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コラム

親子の縁を切りたい② 安全確保

2018年3月13日

テーマ:親子関係の法律相談

コラムカテゴリ:法律関連

親子の縁を切りたい② 安全確保

親子の縁を切りたいという相談を受けて、法律上の親子の縁は切ることができませんという回答をすることが相談者に絶望感を与えてしまうことがあります。

身の危険を感じていたり、安全を脅かされていて、相談者が不安と恐怖を抱いている場合です。

そんな親子はいないだろうと考えがちですが、愛情に満ちあふれた理想の家族とはほど遠い現実を生きている方たちは少なくありません。そうした現実から目をそむけて家族の理想型を押し付けられることは相談者に苦痛と恐怖しか与えません。

親子という縁を切ることのできない関係は、厳然たる力関係の中にあり、他の家族と比較しづらい環境の中では、DV同様、力と支配の関係が生じやすいと言えます。

殺人事件の警察統計でも、親子間を含め親族間での事件が約半数を占めていることはよく知られているところです。

平成12年に児童虐待防止法、平成13年にDV防止法、平成17年には高齢者虐待防止法が制定され、家族間の暴力からの保護と支援措置等が明記されました。

相談者の「親子の縁を切りたい」という言葉が、「安全を確保してほしい」という生命・身体への危害防止を求めているものであれば、①暴力的環境から離れる、②安全な距離をとり続ける、③探索行為等を防止する等の対応を行っていくことになります。

虐待事件で言えば、身体的虐待や性的虐待のケースがこの類型にあたります。
また精神的虐待や経済的虐待にあたる場合でも、身の危険を感じることは少なくないので、相談対応にあたっては細心の注意が必要です。
危険度と緊急性を慎重に検討しつつ、話し合いでの解決の余地があるか(交渉・調停)、法的に安全な距離をとっていくべきか(審判や仮処分など)を考えていきます。

弁護士にできることの限界はありますが、弁護士だからできることもあります。

①、②、③の対応方法について、一時保護、親子間紛争調整調停、保護命令、接近禁止仮処分、住民票閲覧制限措置等について、順に考えていきたいと思います。

※本コラムは法律コラムの性質上、弁護士の守秘義務を前提に、事例はすべて想定事例にしており、特定の個人や事件に関する記述はありません。

この記事を書いたプロ

川﨑政宏

夫婦、親子をめぐるトラブル解決のプロ

川﨑政宏(ももたろう第2法律事務所)

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