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高校受験の勉強法【社会編】範囲はどこまで?地理で覚えることなど

杉山健司

杉山健司

高校受験において社会の重要性が注目されています。どのような勉強法ですすめていくことで内申点や試験での得点を得ることができるのでしょうか?地理、歴史、公民の3種についてそれぞれ、暗記の仕方などについてご紹介します。


昨今の高校受験における社会の傾向

高校受験における社会は、以前の単純な暗記重視から少しずつ変わっています。例えば、歴史の問題の中で、関ヶ原の戦いについて、単純に1600年に起こったと暗記しても点数は取れません。なぜ、戦いにまで発展したのか、その背景や歴史の流れまでを把握する必要があります。

地理の作図問題でも、従来は、都道府県の位置や地形図の断面図などが中心でした。しかし最近では、統計からグラフを作成するような問題も見られるようになっています。

社会は暗記が中心であることは現在でも変わりません。暗記が中心であるからこそ、しっかりと勉強をすれば点数をとりやすい教科です。しかし、暗記するだけだから後回しにしようと思ってしまうと、高校入試では大きく点数を落としてしまう可能性があります。

点数がとりやすい教科だからこそ、効率良く勉強することで高校入試を有利に進められるようになるでしょう。

これらを踏まえ、大分県の公立高校の過去4年間における社会の出題傾向から点数獲得のポイントを見てみましょう。

出題傾向

大分県公立高校入試の出題形式別の傾向は、小問数と記号回答が中心で、用語記述や文章記述は以前に比べると減っています。

ただ、全体の問題数自体が減少傾向にあるため、用語や文章記述の重要度が落ちているわけではありません。むしろ記述問題でしっかりと点数をとれないと全体の点数も下がってしまうといえるでしょう。

文章記述問題は、空欄の穴埋めだけではなく、用語の説明や資料読み取りなど多様なパターンがあります。さらに字数指定の問題も多く、文章をコンパクトにまとめる対策は必須です。

次に出題内容別の傾向を、「地理・歴史・公民」にわけて見ていきます。

地理
平成30年(2018年)から令和3年(2021年)までの入試で、毎年必ず出題があるのは、「アジア州」「南北アメリカ州・オセアニア州」。そして、「世界からみた日本の自然、人口」「世界と日本の資源・産業、結びつき」です。「九州・中国・四国地方」など、国内の個別の地域を扱った問題は例年、それほど出題されていません。

ここ2年は、地形図を用いた問題が出ているため地形図の読み取り対策は必須です。また、距離の計算問題もあり、数学の知識がないと回答できない問題もあります。

歴史
歴史で毎年必ず出題されている分野は、「古代国家の歩み」「二度の世界大戦と日本」「現代の日本と世界」の3つです。これだけを見ると、古代と現代が中心かとも思われるかもしれません。

しかし、「天下統一」は3年連続、「近代ヨーロッパと日本の開国」も4回中3回とすべての時代において平均的に出題されています。

公民
公民で毎年必ず出題されている分野は、「現代社会と私たちの生活」「人間の尊重と日本国憲法」「消費生活と流通・生産,市場経済と金融」の3つです。「内閣・裁判所・三権分立」「地方自治」といった政治関連の出題は比較的少ない傾向にあります。

上述した以外に分野別混合問題では、自助・共助・公助に関して具体例を記述する問題が出ています。新聞やテレビのニュースなどから身近な社会問題に興味を持ち、自分の意見を持つようにすることが重要だといえるでしょう。

点数獲得のポイント

社会で点数を獲得するためのポイントは、「全体の流れを暗記する」「国語力や数学力を上げる」「地理・歴史・公民の分野別に学習する」の3つです。それぞれについて簡単に説明します。

【全体の流れを暗記する】
特に歴史に関して、単語帳を使って年号や名前、出来事などを単体で暗記しても高得点を獲得するのは難しいでしょう。歴史の流れの中で、一つ一つの事件や出来事を理解していく必要があります。

【国語や数学力を上げる】
文章の内容を理解し、コンパクトにまとめるには、国語力が欠かせません。長文読解の力や記述の構成、語彙力は身に付けておく必要があります。

また、地図から距離を計測する、データをグラフ化するなど数学的な力を求められる問題も数多く出題されています。国語や数学ができていれば点数が取れる問題を落とさないためにも、しっかりと勉強しておくことが重要です。

