傷が付いても大丈夫。自分で復元する天然木パワー
現在、建築業界で家を建てる際の木材は、プレカットが定番となっています。
工場で、予め木材をカットしておき、建築現場に運んで組み立てる方法です。
プレカットは、大工の技量に関わらず効率的に家が建てられ、
大工の労働時間を減少できるメリットがありますが、昔から大工が大切にしてきた、
木へのこだわりが薄くなってしまいます。
また、現場で墨付けや手刻みといった作業がなくなることで、
見習い大工が継承すべき高度な技術を習得する場が消えてしまうデメリットがあります。
昔ながらの大工は、木の本質をしっかりと理解し、木の特性や建てる家の環境に合わせて
自らの手で調整しながら木材を仕上げてきた歴史があります。
大工が養ってきた木の知識や木材を扱う高い技術が、
継承されづらい状況にどんどんなってきているわけです。
家は一生もの。
建てた後に歪みが出てきたなどあれば、大問題です。
逆に、木材にこだわり、その木材の特長を生かす大工に建ててもらう家は、
一生の宝になることは間違いないでしょう。
大工の家系で長くこの仕事をしていますが、楽しい事もあります。
今年の春、江戸時代の建物を修繕していましたら
建物を造る時の番付が出てきました。
東本願寺系統の番付です。
家主に伝えましたら、江戸時代、東本願寺の棟梁さんが造られた建物という事がわかりました。
写真は桔木上部に記されている番付
又四の又二 東本願寺系統の棟梁が使用している番付です。