家は周囲への影響と住む人の品格を表すもの
川井秀一・京都大学名誉教授の研究論文より要約、
テーマは「木質住環境のヒトへの心理的・生理的な効果」です。
ここでは木質住環境においてヒトの視覚や嗅覚がその生理や心理に及ぼす効果についての実験をいくつか紹介したい。
温湿度が制御された一対の寸法・体積が等しく、ビニールタイル床、石膏ボードの塗装仕上げ壁の無機質な二つの部屋を用い、片方の部屋にスギ木口スリット材を腰壁に施工した部屋と、そうでない部屋を準備した。
健康な大学生16名を被験者に選び、二つの部屋それぞれについて15分間の計算作業、5分間の休憩、再度15分間の計算作業に従事させた。
被験者は視覚的には二つの部屋の相違を感知できない。
また、被験者には実験の目的が知らされていない。
スギ木口スリット材が設置された室内空気中には、スギ材由来の香り成分、すなわち揮発性有機化合物(VOC)が放出されているので、被験者は嗅覚によりこれら二部屋の相違は感得することは可能である。
二つの部屋の室内空気を捕集し、空気中に含まれるVOCについて微量分析機器を用いて調べた。
その結果、スギ材室にはδ=カジネンを主成分とするテルペン類が含まれており、主にセスキテルペン類が25成分検出された。
これらの成分には抗菌性が報告されているα―フムレン、β―カリオフィレンも含まれている。
詳しくはホームページ「あがの家・創生プロジェクト」をご覧ください。