障害年金受給額の目安は職業や等級ごとに大きく異なる
障害年金をご存知でしょうか?
年金といえば老後の生活を支える「老齢年金」や、一家の大黒柱がなくなった時の保障となる「遺族年金」が思い浮かぶと思います。
障害年金も公的年金のひとつで、病気やケガで働くことが難しくなった方に支給されるものです。年金を受給するには手続きが必要ですが、障害年金の場合は少し複雑で、さらに認知度も低いために、請求を諦める方や、そもそも制度自体を知らないという方もいらっしゃいます。
そこで、まずは手続きに関するおおまかな流れをご説明したいと思います。
受給資格があるかどうかを確認
まず、自分に受給資格があるのかどうかを確認してみましょう。
障害年金を請求できるのは、年金加入中に病気やケガで障害が残り、日常生活や仕事に支障が出る場合です。
対象となるケガや病気はさまざまで、目や耳、言語が不自由な方、心臓、腎臓、肝臓や呼吸器に疾患のある方、精神障害、精神遅滞の方、難病や癌、糖尿病、高血圧で合併症がある方などです。しかしどなたでも受給できるというわけではなく、次の3つの要件を満たすことが必要です。
■初診日要件
年金に加入している期間に初診日がある病気・ケガで障害の状態になった
■障害状態要件
障害認定日に障害の状態が一定の基準以上であること
■保険料納付要件
保険料を一定期間払っていること
この3つの要件を満たして、はじめて障害年金を請求することができます。
初診日は請求を行う傷病についてはじめて医療機関(病院やクリニック等)を受診した日
障害年金の請求手続きを行う方にとって、初診日は非常に大切な意味を持っています。
初診日とは、請求を行う傷病について、はじめて医療機関(病院やクリニック等)を受診した日を指します。保険料納付要件を満たしているかどうかは、初診日の前日で判断されます。
また、初診日の加入状況によって受給できる金額も変わってきます。病歴が長い方や転院を繰り返している場合など、記憶があいまいになっているケースも多々ありますので、ご家族や支援者にも協力してもらうことをおすすめします。
年金事務所に相談、その時の注意点
請求に先立ち年金事務所へ相談に行くことになります。
その時に持参するものは次の通りです。
①年金手帳
②認印
③請求者の身分証明書
④委任状
⑤支援者の身分証明書
本人が相談する場合は④と⑤は不要です。
年金事務所に行く目的は次の3つです。
①保険料納付要件の確認
初診日を伝えたら、その時点で保険料納付状況を調べてくれます。
②請求に必要な書類を受け取る
受診状況等証明書、診断書、病歴就労状況等申立書などを受け取ります。
③請求時に必要な書類を教えてもらう
請求者の家族構成、請求方法により添付する書類が変わります。請求時点で揃っていなければ受理されないこともありますので、何が必要かをきちんと確認しておきましょう。
書類の準備
請求する要件を満たしている方は、それを証明する書類の準備をしましょう。
初診日に年金に加入していたことを証明するためには、初診日に受診した医療機関に「受診状況等説明書」を作成してもらうことが必要です。
次に診断書の取得です。記入は医師が行います。
障害の部位によって8種類の様式があります。すべてを使用するわけではなく、その中から病状に合ったものを選ぶことになります。
診断書に書かれた内容は、障害の等級を決めるときの資料になるので、障害年金の請求では極めて重要な書類と言えるでしょう。
請求の種類により取得枚数と、どの時点の診断書を作成してもらうかが変わってきます。
①障害認定日請求(本来請求)→1通
初診日から1年6カ月経過した日を障害認定日といい、障害認定日から3カ月以内の診断書が必要。
②障害認定日請求(遡及請求)→2通
障害認定日から1年経過後に請求する場合、障害認定日から3カ月以内の診断書と、請求日以前3カ月以内の診断書が必要
③事後重症請求→1通
請求日以前3カ月以内の診断書が必要
次に病歴・就労状況等申立書を作成します。
これは、発病した時から現在までの状況を本人が申し立てる書類で、診断書を補足する役割もあります。就労状況や日常生活に支障があることなどもしっかりと申し立てることが必要です。
必要な書類を取得、作成したら、請求書を作成します。難しい箇所はありませんので、記入漏れに注意して作成してください。
書類が整ったら、年金事務所に提出し結果を待ちます。
不支給決定の場合の対処法
審査の結果、障害年金を受けられる方には年金証書が、受けられない場合には「不支給決定通知書」が送られてきます。
残念ながら不支給決定の通知が届いた場合、納得がいかなければ厚生労働省に不服申し立てを行うことができます。
不服申し立ては二審制となっており、1審目を審査請求、2審目を再審査請求と言います。
審査請求は、通知が届いた日の翌日から起算して3か月以内に、社会保険審査官に対して行います。
それでも決定が覆らない場合は、社会保険審査会に対して再審査請求を行うことができます。その決定にも納得できない場合は裁判となります。
このように不支給となってもチャンスはまだあり、決定が覆ることも珍しくないため、粘り強く請求することが大切です。