充実感と赤鉛筆の関係
4月に入り、桜の開花と共に新入社員研修も真っ盛り。
私は社会人マナーの研修はしない(できない)ので
例年は暇になるこの時期ですが、
ありがたいことに今年は県内外の6社から
「仕事の進め方」というテーマで
研修のご依頼をいただいています。
名刺交換や電話応対などは教わるのに、
なぜ基本的な仕事の進め方については
学ぶ機会すら無いのか、
かねてより不思議に思っていました。
結局、そこは自己啓発で個人のスキル任せになり、
人によっては締め切りに追われて疲弊し、
早期離職となるのです。
これは労使ともに実にモッタイナイ。
特に締め切り管理は新社会人だけではなく、
ビジネスパーソンにとって重要なスキルです。
仕事には必ず締め切りがあるからです。
繰り返しますが、やる気や根性ではありません。
スキル(技術)です。
まず鉄則ですが、締め切りは守ってはいけません。
ただ、これは仕事の依頼主が指定した締め切り
という意味です。
2、3日でも構わないのです。
自分で前倒しの締め切りを作ることによって、
仕事をコントロールできているという感覚を
得られます。
何よりも前倒しで取り組むことで気持ちに余裕が出て、
完成物のクオリティにも好影響を与えます。
ただし、私たちは見ている先、意識している方向に
舵を切るという傾向があります。
車の運転でも、長く続くカーブは
必ず進行方向を見るように教習所では
指導されたはずです。
中央分離帯を意識すると
そこにハンドルを切ってしまって
大きな事故につながるからです。
これは仕事でも同様で、
前倒しにしたとしても締め切りに焦点を合わせると、
そこに向けてハンドルを切ってしまうので
「仕事は与えられた期限まで膨張する」という
パーキンソンの法則が発動し、
どうしても締め切りギリギリになってしまいます。
そこで、締め切りではなく、
いつからその仕事に着手するのかという
スタート(始期)を決めます。
例えば、私は地元金融機関系列のシンクタンクに
連載を持っています。
毎月ではなく四半期に1回なので、
次は7月号が担当。
その原稿締め切りは6月中旬です。
ここに焦点を合わせず、
前倒しの自分締め切りを2週間前の5月末で
設定しています。
次にスケジュールを決めます。
4月からゆるく着手し、まずはテーマ選定。
5月のゴールデンウイーク中に構成決めとデータ収集。
5月中旬までに指定された文字数まで書き、
5月下旬にチェックをした上で保留にしておきます。
6月に入ると依頼主から締め切りの通知が来るので、
そこで最後のチェックをしてからメールでデータを
送ります。
どんなに遅くても
本来の締め切りの1週間前には手を離れます。
仕事のパートナーも前倒しで仕事ができるので、
お互いに余裕が生まれます。
締め切りギリギリに始めると気合いが入る
という方もいます。
確かにその側面もあることは否定しませんが、
常に締め切りに追われている状況は
決して良いことではありません。
何より、仕事に追われないどころか
追いかけるようになると、
自分の人生もコントロールできる
という確信が持てるはず。
これが、締め切り管理が新社会人だけでなく、
全てのビジネスパーソンに重要なスキルだ
という理由です。
かなり効果が高いので、是非お試しあれ。