【地理・歴史・公民の分野別に学習する】
地理、歴史、公民をまとめて暗記するのでなく、それぞれの分野別に勉強します。まとめて勉強するよりも効率的かつ頭の中で整理をつけやすくなるため、より深く理解できるようになるでしょう。

社会の勉強法

社会は覚えなければならない項目は多いものの、要点を押さえてしっかりと勉強すれば、ほかの教科に比べて点数が取りやすいと言われています。ポイントは、文字だけではなく、画像や動画などと関連付けて覚えていくことです。

また、過去の出題傾向の把握も欠かせません。中学3年間で勉強した内容をすべて記憶するのは困難です。ほかの教科の勉強もしながら効率的に点数を取れるようにするには、過去の出題から試験に出やすい分野の傾向を集中的に勉強するとよいでしょう。

ここでは、歴史、地理、公民に分け、それぞれの勉強方法について説明します。

歴史
歴史の勉強法で最も重要なのは、時代の流れに沿って物語として体系的に覚えることです。人物、年号、事件、出来事などを単体で覚えていくのは、それぞれを関連付けるのが難しく、記述問題となると回答できなくなります。

まずは、過去の出題傾向から古代、戦国、近代、現代などいくつかの分野に分け、それぞれの大まかな流れを把握しましょう。

その後、流れの中で細かい部分を覚えていくと、一つの物語として頭の中に定着していくため、忘れにくくなります。自分なりの年表をつくり、書くことで覚えるのもおすすめです。

画像や動画とからめて記憶するという意味では、マンガや歴史もののドラマを見るのもよいでしょう。特に本を読んで記憶するのが苦手な方は、視覚から入ると覚えやすくなります。

地理
大分県の地理出題傾向を見ると、アジア、アメリカ、オセアニア関連の問題は毎年出題されています。また、世界から見た日本についての問題が多いため、世界地理と同時に、世界と日本の関係性や、世界と比較した自然、産業、資源などについて集中して勉強するとよいでしょう。

また、作図問題に関しては、数学的知識や地形図の読み取り力が求められます。これらは問題集を使って類似問題を何度も繰り返し解き、慣れておく方法がおすすめです。

地形図の勉強は、問題集のほか、インターネットやスマートフォンアプリを活用する方法もあります。動画や立体的なイメージを持って勉強したほうが感覚がつかみやすくなり、覚えやすくなるでしょう。

公民
大分県の出題傾向を見ると、時事問題や経済、法律関連が多く出題されています。そこで、新聞やテレビのニュースは毎日見る習慣をつけ、時事や経済で気になったものはノートに書き取ったり、切り取ったりしてスクラップしておくようにしましょう。

特に経済に関しては、金融関連のニュースを時系列で追う、株取引の概要を勉強するなどによって高い効果が期待できます。

また、ニュースに関して自身の意見を述べる問題が出る場合もあるため、家族や友だちとニュースについて意見を話し合うと、さまざまな視点に気づけるようになります。自分だけの考えでは、見えない側面も見えてくるので、積極的に周囲の人と話し合うのも重要です。

暗記のコツ(だけではダメ)

これまでにも述べてきたように、社会の試験では、数学的な知識や国語の読み取り力や記述問題の構成力、語彙力などさまざまな知識を結集しないと回答できない問題も多く出題されます。出題傾向を把握したうえで、それぞれの分野について理解を深める勉強が重要です。

ただし、その前提として暗記も重要な勉強の一つであることは間違いありません。暗記だけではだめですが、暗記さえもできなければ点数は取れないでしょう。そこで効率的に暗記をするためのコツを紹介します。

1.書いたものを音読する
教科書や問題集を黙読してもなかなか暗記はできません。ポイントは、歴史年表やニュース記事を自分なりに短く書き、それを音読することです。丸写しではなく、自分なりに短くまとめるのが重要で、慣れれば記述問題にも対応できるようになります。

2.一定の期間を置いて改めて覚える
人は何回も繰り返し勉強して記憶しても、その後振り返りをしないと忘れてしまいます。一度、覚えた内容を脳に定着させるには、一定の期間を置いて改めて覚えるのがおすすめです。

