Mybestpro Members

利光哲哉プロは大分朝日放送が厳正なる審査をした登録専門家です

珈琲ブレイク:AIが自分で自分を鍛え直す?「再帰的自己改善(RSI)」という進化のカタチ

利光哲哉

利光哲哉

テーマ:DX、生成AI、AIエージェント

仕事の合間の息抜きに、少しだけ未来の話を。
最近、AIの最先端研究でよく耳にする専門用語に「再帰的自己改善(RSI:Recursive Self-Improvement)」という言葉があります。
横文字にすると難しそうに聞こえますが、ものづくりの現場や日々の業務改善に置き換えてみると、実はとても馴染み深い原理の話です。

道具が自分で道具を作り変える世界

 たとえば、職人さんが「もっと使いやすい専用工具」を自分で削り出して作ったとします。その新しい工具を使えば、さらに精度が高く使いやすい「次の工具」を作ることができますよね。
 この「改善のサイクル」を、AIがソフトウェアの中で24時間365日、人間を介さずに全自動で回し続けること。それが「再帰的自己改善」です。

  1. AIが自分の頭脳(プログラムやアルゴリズム)の無駄を分析する
  2. 自分自身を改良して、少し賢い次世代AIになる
  3. 賢くなった頭脳で、さらに高度な改良を自分に施す


 人間が手作業でバージョンアップ版を開発しなくても、AIが勝手に「知能のPDCAサイクル」を猛スピードで回し続けるイメージです。

映画のような「知能爆発」は本当に起きるのか?

 「AIが勝手に賢くなり続けたら、あっという間に人間の知能を置き去りにして暴走するのでは?」というSFのような議論もあります。
 確かに、計算式を解いたりチェスを指したりといった「パソコンの中で完結する閉じた世界」なら、そのスピードは桁違いです。
 しかし、現実のビジネスや物理世界はそこまで単純ではありません。

・実験と検証には時間がかかる
いくらAIが頭の中で「究極の新素材」や「革新的な半導体」を設計しても、実際に工場で試作し、テストし、熱や耐久性を確かめるには物理的な時間とコストがかかります。
・電気と熱の壁
計算を無限に速くしようとすれば、それだけ膨大な電力と冷却設備が必要になります。
・改善の伸びしろは次第に減る
現場のカイゼン活動と同じで、初期のムダ取りは簡単でも、極限まで磨き上げた後は1%の性能アップを見つけるだけでも膨大な手間がかかります。

 頭脳の回転は指数関数的に速くなっても、現実世界を動かす物理の壁がある以上、映画のように「一晩で世界がひっくり返る」ということはまずありません。

中小企業の現場にどう関係してくるか

 「先端技術の話は、うちのような規模の会社には遠い世界だ」と思われるかもしれません。ですが、この技術の本質は「専門家しかできなかった高度なチューニングの自動化」です。

  • これまで高額なITベンダーに依頼していた業務システムの最適化を、社内AIが自律的にコードを書き直してやってくれる。
  • 生産ラインの段取り替えや配送ルートの組み換えを、現場のデータを吸い上げながらAIが勝手に精度を上げていく。


 近い将来、中小企業向けに提供されるクラウドツールや業務AIの裏側にも、こうした仕組みが標準装備されていくはずです。「使い込むほどに、勝手に現場に合わせて賢くなっていく優秀な助手」が、手頃なコストで手に入る時代がすぐそこまで来ています。
 過度に怖がる必要も、遠い夢物語として無視する必要もありません。「改善を自動化する技術が、いよいよここまで来たか」と、珈琲片手に面白がりながら推移を眺めておくのが、経営や現場にとってちょうどいい距離感ではないでしょうか。

リンクをコピーしました

Mybestpro Members

利光哲哉
専門家

利光哲哉(DXコンサルタント)

利光コンサルティング

約40年のIT実務経験と大学での教育・研究実績を基に、生成AIをスマホ等で活用するなど中小企業のDXの最初の一歩からを支援。社員が主役の業務改革を支援します。企業に「テクノロジーの民主化」を!

利光哲哉プロは大分朝日放送が厳正なる審査をした登録専門家です

関連するコラム

プロのおすすめするコラム

コラムテーマ

コラム一覧に戻る

プロのインタビューを読む

社員の意識変革から中小企業のDX化を推し進めるプロ

  1. マイベストプロ TOP
  2. マイベストプロ大分
  3. 大分のビジネス
  4. 大分の経営コンサルティング
  5. 利光哲哉
  6. コラム一覧
  7. 珈琲ブレイク:AIが自分で自分を鍛え直す?「再帰的自己改善(RSI)」という進化のカタチ

利光哲哉プロへの仕事の相談・依頼

仕事の相談・依頼