ネジ止めしないとダメなソールもあるらしい!?
こんにちは。
足と靴のフットライト.梶田です。
今年も本格的な山のシーズンに入りました。
当店も登山靴の修理ご依頼が増えてきておりますが、雑談の中で「山で大変な目にあった(の)よ」と話される方も増えてきましたので、山行中に大変な思いをしないための登山の基本の基本についてお話ししたいと思います。
さて、登山の基本の基本と言いましても、「靴の基本」でもある、「靴ひも」ついてのお話です。
すでに過去のコラム内で数回にわたり靴ひもについてお話していますが、この靴ひもの先端部分「チップ」を固定している金具や樹脂のパーツが脱落するなどして先端部が開いた状態のままで履いている人ほど、山の上で大変な目に逢いやすいんです。
この大変な目に逢ったという具体的な例を挙げてみますと、
・雨が降ってきて登山靴の中がぐしょぐしょになった
・いきなり靴ひもが切れて脱げそうになった(脱げそうなまま帰ってきた)
・山の途中で靴底が剥がれた(剥がれそうになった)
といった事例です。
ただしこれらは全て靴ひもを外す・付け直すという作業さえしていれば、予防できた不具合でもあるんですよ。
では、なぜ何か所も通してある登山靴の靴ひもを、わざわざ外して付け直さなくてはならないのでしょうか?
答えは非常に簡単で、防水(撥水)スプレーを掛ける際に靴ひもを通したままではベロの内側部分まで掛けられないので、靴ひもを外した上で掛けましょう、ということです。
また靴ひもを外したり付け直していますと靴全体も見回すことになりますから、何か異常な気配がある際にも気づきやすくなって、事前に修理もしくは買い替えの対処が出来るからです。
ちなみに、靴ひもの先端部分「チップ」の金具や樹脂パーツが取れている場合、靴のひも通し穴に通しやすいでしょうか?
靴ひもの先が開いていると穴には通しにくいですから、先端にテープを巻いて固定し直したりしますよね。
ここで注意しなければならないポイントとしては、靴ひもの先端がおかしくなっている場合は靴ひもの良く擦れる個所も摩耗で切れやすくなっていたりしますから、先端の傷んでしまった靴ひもは交換してやるのがベストという事なんです。
(テープ巻きなどで延命しても良いですが、ひも全体のチェックは必ず行ってください)
よく「途中で切れたら交換すればいいので、予備の靴ひもを持って歩きましょう」という話を聞きますが、それは靴ひもの点検すらしたことがない人が言う話ですので、「そうなんですかー」と適当に相槌を打ってあげておけば良いですよ。
何よりも、交換できない場所で靴ひもが切れた際に、上記のような発言をしている人は「運が悪いんですよ」としか言いませんし、そもそもが「自己責任」で終わりですからね。
むしろ靴ひもの入る隙間にカロリーバーでも入れている方が、もしもの時には役立ちますし、何も靴ひもという固定観念の代物で無くても最低限の靴の知識と応用力があれば他の物でも十分靴ひもの代わりになります。
これからグループやツアーで山に登る予定の方も居られると思いますが、既に信頼のおける人と一緒に登山をする方は兎も角として、初めての人と一緒に登山をする際に、「この人は登山の先輩(インストラクター)として信用しても大丈夫かな?」という見極めをするのに、靴ひもの先端部を見てみるのは重要なチェック項目でもありますので、相手の靴ひもの先端がどういう状態かを気にしながら見てみると良いですよ。
なお、見所や楽しい話といった山の情報については靴ひもの先端からでは読み取れませんので、その辺りのコミュニケーションは臨機応変に対応願います。