家は周囲への影響と住む人の品格を表すもの
川井秀一・京都大学名誉教授の研究論文より要約、
テーマは「木の家の良さ、木の文化の国」です。
生きている樹木はフィトンチッド(植物の出す外敵を殺す物質)と呼ばれる樹木固有の揮発性有機化合物(VOC)を放出している。
いわゆるテルペン類等と呼ばれる油性分である。
これら樹木の精油成分は、抗ウイルス作用、利尿作用、殺菌作用、抗炎症作用、抗アレルギー作用、免疫力向上などの薬効果があることで知られている。
樹木の香り成分が心を落ち着かせ、リラックス効果をもたらすとして、これを積極的に活用する森林浴や森林セラピーが注目されている。
伐採された木材を使った木造建築の内部では、一酸化窒素、オゾン等が外気よりも70~90%減少することが、1250年前に建設された東大寺正倉院のヒノキ材校倉やスギ材唐櫃の内部でも観察されることが、最近の研究で知られている。
唐櫃内部では、温度、湿度が極めて安定し、適切に保たれているほかに、内部の空気が浄化されてきたために、保管されてきた楽器類、調度類、文具、武具、仏具、服飾類、書籍などの宝物が1200年以上の時を経ても、なお大きく色あせず、健全な状態のまま現代へと受け継がれている。
このような木造建築物の室内環境は、文化財だけではなく、人間の居住空間としても快適性の保持や健康の維持増進に適切なものであると考えられる。
詳しくはホームページ「あがの家・創生プロジェクト」をご覧ください。