障害年金の不支給決定通知が届いたら不服申し立てを
年金といえば老後のものというイメージがありますが、若い世代にとって重要な年金もあります。
私たちは誰もが病気やケガをし、障害の状態になる可能性があります。それで仕事が続けられなくなったとしたら、どうすれば良いのでしょう。
そこで思い出していただきたいのが障害年金です。公的年金のひとつで、ケガや病気により日常生活が困難となったり、働いて収入を得ることが難しくなったりした場合、経済的な支援を受けられる制度です。
しかし、誰でももらえるというわけではなく、受給するためにクリアしなければならない要件があります。それはどのようなものでしょうか。また対象となるケガや病気にはどんなものがあるのでしょうか。
障害年金の全体像と目的
日本の公的年金制度は「2階建て」になっています。
20歳から60歳までの日本国民は、全員が国民年金に加入しています。さらに会社員や公務員や教職員ならば「厚生年金保険」という2階部分の年金制度にも合わせて加入していることになります。
20歳以上60歳未満の自営業者や学生を、国民年金だけの「第1号被保険者」と呼び、会社員や公務員を「第2号被保険者」、さらには第2号被保険者に扶養されている人を「第3号被保険者」と呼びます。つまり、20歳以上の方は社会保険料を払い第1号から第3号のいずれかに属しているということになります。
障害年金は、国民年金では障害基礎年金と呼び、1級、2級があります。厚生年金では障害厚生年金といい、1級、2級、3級があり、さらに障害手当金という一時金もあります。
障害者手帳や生活保護のような福祉制度と混同される方が多いのですが、障害年金は相互扶助の精神に基づき、いままで納めてきた保険料で成り立っている制度で、障害者手帳や生活保護とは異なります。
民間の保険をイメージするとわかりやすいのですが、病気やケガをすれば、収入や財産の有無などに関係なく、保険金を請求することができます。
しかし、障害年金を受給するためには、一定の要件を満たさなければなりません。それは初診日要件、保険料納付要件、障害程度要件の3つです。
それぞれを詳しく見て行きたいと思います。
初診日要件 初診日の取り扱いに注意
初診日とは、障害の原因となった傷病について、初めて医師、または歯科医師の診療を受けた日のことです。これは少し紛らわしく、手続きを進めていくうえで最初の壁となることが多いです。
たとえば次のような取り扱いをされていますので注意をしてください。
■初診日の考え方
・初めて診察を受けた場合は、治療行為または療養に関する指示があった日
・同一傷病で転医があった場合は、一番はじめにの医師、歯科医師の診療を受けた日
・一度治癒した傷病が再発した場合は、再発時の診療日
・障害の原因となった傷病の前に、因果関係のある別の傷病がある場合、最初の傷病の初診日
このように、初診日は間違えやすいのですが、逆に初診日がきちんと確定すれば、あとの手続きが進めやすくなります。
初診日の検討がついたら、初診日要件に当てはまるかどうかを確認してみましょう。
障害年金を請求できるのは、障害の状態となった傷病の初診日が次のいずれかに該当している場合です。
・国民年金、厚生年金等のいずれかに加入している
・20歳前である
・60歳~65歳未満の方で以前国民年金に加入していた
この要件に該当する方は第2の要件を確認しましょう。
保険料納付要件 初診日前日の納付状況がポイント
障害年金を請求するための2つめの要件は、初診日においての保険料納付要件です。決められた要件を満たしているかどうかを確認しましょう。
・初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までの被保険者期間のうち、保険料納付済み期間と 保険料免除期間が3分の2以上あること。
・初診日が平成38年4月1日前であって、初診日に65歳未満の場合は、初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がないこと。
保険料納付要件は初診日の前日を見ます。つまり、なにか起こったときに、あわてて納付をしてもだめだということです。20歳になったら国民年金に加入し、保険料を期日内に納めておくことが大切です。
障害状態要件 障害の状態を定める障害認定日とは
初診日要件と保険料納付要件を満たしている方は、障害認定日がいつなのかを確認しましょう。
障害認定日というのは、障害の程度を認定する日のことで、原則として、初診日から起算して1年6カ月を経過した日です。または1年6カ月以内に治癒した場合(症状が固定した場合)はその日を指します。
この障害認定日に一定の障害状態にあると認められると、障害年金が支給されます。認定は「国民年金・厚生年金保険障害認定基準」に従って行われます。
対象となるケガや病気について
障害年金の対象は身体障害をイメージされる方が多いようですが、そうではありません。
日常生活や仕事に支障がある場合、上記の受給要件を満たしていれば、ほとんどの傷病が対象となります。
日本人の3大疾病(ガン・急性心筋梗塞・脳卒中)はもちろん、代表的な現代病である糖尿病とその合併症や、近年増えているうつ病などの精神疾患も対象となります。
ですから、若い方も障害年金をもっと身近なものと考えて良いのです。