① 既存木造住宅 性能リノベーション工事
温かい家を造るときに注意する点の一つは、外気の気温に影響を受けにくくすることです。
前回は、床面・外壁面・天井面に断熱材を入れる工事を紹介しました。しかし、外気の影響を受ける一番の場所は、出入り口や窓などの外に面した開口部なんです。
ご近所から窓をペアガラスにリフォームしたら「以前と比べ暖房が良く聞くようになった。」などの体験談は良く聞かれると思います。
今回は住宅性能リノベーション工事において重要な開口部について紹介します。
私が通っていた小学校・中学校は木造で、窓や出入口は、格子状に組んだ木枠に2~3㎜のガラスをはめ込んだもので、隙間も大きかったので冬は風が入ってきて寒くて寒くて…。
50年ほど前までは住宅でもそういう開口部でした。そこからアルミサッシが普及し始め、当時は画期的だったと思います。かなり良くなりましたが、使っているガラスは単板で3~5㎜厚で隙間も大きいので外気の影響を受けやすいものでした。
開口部から熱が入ってこないように、また、家の中から熱が逃げないようにしなければなりません。この対策として、①窓ガラスをペアガラスにする。②窓を2重にする。③窓を高性能サッシに取り替える。④窓を小さくする。などが挙げられます。
①窓ガラスをペアガラスにする。
最近はほとんどの住宅の開口部はアルミサッシです。古い住宅はほぼ単板ガラスを使っているので、ここをペアガラス(単板ガラスを2重にして隙間にアルゴンガスなどを封入したもの)に取り替えることにより室内が外気の影響を受けなくなります。
ペアガラスに似た用途で合わせガラスというものもあります。厚みがあるペアガラスでは枠からはみ出す時があるので、比較的厚みが薄い合わせガラスを使うときもあります。旭硝子サイト
②窓を2重にする。
従来の窓の内側や外側に窓を設ける方法もあります。内側の場合は、樹脂製のサッシを開口部の大きさに合わせ設置します。和室などにサッシの手前に木製の障子があるところが、樹脂サッシになったイメージです。外側に設置するときは窓をカバーするように外壁面に取り付けます。
LIXIL 内付け窓
三協立山アルミ 外付け窓
ガラスは単板でも性能は期待できますが、ペアガラスを使うことが多いようです。
③窓を高性能サッシに取り替える。
既設のサッシをフレームごと取り替える方法で、外壁や内壁を解体して取り外し、新たなサッシを取り付けるので工事が複雑になります。
古いサッシは、冬に窓一面に結露しているのを見かけますが、ガラス面だけでなくフレームのアルミ部分も結露します。アルミ部分が結露すると、柱等見えないところが腐食する可能性があります。
従来のアルミサッシと別に、フレームが外側はアルミ内側は樹脂製のハイブリット型や、すべて樹脂のものもあります。樹脂はアルミに比べ熱伝導率が低くほとんど結露しません。
LXIL ハイブリット型
YKK 樹脂サッシ ペアガラス
エクセルシャノン 樹脂サッシ トリプルガラス
※最近のサッシは、気密性・水密性も良く空気が抜けにくくなっていますし、古いサッシのように台風の時に雨水が逆流してくることはほぼありません。
※この工事は、外壁を補修することになるので雨漏りの対策も必要です。
④窓を小さくする。
そもそもですが、熱の逃げやすい開口部を無くしたり小さくすることによって外気の影響を受けにくくします。
窓を小さくすると「暗くなる」とか「換気が…」と言われる方が多いです。
最近の新築住宅を見て「窓が無いな~。少ないな~。」と感じている方は多いと思いますがこういう理由です。
また、開口部が少ないと耐震性能も向上します。(バランスも必要なので検討が必要ですが…。)
最後に
私は、長期優良住宅化リフォーム工事の補助金の対象にする工事の時は、③と④を中心に計画し提案します。リノベーション工事では、サッシはアルミと樹脂のハイブリット型が使いやすいような気がします。
住宅新築工事では、樹脂サッシを使います。
※ペアガラスの種類によっては、ガラスの内側に透明に近い金属膜を形成することによって、太陽光の入射角によって熱のもとになる赤外線を反射させたり、室内の熱を逃げにくくしているものがあります。
また、2重ガラスのペアガラスより断熱性能を増したトリプルガラス等もあります。工事担当者によく聞いてください