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二世帯住宅と贈与

高木正男

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テーマ:税務

核家族化の進行が叫ばれる昨今ではありますが、親御さんの将来も考え、実家を二世帯、三世帯が同居できる建物へ増改築、あるいは建て直して同居することを検討される方が少しずつ増えてきているようです。今回は古い建物から多世帯住居へ移行する際の贈与に関する注意点をご紹介します。

□□親が所有する建物をリフォームして多世帯住宅とする場合□□
家屋の増改築については、1戸の家屋として既存の家屋から独立した構造でない限り、家屋の所有者がその権利を取得することとなっています。(民法上「附合」と言います。)

事例① 子が1,000万円を負担し、親が所有する建物をリフォームする。
⇒リフォーム費用を子供が負担しても、親がその増改築部分の所有権を取得することになるため、子から親へ、その費用部分が贈与されたとみなされてしまいます。
結果、親に対して贈与税231万円が課税されてしまいます。(暦年贈与、他に贈与がない場合)
建物の構造などを変化させる増改築である場合は、登記をする際、費用に対応する持分を子に移転して共有とすれば、贈与税は課税されません。

事例② 建物の名義を子へ移してから、子が費用を負担し、リフォームする。
⇒子が取得する際に、取得に関連する費用が発生しますが、リフォーム費用にかかる贈与は発生せず、増改築部分も含め子が所有権を取得します。さらに一定の要件を満たせば、子は多世代同居のための増改築費用に関する税額控除を受けられます。

建物の名義を子へ移す方法としては贈与もしくは売却することになりますが、相当年数が経過している建物であれば、取得関連費用を含めても支出が抑えられる傾向にあります。
子が費用を負担する場合は、先に名義を移すことも検討してみてはいかがでしょうか。

□□親が所有する建物を取壊し、多世帯住宅を新築する場合□□
  新築の場合、費用を負担した割合に応じ建物の所有権を取得します。

事例③ 新築費用を親がすべて負担したが、名義は親子で半分ずつ共有にした。
⇒親が建物の所有権のすべてを取得した後に、子に持分を半分贈与したとみなされます。新築費用が3,000万円だとすると子に贈与税が327万円課税されてしまいます。(暦年贈与、20歳以上で他に贈与がない場合)

事例④ 事例③の前に、親からあらかじめ住宅取得資金として1,500万円贈与をする。
⇒一定の条件を満たす場合、住宅取得資金の非課税制度が適用できるため、贈与税は48.5万円に抑えられます。(暦年贈与、良質な住宅、20歳以上で他に贈与がない場合)

大きな買い物になりますので、権利関係を整理して思わぬところで贈与と言われないように、全員にとってより良い方策を検討したいですね。

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専門家

高木正男(税理士)

株式会社あさひ合同会計(あさひ合同会計グループ[税理士法人あさひ合同会計、ネットリンクス株式会社])

銀行員時代の人脈やノウハウを生かし、企業の資金繰りを改善します

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