一般的に人は1カ月を過ぎると勉強した記憶の多くを忘れてしまいます。翌日、1週間後、2週間後と1カ月の間に2~3回は復習すると脳に定着しやすくなるでしょう。

3.アウトプットを欠かさない
暗記した内容を家族や友人に話すことも重要です。人名や年号、事件などを一つの物語として人に話すと、頭のなかで記憶が整理され、記憶が定着します。

受験前は問題集で知識の定着

受験が近づいてきたら問題集を使って総復習をしながらこれまで記憶した知識の定着を行いましょう。ここでは、知識の定着におすすめの問題集を10冊紹介します。

・「高校入試 入試問題で覚える一問一答 社会」旺文社
一問一答形式で、地理・歴史・公民の過去問を解いていく問題集です。暗記本ですが、グラフや重要人物の相関図も掲載されているので、体系的に暗記するのにも役立ちます。

・「社会 10日間完成 中1・2の総復習」学研教育
高校入試の入門レベルの問題集です。一般的に入試で出題される問題のおよそ半分以上は中1から中2の範囲だと言われています。

短期間でしっかりとマスターできるよう、ポイントをしっかりと抑えた問題で総復習が可能です。

・「高校入試 中学3年間の総復習 社会」旺文社
ほかの教科に集中していて、社会の勉強開始が遅れてしまった人におすすめです。わずか14日間で中学校3年間の総復習ができるので、3年生の夏休み明けから始めても十分に間に合います。

・「高校入試の基礎づくり社会」旺文社
これから高校入試の勉強を始めるにあたり、どこから手をつければよいかわからないといった人におすすめです。問題を解いていくことで、社会の基礎力がついていくのと同時に苦手な箇所もわかるので、まずはこの一冊から始めてみるとよいのではないでしょうか。

・「受験生の50%以上が解ける 落とせない入試問題 社会」旺文社
とりあえず平均点以上を取ることを目標にするならこの一冊です。各都道府県高校入試データを基に、50%以上の学生が正解をしている問題ばかりを集めています。この問題集を繰り返し解いていけば、最低でも平均点以上は狙えるようになるでしょう。

・「高校入試 合格でる順 社会」旺文社
高校入試でよく出題される問題を中心に集めた問題集です。効率的に点を取れる勉強をしたい人におすすめします。単なる暗記問題だけではなく、考える力をつけるための問題も用意されているので、社会の実力アップに最適な一冊です。

・「受験生の50%以下しか解けない差がつく入試問題 社会」旺文社
社会が得意でさらに高得点を狙いたい人におすすめの一冊です。全国のデータを基に50%以下の学生しか解けなかった問題を集めています。この本をマスターすれば効率的に高い実力を身に付けることができます。

・「高校入試 でる順ターゲット シリーズ 社会ターゲット120」旺文社
入試直前の最終チェックとして活用するのにおすすめの一冊です。地理・歴史・公民別で、試験に出る順に、基本用語や穴埋め問題が掲載されています。試験前以外に記憶の定着用にもおすすめです。

・「全国高校入試問題正解 社会」旺文社
全国都道府県別に公立高校受験で出題された問題と、主な国立、私立の入試問題を集めた一冊です。年代別に発売されているので、過去問対策をしたい場合は、この本を徹底的に勉強しましょう。

・「最高水準問題集 高校入試 社会」文英堂編集部
偏差値65以上の難関校を目指している人におすすめの問題集です。詳細な解説も付いているので、問題を解いて解説を繰り返し読んでいけば確かな実力を身に付けられるでしょう。

まとめ

社会の受験勉強はとにかく暗記さえしておけば大丈夫といった考えでは、点数を取れず、受験にも失敗してしまう可能性があります。暗記が重要なのは間違いありませんが、時代の流れや背景も含めて覚えないと、高得点は難しいでしょう。

また、長文を読み取り、要点をまとめて記述する。データからグラフを作成したり、地図から距離を計測したりといった、国語や数学的知識も欠かせません。暗記をベースに問題集を解く、新聞やテレビのニュースを見て自身の意見を持つ、国語や数学の知識を生かせる応用力を鍛えるなどが、社会で点数を取るための鍵といえるでしょう。

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杉山健司
専門家

杉山健司(学習塾講師)

杉山学習塾

生徒一人一人の個性にあわせて『勉強の処方箋』を用意する、きめ細かな個別指導を行っています。的確な指導で勉強の楽しさを知り、学習意欲が備わった生徒はどんな勉強をしたいかを自発的に考え、急速に成長します。

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