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大工は、図面を残さない①

櫻井利雄

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昔の大工の常識として、
重要な人が住むお屋敷の建築を任される大工は、
その建物の主を守るために、設計図面を残すことは一切ありませんでした。

もし、部外者の手に建物の図面が渡ることがあれば、
主の居場所が分かり、暗殺や襲撃される危険があるからです。

お城や庄屋が住むお屋敷には、いざという危機の時に
主人が逃げられるような仕組み(隠し通路で隣のお寺に逃げられる)がありました。

建物の隅々までを知る大工は、建物の完成後に口封じの目にあったり
名前を変えて別の国に移り住んで身を隠さなければいけなかったり
ということがあったといいます。

図面が残っているとすればせいぜい茶室や欄間のデザインなど
主人の命に関係ない部分のみだけで、
もしも現代において立派な歴史的お屋敷の建築図面が残っているものがあれるとすれば、
その図面は、眉唾もの。
領地違う所で残っていた場合はなおさらです。
大工が名を上げようとして、年を経た後に作ったものかもしれません。

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櫻井利雄
専門家

櫻井利雄(建築施工)

桜井木材建築株式会社

宮大工の流れを組み、江戸時代から伝わる工法で、国産の木の味わいを生かした家づくりを行う。一般住宅のほか、商業施設や寺社の建築まで対応。木材の仕入れや製材から、建築まで心を込めて取り組んでいます

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