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【貴重情報!?】お坊さんへのお茶菓子について【一住職のホンネ】

若松慶隆

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 皆様こんにちは。
 今回は「住職さんがお家に来る際に差し出されるお茶菓子」についてのお話です。
『何を出すのが喜ばれる(または失礼がない)のか!?』
『どのタイミングで出すべきか!?』
『正しいマナーや作法は!?』
 …等々、気を遣われている方が結構多いと思われます。
 そこでインターネットで『住職 お茶菓子』などと検索してみますと、多くの情報(※)が出て来ます。
 しかし出て来る情報は『住職さんを迎える側のマナー』が大半であり、『当の住職側の情報』は皆無であります。
 実のところどうなのか、(※)を踏まえて少し深掘りしてみます。
 ご興味のある方はご通読下さいませ。


〘法事編〙
(お仏壇の開閉眼供養・自宅通夜等も含む、とします)

➀ お茶菓子は家に上がって早速お差し出すのが良いのか、衣を着替えて座布団に着座してからが良いのかという論を複数目にしますが、私含めて大半の住職は『どっちでも全く気にしない』が本音だと思います。

② 私個人的には何も出て来なくても気にしません。
「何か出さないと失礼かも…」みたいな気は遣って頂かなくて大丈夫です。
よほど喉乾いた時用にペットボルを法務カバンに入れています。

③ お菓子の件、これ重要です。
私も含めておそらく過半数の住職はお勤め前にはお饅頭やお煎餅などは食さないようにしています。なぜならお勤め直前に何かを食べると、読経中に咳き込むことがあるからです。
ちなみに一度咳き込んでしまうとプレッシャーからか、何度でも続くのです。
『どういうお菓子を出せば住職さんに喜んでもらえるか』などあまり気にされる必要はないかと思います。

④ つまりお茶だけで充分なのですが、「形だけでも出さなければ…」と思われる方に伝えたいのは個包装されているものが有難いということです。
 「お寺に帰ってから頂きます。」と言えますので。

⑤ 個包装されていないものを出して下さると持って帰れませんし、こちらとしても「食べないと失礼…」という気持ちになります。
 (特に複数軒をお参りする日は食べすぎになりますし…でもお気持ちは大変有難い、ということは付記しておきます。

⑥ 一番ありがたいと思うのは必要なものを尋ねて下さる方。
これが私の偽らざる本音です。
「何か飲まれますか?」「少し小腹を満たされますか?」こういう風に聞いて下さると、その時の本音で返事が出来ますし、より良い状態に出来ます。

⑦ なので『あまり気を遣わなくて良いですよ』というのが私の結論になります。


〘棚経編〙
(たなぎょう、とはお盆前に1軒1軒のお仏壇を拝みに回る夏の恒例行事のことです。)

Ⓐ 拙寺では多い日で1日に30~40軒の檀家さん宅を訪ねるのですが、もし全てのお家で出されたお茶菓子を口にするとしたら体を壊します…。
なので〘法事編⑥〙と同じく尋ねて下さるのが一番助かります。


Ⓑ でも棚経は1軒での滞在時間がほんの10分20分だとしても、檀家さんにとっては(法事などなければ)1年に1度の大切な場。

【棚経のお経はこちらの動画参照】
私としてもお互いに一期一会の精神でお参りはしておりますが、檀家さんは「去年は美味しそうに食べてくれたのに」とか、よく覚えていらっしゃたりするので、無下には断れない事情もあります。

Ⓒ 長年やっていますと、頂く家・頂かない家が段々お決まりみたいになってきます。前半は調子よく飲み干していても、中盤以降は苦しくなってしまい、「すみません。お気持ちは大変ありがたいのですが、○○さんの前にもたくさんお茶は頂いておりまして…」とお断りするケースがどうしても多くなります。

Ⓓ ところで皆様は[[『ぶっちゃけ寺』 http://ja.wikipedia.org/wiki/お坊さんバラエティ_ぶっちゃけ寺]という番組(テレビ朝日系/2014~2017年にレギュラー放送/お坊さんのバラエティ番組)をご覧になった事はあるでしょうか?
そのぶっちゃけ寺でまさに上述Ⓐ~Ⓒのウラ事情が語られる回がありまして、ある住職さんが『持ち帰り可能なペットボトルを頂くのが一番助かる』と仰いました。
するとその年の棚経は本当にペットボトルを下さる家が急増したのです。


Ⓔ 一方でペットボトルのデメリット(かなり稀なケース)にも少し触れておきます。
地元のいわゆる檀那地区(大半が檀家さんで構成されている集落)は家から家の移動距離がほぼないため歩いてお参りしておりますが、そのぶっちゃけ寺以来ペットボトル含めて『持ち帰り可能系』の物を行く先々で頂くことが急増し、後半は手が痛いぐらい両手に袋を持ってお参りしたことも複数回あります。
でもそのお気持ちは大変ありがたいと思っていることが大前提である事をくれぐれもご留意下さい。

Ⓕ ちなみに私の先代住職は、
「あれは一種のマナーというかポーズ、『何も出さないのは失礼』という思いで檀家さんは居る。実際に口にすることは相手も期待していないだろう。」
「全部飲み食いする必要なんてない、断るときは断れば良いんだぞ。」
「全部頂いてたら後々断りづらくなるぞ。」
みたいなことを言っていたことがあります。
ただそこには重要な伏線がありまして、先々代はお菓子大好き人間で、お饅頭など何でもパクパク口にする老僧さんでした。なので、先代は「貴方のお父さんはいつも美味しそうに食べてくれてたのに…」みたいな反応をされることが多く、若い頃はそれで苦労した、との本人談があります。(←時効)

【まとめ】

 なので〘法事編〙でも〘棚経編〙でも共通することですが、個人的!?一般的!?には「一住職目線ではこうですよ。」という話であって、お坊さんは性格も好き好みも様々ですので、菩提寺の住職さんとお互い最も心温まるであろう応対をして頂けるように、一朝一夕には行かないでしょうけど少しずつコミュニケーションを重ねてほどよい距離感を保つことがお互い大切だと考えております。



【定期】今回も長話にお付き合い頂きありがとうございました。(了)

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若松慶隆
専門家

若松慶隆(住職)

朝日寺

元銀行員という異色の経歴を持つ住職。多様な価値観でそれぞれの家庭事情に真摯に向き合い葬式や法事などを執り行う。寺の歴史や伝統行事などをHPやSNSで情報発信し、檀家外の人も集う開かれた寺を目指す。

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