に誰もできない難しい仕事に対応できることです。宮大工さんのもとで修行した7年間が今でも活きています。大工にとっての本領発揮は、設計事務所さんから設計図を渡された時、ニュアンスを汲み取って家を作り上げるという局面です。我々は平面の設計図を立体にするわけですが、その施工方法や作業工程、細部の仕上げまでが書いてあるわけではありません。全て現場のやり方次第で出来栄えが決まります。例えば、大手ハウスメーカーさんのお客様で、強いこだわりをもっておられて無理難題をリクエストされる場合がありました。屋根の上から家の下まで壁全部を化粧板で作りたいというご要望です。メーカーさんの工場も、もともと取引のある大工さんも対応できないとなりました。僕でしたら対応できますということで、工場で出来上がった資材を使うのではなく、現場で木材を形成し、一から作り上げていくということが可能となり対応できた案件でした。
―宮大工さんのもとで修行をしようとお考えになったキッカケは何でしたか?
現場において様々な大工さん・職人さんをみて自分の将来を考え始めたことがキッカケです。独立当初は若かったこともあり、できるだけ収入が増えるよう体力の限り働き続け、その努力も実っていました。一方、多くの方と現場を共にする中で見えたのは、「若いからこそ今の働き方ができるのだ」ということ。自分にしかない技術を持っていないと自分が年配者になった時に仕事が無くなってしまいます。この先もずっと高い技術と知識を持った仕事がしたいと考え、自己研鑽を始めたのです。
―今後の展望を教えてください。
付加価値のあるサービスを提供できるよう、技術を磨いていきたいです。大工は自分の時間を作業に充てて仕事をするのですが、付加価値が無い仕事をすると「作業をこなすだけ」「件数をこなすだけ」になってしまいます。一軒、一軒にこだわりをもって対応し、付加価値を提供することで、お客様のご満足につながる家づくりができるよう精進したいです。
―さいごに
ありがとうございました。岩井さんの勉強熱心な部分から、そのお人柄がにじみ出ています。本物の木を使ったオリジナリティのある家に興味がある方も多いはず。小さなご質問でも構いませんので、当設計事務所へお気軽にお問い合わせください。次回は、岩井さんの修業時代の師匠でもある宮大工さんにお話を伺います。お楽しみに!
インタビュアー・ライター:杉原未来(フリーライター、2022 Miss SAKE okayama準グランプリ)